基礎知識

  1. Home
  2. /
  3. 基礎知識
  4. /
  5. いわゆる「健康食品」に関する制度の概要

いわゆる「健康食品」に関する制度の概要

更新日:2024/03/12

「健康食品」という言葉からイメージするものは人によりさまざまではないでしょうか。「健康食品」という言葉は、法令上定義されておらず、「広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの」の総称として用いられています。「健康の保持増進が期待できるか」、「製品として安全か」が確認されているものもあれば、そうでないものもあります。ここでは、いわゆる「健康食品」の分類や表示内容に関する制度について解説します。

 

いわゆる「健康食品」の分類 – 保健機能食品とその他のいわゆる「健康食品」

 「いわゆる「健康食品」」には、飲料や菓子類、調味料など一般に飲食される食品と同じ形態のものから、錠剤やカプセルなど医薬品に似た形態のものまでありますが、すべて「食品」に位置づけられます。いわゆる「健康食品」のうち、国の制度として認められているものが「保健機能食品」です。保健機能食品は、国が定めた機能性や安全性の基準に従って、「お腹の調子を整える」、「食後の血糖値の上昇を抑える」、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」といった食品の機能を表示して販売することができる食品です。現在、保健機能食品には、「特定保健用食品 (トクホ) 」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」の3種類があります。保健機能食品中に含まれる機能性が期待される成分を関与成分といいます。
 一方、保健機能食品以外のいわゆる「健康食品」は「その他のいわゆる「健康食品」」に分類されます。こちらは保健機能食品と異なり、制度として定められた基準はなく、機能 (効果) に関する表示をして販売することは出来ません。

いわゆる「健康食品」の位置づけと分類

 

特定保健用食品

 実際に販売される製品 (もしくは製品に含まれる関与成分) として、国による有効性と安全性の審査を受け、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示した食品です。

製品には、「お腹の調子を整える」、「血圧が高めの方に適する」などの許可を受けた機能とともに、特定保健用食品のマークが表示されています。個別の製品の情報についてはこちら、特定保健用食品を効果的に活用するための方法は、こちらをご参照ください。
特定保健用食品には、通常のものに加えて以下のような種類もあります。

  • 特定保健用食品 (疾病リスク低減表示)
     関与成分が特定の疾病リスクを低減する効果が医学的、栄養学的に確立されており、疾病リスクを低減する旨の表示が認められた食品。
  • 特定保健用食品 (規格基準型)
     特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されており、消費者庁の事務局において、定められた規格基準への適否が審査された食品。
  • 条件付き特定保健用食品
     特定保健用食品の審査で求めている科学的根拠としての有効性レベルには届かないものの、一定の有効性が確認され、
    限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可された食品。

 

栄養機能食品

 主に、ビタミン、ミネラルといった人間の生命活動に不可欠な栄養成分について、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」など、医学・栄養学的に確立した機能を表示した食品です。現在、ビタミン13種 (ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン) 、ミネラル6種 (亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、カリウム) 、n-3系脂肪酸について規格基準が定められており、これに従って事業者の自己認証により表示が行われます。

 

機能性表示食品

 事業者の責任において摂取に関する安全性を確保することを前提とし、「本品は、○○○が含まれるので□□□の機能があります。」といったような、科学的根拠に基づいた機能性 (健康増進に役立つ機能) 表示がされた食品です。特定保健用食品と違い、国による審査はありませんが、販売の60日前までに安全性・機能性に関する資料等を消費者庁長官に届け出る必要があります。消費者の方は、消費者庁のウェブサイトで各製品の届出内容を確認することができます。

 

その他のいわゆる「健康食品」

 保健機能食品以外の、「健康補助食品」、「栄養強化食品」、「栄養調整食品」、「サプリメント」などの名称は、国が制度化しているものではなく、表示の許可、認証、届出といった規制もありません。そのため、その他のいわゆる「健康食品」には、保健機能食品と紛らわしい名称や栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語の表示をしてはならない、と定められています。その他のいわゆる「健康食品」とは、健康食品のうち、保健機能食品でないものを指します。

 

いわゆる「健康食品」の品質について

 いわゆる「健康食品」において、品質や安全性の確保は事業者の責任になります。錠剤やカプセル形状の製品では、製造している間に成分の濃縮、他の原材料との混合が行われ、ひとつひとつの製品に含まれる成分量にばらつきが出たり、不純物などが混入したりする可能性があります。このような問題を防ぎ、製品が安全に一定の品質を保って製造されるようにするための製造工程管理基準として適正製造規範 (Good Manufacturing Practice、GMP) が定められています。現在、このGMPを採用するかは事業者の任意であり義務ではないため、錠剤やカプセル形状の製品であっても、必ずしもGMPに基づいて製造されているわけではありません。


GMPに基づいて製造されているいわゆる「健康食品」にはGMPマーク (2種類のうちいずれか) がついており、製品を選択する際に参考にすることができます。ただし、GMPマークはあくまでも一定の品質確保のための基準に準拠していることを示すものであり、その製品の健康への効果を保証しているものではありません。

 食品に様々な健康効果が期待されていますが、食品は医薬品ではありませんので、医薬品のような疾病の治療、予防といった効果を表示することは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (薬機法) 」で禁じられています。これは、保健機能食品であっても同じです。食品と医薬品の違いについては「いわゆる「健康食品」は薬の代わりにはなりません」をご参照ください。

 

関連情報

「特定保健用食品一覧」
「特定保健用食品 の上手な利用法」
消費者庁ウェブサイト「栄養や保健機能に関する表示の制度について」

 

上へ戻る
error: コンテンツが保護されています