もくじ
- ビタミンB2とは?
- ビタミンB2の吸収について
- ビタミンB2の不足と欠乏症
- ビタミンB2の過剰摂取と過剰症
- 治療薬としてのビタミンB2
- ビタミンB2の摂取状況と摂取基準
- ビタミンB2を多く含む食品
- 栄養機能食品としての関連情報
- 関連情報
ビタミンB2とは?
ビタミンB2 (リボフラビン)は水溶性のビタミンで、体内に吸収されると、フラビンモノヌクレオチド (FMN) 、およびフラビンアデニンジヌクレオチド (FAD) に変換され、体内では主にFADの形で存在します (1) 。両者とも、体内でエネルギー代謝に関わる補酵素としての働きがあります (2) 。その他、ビタミンB2には、成長促進・皮膚や粘膜の保護といった働きもあり、不足すると成長障害・脂漏性皮膚炎・口内炎などを引き起こすことが知られています (1) 。
ビタミンB2の吸収について
食物から摂取したビタミンB2は、小腸粘膜の酵素によって加水分解されてリボフラビンとなり、小腸上皮細胞において吸収されます (3) 。このほか、大腸内の細菌叢によってもリボフラビンが産生され、その場で吸収されます (4) 。吸収されたビタミンB2は、細胞内で酵素によってFMNやFADになります。リボフラビンは主要臓器で一定量保持され、過剰に摂取したビタミンB2は生体内のB2と交換代謝されて、尿中や糞中に排泄されます (5) 。
ビタミンB2の不足と欠乏症
ビタミンB2不足は、食事からのビタミンB2摂取量が不足したときや、代謝異常、疾患 (肝疾患、下垂体疾患、糖尿病など) (2) 、薬物の影響 (テトラサイクリンなどの抗生物質、クロルプロマジンなどの精神安定剤、副腎皮質ホルモン、経口避妊薬を連用した時) (2) (6) などでも起こります。しかしながら、不足は単独ではあまり起こらず、他のビタミン不足と同時に起こることもよく知られています (7) 。
ビタミンB2が不足すると、成長障害、口角炎、舌炎、咽喉炎、皮膚炎が見られます (1) 。
*ビタミンB2を多く含む食品はこちらをご覧ください。
ビタミンB2の過剰摂取と過剰症
過剰摂取したビタミンB2は尿中に排泄されるため、過剰による悪影響を受けにくいといわれています (3) 。また、ビタミンB2は黄色を帯びているため、過剰に摂取すると尿が黄色やオレンジに変色します (5) 。
治療薬としてのビタミンB2
口角炎・口唇炎・舌炎・肛門周囲及び陰部びらん・急性/ 慢性湿疹・脂漏性湿疹・ペラグラ・尋常性座瘡・日光皮膚炎・結膜炎・びまん性表皮角膜炎といった疾患のうち、ビタミンB2の欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合に、ビタミンB2が治療薬として用いられます (5) 。
ビタミンB2の摂取状況と摂取基準
2019 (令和元) 年の国民健康・栄養調査では男性で平均1.03 mg/日、女性で平均0.87 mg/日摂取していました (8) 。
ビタミンB2はエネルギー産生に深くかかわるため、ビタミンB2の摂取の基準は、エネルギー消費量に対する必要量として算出されています。基準で示される数値は、身体活動レベルⅡ(座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツのいずれかを含む)として示されています。また、欠乏症である口唇炎、口角炎、舌炎などの皮膚炎を予防するための最小必要量ではなく、尿中にビタミンB2の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定されています。各年齢別のビタミン2の食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (3) 。
<ビタミンB2の食事摂取基準 (mg/日) 1>
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢等 | 推奨量(RDA) | 目安量 (AI) | 推奨量(RDA) | 目安量 (AI) |
0~5 (月) | – | 0.3 | – | 0.3 |
6~11 (月) | – | 0.4 | – | 0.4 |
1~2 (歳) | 0.6 | – | 0.5 | – |
3~5 (歳) | 0.8 | – | 0.8 | – |
6~7 (歳) | 0.9 | – | 0.9 | – |
8~9 (歳) | 1.1 | – | 1.0 | – |
10~11 (歳) | 1.4 | – | 1.3 | – |
12~14 (歳) | 1.6 | – | 1.4 | – |
15~17 (歳) | 1.7 | – | 1.4 | – |
18~29 (歳) | 1.6 | – | 1.2 | – |
30~49 (歳) | 1.6 | – | 1.2 | – |
50~64 (歳) | 1.5 | – | 1.2 | – |
65~74 (歳) | 1.5 | – | 1.2 | – |
75以上 (歳) | 1.3 | – | 1.0 | – |
妊婦 (付加量) | +0.3 | – | ||
授乳婦 (付加量) | +0.6 | – |
推奨量 (RDA,recommended dietary allowance)
ある性・年齢階級に属する人々のほとんど (97~98%) が1日の必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
目安量 (AI,adequate intake)
ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
(特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
1:身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した。
ビタミンB2を多く含む食品
主な食品中のビタミンB2含有量は以下の通りです (9) 。
植物性食品
食品名 | 1食あたり の重量(g) |
ビタミンB2(mg) | |
1食あたり | 100gあたり | ||
納豆 | 40 | 0.22 | 0.56 |
玉露 (浸出液) | 150 | 0.17 | 0.11 |
アーモンド (フライ味付け) | 15 | 0.16 | 1.07 |
グリーンアスパラガス (ゆで) | 100 | 0.14 | 0.14 |
そらまめ (ゆで) | 60 | 0.11 | 0.18 |
スイートコーン (電子レンジ) | 100 | 0.11 | 0.11 |
アボカド | 50 | 0.10 | 0.20 |
焼きのり | 3 | 0.07 | 2.33 |
エリンギ (油いため) | 30 | 0.07 | 0.24 |
まいたけ (油いため) | 30 | 0.06 | 0.21 |
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)
動物性食品
食品名 | 1食あたり の重量(g) |
ビタミンB2(mg) | |
1食あたり | 100gあたり | ||
豚レバー (生) | 40 | 1.44 | 3.60 |
牛レバー (生) | 40 | 1.20 | 3.00 |
鶏レバー (生) | 40 | 0.72 | 1.80 |
うなぎ(かば焼き) | 80 | 0.59 | 0.74 |
豚ヒレ (焼き) | 100 | 0.44 | 0.44 |
低脂肪牛乳 | 200 | 0.36 | 0.18 |
ぶり (焼き) | 80 | 0.31 | 0.39 |
普通牛乳 | 200 | 0.30 | 0.15 |
さんま(焼き) | 100 | 0.30 | 0.30 |
まがれい (水煮) | 100 | 0.27 | 0.27 |
鶏卵 全卵 (ゆで) | 55 | 0.18 | 0.32 |
栄養機能食品としての関連情報
ビタミンB2は基準値を満たした場合に栄養機能食品として表示することができます。
- 下限値:0.42 mg、上限値:12 mg
- 栄養機能表示
「ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」 - 注意喚起
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」
栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。
関連情報
- ビタミンB2の有効性について、個々の研究結果は「素材情報データベース<有効性情報>【ビタミンB2 (リボフラビン) 】」をご覧下さい。
- ビタミンについての解説:一覧
- ミネラルについての解説:一覧
参考文献
(1) ヒューマン・ニュートリション 第10版:医歯薬出版
(2) ビタミンの辞典:朝倉書店
(3) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(4) ロス 医療栄養科学大辞典:西村書店
(5) 日本薬局方解説書:廣川書店
(6) 生化学辞典 第4版:東京化学同人
(7) 専門領域の最新情報 最新栄養学:建帛社
(8) 令和元年 国民健康・栄養調査報告
(9) 日本食品標準成分表2020年版 (八訂)