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コラーゲン

カテゴリー:素材
更新日:2020/08/04

もくじ

(リーフレット版はこちら)

  1. はじめに
  2. コラーゲンってきくの?
  3. コラーゲンは安全なの?
  4. 肌や関節に悩みがあるときは
  5. まとめ

 

▼もっと詳しく知りたい方はこちら

  1. コラーゲンとはどんなもの?
  2. 低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド)製品は、吸収されやすくて効果はあるの?
  3. アドバイザリースタッフとは?

 

はじめに

 コラーゲンを含むドリンク、ゼリー、錠剤などの健康食品・サプリメントが、肌によい、足腰の痛みによい、血管を正常に保つなどの効果をうたってドラッグストアやインターネットで販売されているのを見かけたことはありますか? これはコラーゲンが皮膚や軟骨などに存在し、お肌の弾力や関節の柔軟性に必要な成分であるため、コラーゲンを食べることにより効果が得られると期待されているからです。
 コラーゲンは、鶏の手羽先やフカヒレ、魚の皮やウロコなどに含まれるタンパク質で、私たちがコラーゲンを食べると、消化酵素によってアミノ酸やペプチド (アミノ酸が数個結合したもの) に分解され、吸収されます。吸収をよくするため、あらかじめ分解した「低分子コラーゲン (ペプチド) 」も人気のようです。しかし、吸収されたコラーゲン由来のアミノ酸やペプチドが、体内で再び皮膚やひざ関節でコラーゲンとなるかは定かでなく、商品の利用による体調不良の報告もあります。
 そこで、コラーゲンについて、今わかっていることをお知らせします。

 

コラーゲンってきくの?

 コラーゲンを摂取したときの、お肌や関節の機能に対する効果を調べたところ、一部の研究で皮膚の弾力の改善や、ひざの伸びの改善が認められましたが、皮膚の水分量やシミ、シワ、ひざなどの痛みや違和感への効果は認められていませんでした。
 最近では、コラーゲン由来のペプチドが関節などの特定部分で何らかの機能を発揮している可能性が考えられています。機能性表示食品としてもコラーゲン製品が販売されています。機能性表示食品は、メーカーの責任のもとで効果の根拠となるデータを調べ、製品化されたものですが、コラーゲンがどの程度、皮膚や関節に効くかは、摂取する人の体の具合や、体質、食・生活習慣、製品の形態、製品に含まれるコラーゲンの特性などによって異なります。
 コラーゲンは人の体内でアミノ酸からつくり出すことができます。現時点において、コラーゲンをどれくらい摂ったら良いか、本当に健康食品から摂った方が良いのかは明確になっていません。

 

コラーゲンは安全なの?

 もともとアレルギー体質の人や、コラーゲンの入った肌につける保湿クリームなどを使った人が、コラーゲン飲料やサプリメントを摂取してアレルギーを起こしたという報告があり、重篤なアナフィラキシーの事例も複数報告されています。特に、コラーゲン濃縮物の摂取はアレルギーの原因となりやすいことから注意が必要です。また、鶏や卵にアレルギーのある人では、鶏軟骨由来のⅡ型コラーゲンは避けた方が良いでしょう。
 妊娠中、授乳中の方については、安全性についての十分なデータがないため、サプリメントのようなかたちで多量に使用することは避けましょう。ひとりひとりの体質にもよりますので、コラーゲン製品を利用する場合は体調の変化に十分気をつけてください。

 

 

肌や関節に悩みがあるときは

 肌に不調があるときは、食事や生活、睡眠習慣を見直すとともに、お近くの皮膚科を受診してください。日常の生活で、関節の痛みがあるときは、健康食品を使用する前に、お近くの整形外科などで医師の診断を受け、指示にしたがってください。
 また、皮膚や関節を含むからだの健康維持のためには、コラーゲンの摂取にこだわるよりも、さまざまな食品をバランスよく適量摂取し、栄養・休養を見直すことが大切です。運動は、ひざに負担のかからない程度にとどめ、痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。いま一度自分自身の食事や生活スタイルを振り返ってみましょう。

● どうしてもコラーゲン製品を利用したい場合
 薬剤師や管理栄養士、健康食品・サプリメントのアドバイザリースタッフなど専門的な知識を持った方にご相談ください。また、コラーゲンの摂取による被害の情報もあることから、コラーゲン製品を利用する際には「利用メモ」をつける、製品の箱や容器を写真に残しておくなどし、体調の変化に注意するようにしてください。

● コラーゲン製品を利用して体調の異常を感じた場合
 アレルギーが疑われるなど体調に変化があった場合、すぐに利用をやめて、お近くの症状に応じた診療科を受診してください。その際には、必ず、コラーゲン製品を利用していたことをお伝えください。病院に行くほどの体調不良でない場合は、お近くの保健所へ相談してください。体調不良を感じた時の対応方法については、こちらのページもご覧ください。

 

まとめ

 コラーゲンを含む商品が、美肌や関節によいといった魅力的なうたい文句で多く出回っています。しかし、もともとアレルギーのある人やコラーゲン入りの化粧品をお使いの人、妊娠・授乳中の人の摂取には注意が必要です。効果を期待してすぐに飛びつくのではなく、まずは生活習慣を見直して本当に必要かどうかを冷静に判断しましょう。体調に不安がある場合には、まずはお近くの診療科を受診し、利用するときは専門的な知識を持った方に相談しましょう。
 なお、コラーゲン鍋が流行りましたが、コラーゲンが消化吸収される過程は、他のタンパク質と同じです。偏りのない食生活を心がけましょう。

 

▼もっと詳しく知りたい方はこちら

 

コラーゲンとはどんなもの?

コラーゲンとは

 コラーゲンは、タンパク質の一種で、からだを構成する全タンパク質の約30%を占めています。体内コラーゲンのうち40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に存在し、その他に血管や内臓など全身に広く分布しています。コラーゲンは、アミノ酸(グリシン、プロリン、ヒドロシキプロリンなど)がつながったポリペプチド鎖が3本でらせん構造をとっており、いろいろなタイプがあります。皮膚や腱などの主要なコラーゲンはI型、軟骨の主要なコラーゲンはII型と呼ばれています。

コラーゲンの消化吸収について
 コラーゲンはタンパク質の一種なので、体内で消化酵素によってアミノ酸やペプチド(アミノ酸が数個結合したもの)などのとても小さい分子まで分解されるため、そのままの形で吸収されることはありません。吸収されたアミノ酸はタンパク質を合成する材料になります。つまり、コラーゲンを食べることは、コラーゲンや他のタンパク質の材料であるアミノ酸を摂取することになりますが、そのアミノ酸が再び皮膚や関節など期待する部位でコラーゲンの合成に利用されるかは定かではありません。

コラーゲンの必要量について
 タンパク質の必要な摂取量は基準が定められていますが、コラーゲンに特定した必要量は設定されていません。一方、タンパク質を構成するアミノ酸には、体内で十分な量が合成できないため食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」と、体内でも合成ができる「非必須アミノ酸」の2種類があります。必須アミノ酸は、それぞれを食事から十分に摂取することが大切です。また、コラーゲンの合成やその他のアミノ酸代謝には、さまざまなビタミンやミネラルも必要なため、コラーゲンばかりに気を取られるよりも、食事全体のバランスを意識した方が良いです。

 

低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド)製品は、吸収されやすくて効果はあるの?

 コラーゲン製品として利用されているものの多くは、コラーゲンの加水分解物(コラーゲンペプチド(低分子コラーゲンと記載されていることが多い) です。これはある程度分解されているため、高分子のコラーゲンと比べれば、消化・吸収の効率が良いと考えられるものの、吸収されたものがコラーゲンの合成に利用されやすいことを指すわけではありません。

 

アドバイザリースタッフとは?

 アドバイザリースタッフとは、健康食品やサプリメントについての正しい知識を持ち、身近で気軽に相談を受けてくれる、民間の資格をもった言わば健康食品の専門家です。主な資格として、NR・サプリメントアドバイザー(一般社団法人日本臨床栄養協会)、食品保健指導士(公益財団法人日本健康・栄養食品協会)、健康食品管理士(一般社団法人日本食品安全協会)などがあります。アドバイザリースタッフの中には、講演会などを通じて、健康食品の適切な利用や、利用による健康被害の防止のための活動をしている方もいます。
身近なところでは、薬局や薬店、病院などで活躍している人も多いので、健康食品を購入・利用する際には、是非、アドバイザリースタッフに相談しましょう。

 

参考文献

1.ハーパー生化学 原書30版 清水孝雄監訳 丸善出版
2.生化学辞典 第4版 東京化学同人
3.生物学辞典 東京化学同人
4.日本人の食事摂取基準 (2020年版) 「たんぱく質」
5.日本食生活学会誌 2014 25(1) 5-8

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