でん粉由来の水溶性食物繊維であり、低粘性・低甘味で水溶液はほぼ透明。耐熱性・耐酸性に優れており、様々な食品に応用しやすい。ミネラルの吸収阻害はなく、FDA(米国食品医薬品局)のGRAS(Generally Recognized As Safeの略称.米国における食品安全性に関する審査制度)にリストされた安全性の高い素材である。
【関与成分の構造式】 |
難消化性デキストリンは上部消化管で消化吸収を免れて大腸まで到達し、一部が腸内細菌によって資化されて単鎖脂肪酸となり大腸内のpHを低下させる。残りは糞便と共に排泄され、糞便容積の増加に寄与することが確認されている。これらにより、難消化性デキストリンは腸管を刺激して腸管運動を賦活化し、排便時間を短縮するものと考えられる。ヒト試験においても排便の回数や量の有意な増加が観察されており、これらの整腸作用は難消化性デキストリンを食物繊維として2.9g以上で認められている。
日本栄養・食糧学会誌、44、471-478、1991 澱粉科学、37、107-114、1990 食品衛生誌、33、557-562、1992 栄養学雑誌、51、31-37、1993
食品中の難消化性デキストリンの定性、定量法に、低分子水溶性食物繊維を含む食品に適用される酵素-HPLC法を用いた。 酵素処理液の調製:各種酵素により炭水化物およびたんぱく質の消化を行う。 高速液体クロマトグラム用溶液の調製:イオン交換樹脂によりイオン性不純物質(たんぱく質、有機酸、無機塩類等)の除去を行い、難消化性デキストリンを濃縮する。 高速液体クロマトグラムで定量:得られた高速液体クロマトグラムより三糖類以上の画分中の難消化性デキストリン画分を求める。
特定保健用食品試験検査マニュアル(最終版)29-37
研究1: 40名の健常成人女性を対象に2週間、1日1缶「メナード 緑の健康野菜」を飲用させた結果、一部の被験者におなかの膨満感(おなかが張る感じ)や放屁が観察されたが、試験飲料を飲まない非摂取期間と比較して有意な差はなく、また、その他、特筆すべき胃腸症状は観察されなかった。この結果より本商品は安全性の高い飲料であることが確認された(1)。 研究2: 健常成人女性13名と男性6名の19名を対象として、「メナード 緑の健康野菜」を1日3本、連続10日間飲用の過剰摂取試験を行った。これは1日の摂取目安量の3倍に相当する。試験期間中、おなかの膨満感と、放屁の増加が観察されたが、試験継続には問題なく、その他の異常症状は観察されなかった。本商品は、目安量を超えて過剰に摂取した場合でも、問題となるような症状は発現せず、安全性に優れた飲料であることが確認された(2)。
(1)健康・栄養食品研究、5(4)1-11、2002 (2)「メナード緑の健康野菜」厚生労働省特定保健用食品申請資料より
難消化性デキストリンの安全性に関する他研究機関の論文を引用する。 研究1: 難消化性デキストリンの急性毒性試験として、雄性ICR系マウスを対象に難消化性デキストリン(食物繊維として)4.6~18.3g/kg体重を単回経口投与した結果、死亡例は観察されず、LD50値は難消化性デキストリン(食物繊維として)18.3g/kg体重以上であると推定された。また、変異原性試験として、難消化性デキストリン(食物繊維として)37~4580μg/プレートの用量で添加し、代謝活性化(S9Mix)の添加・非添加条件下で指示菌(ネズミチフス菌TA100、TA1535、TA98、TA1537、大腸菌WP2uvrA)の復帰変異コロニー数を計測した結果、微生物突然変異誘起性は陰性であることが確認された(1)。 研究2: 6週齢のSD系雄性ラット40匹を対象とし、難消化性デキストリン(食物繊維として)9.2~18.3%水溶液を5週間連続投与し、血清総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、総タンパク質、カルシウム並びに血清GOTおよびGPTを測定し、飼育終了後、各種臓器(肝臓、小腸、盲腸、結腸+直腸)の重量ならびに副睾丸および腎臓周囲の脂肪組織重量を測定した結果、難消化性デキストリンの連続投与によって、体重、各種臓器(肝臓、胃、小腸)重量、副睾丸および腎臓周囲の脂肪組織重量、血清総タンパク質、カルシウム、血清GOTおよびGPT活性に何ら影響を与えなかった。
(1)食品衛生誌、33、557-562、1992 (2)日本栄養・食糧学会誌、44、471-478、1991
研究1: 40名の健常成人女性を対象に、無作為に20名ずつの2グループに分け、それぞれ2週間の飲用期間とその前後に1週間ずつの休止期間を含む、6週間のシングルブラインドクロスオーバー試験を行った。1日、1缶「メナード 緑の健康野菜」(難消化性デキストリン含有する野菜飲料)を飲用させ、対照飲料としては難消化性デキストリンを精製水に置き換えたプラセボ野菜飲料を用いた。排便回数、排便量、便性状等を指標に評価を行った。その結果、試験前に排便量の少ない、便秘傾向の強い被験者のグループについては、試験飲料の飲用期間は、試験開始前と比較して、有意な排便回数、排便量の増加が確認され、排便状況が改善した。また、対照のプラセボ飲料摂取期間と比較しても有意な排便状況の改善が得られた。また、試験中の食事内容から食物繊維摂取量を算出し、被験者の食物繊維摂取量との関係を検討した結果、食物繊維摂取量の少ない被験者がより改善効果が高かった(1)。
(1)健康・栄養食品研究、5(4)1-11、2002
難消化性デキストリンの有効性に関する他研究機関の論文を引用する。 研究1: 6週齢のSD系雄性ラット40匹を対象に、難消化性デキストリン 5%、10%、20%水溶液(食物繊維として4.6%、9.2%、18.3%)を5週間連続投与し、試験終了前1週間の糞便を採取し、試験終了時に測定した結果、糞便排泄量が増加し、胆汁酸排泄量と腸内単鎖脂肪酸量も増加し、脂質の排泄が促進されていた(1)。 研究2: 13週齢のSD系雄性ラット16匹を対象に、難消化性デキストリン40%溶液(食物繊維として1.8g)あるいはマルトデキストリン40%溶液を強制経口投与し、投与後72時間にわたり糞便中へ排泄される総糖量を測定して糞便への排泄率を算出した結果、難消化性デキストリンの排泄率は36.1±3.1%であった(2)。
(1)日本栄養・食糧学会誌、44、471-478、1991 (2)食品衛生誌、33、557-562、1992