0.19-小麦アルブミンは小麦由来の可溶性タンパクであり、等電点は7.3、名前の0.19は電気泳動の移動度に由来する(1)。熱変性点は93℃と高く、安定なタンパクであることが報告されている(2)。
【関与成分の構造式】 124個のアミノ酸で構成されるサブユニット2個からなるホモダイマー(1)。コードする遺伝子の塩基配列(2)、3次元構造が明らかになっている(3)。 Swiss Prot: accession number = P01085 entry name = IAA1_WHEAT protein database (pds): 1HSS (1)Maeda K et al, Biochim Biopys Acta, 828: 213-221(1985) (2)Okuda M et al, J Biochem, 122: 918-926(1997) (3)Oda Y et al, Biochemistry, 36: 13503-13511 (1997) |
小麦アルブミン画分の主成分である0.19-小麦アルブミンは、ヒト唾液および膵液アミラーゼの阻害活性を示し、消化管内のアミラーゼ活性を一時的に低下させることによって、糖質の消化吸収を遅延させることにより血中グルコース濃度の急激な上昇を抑制する(3, 4)。0.19 小麦アルブミン1分子(ホモダイマー)が、アミラーゼ1分子と結合し、阻害活性を示すことが明らかとなっている(5)。
(1) Sodini G et al, Phytochem, 9 1167-1172 (1970) (2) Silano V et al, Biochim Biophys Acta, 533: 181-185 (1978) (3) Choudhury A et al, Gastroenterol , 111; 1313-1320 (1996) (4) Kodama T et al, Eur J Clin Nutr. 59, 384-392 (2005) (5) Oneda H et al, J Biochem, 135: 421-427 (2004)
HPLC法(逆相系)
宮崎ら、栄養学雑誌57:221-227 (1999)
軽症NIDDM患者(試験群13名、対照群5名)を対象に、「グルコデザイン」を1日3回、12週間摂取させたところ、消化器症状、血液生化学的検査で問題となる所見は出現しなかった(1, 2)。 食事指導を受けているNIDDM患者を対象に、「グルコデザイン」の2倍量を含有する被験食品(スープ)を1日3回、12週間摂取させたところ、問題となる症状は見られなかった(2)。
(1) 児玉ら、薬理と治療, 27 69-75(1999) (2) Kodama T et al, Eur J Clin Nutr. 59, 384-392 (2005) (3) 森本ら、日本栄養・食糧学会誌, 52: 293-300(1999)
イヌに対して63日間、3.0 g/日の小麦アルブミン(WA)を投与したところ、投与群では十二指腸内のアミラーゼ活性の抑制が観察され、また連続摂取による効果の減弱、消化管機能及び膵機能・形態等の変化等を観察しなかった(1)。 WAは、SD系ラットによる単回投与毒性試験、4週反復投与毒性試験、13週反復投与毒性試験のいずれにおいても毒性は観察されず、また、細菌を用いる復帰変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、マウスを用いる小核試験のいずれにおいても陰性であった(2)
(1) Koike D et al, Gastroenterol, 108: 1221-1229 (1995) (2) 日清製粉㈱社内研究報告書 (1992)
46名の被験者を空腹時血糖、及び食事負荷後血糖を指標に正常型(12名)、境界型(12名)、糖尿病型(22名)に分け、単回投与での血糖上昇抑制効果をクロスオーバー試験にて確認したところ、全ての群で投与時は非投与時よりも有意に、食後血糖値が押さえられることを確認した(1)。 健常人11名を対象に、0.5倍量、1倍量(グルココデザイン含有量)、2倍量の小麦アルブミンを含有する被験食品を朝食時に単回経口摂取させるクロスオーバー試験を行ったところ、食後血糖の上昇及び、食後1時間の血糖値AUCが摂取量依存的に低下した(2, 4)。 食事指導を受けているNIDDM患者を対象に、「グルコデザイン」の2倍量を含有する被験食品(スープ)を1日3回、12週間摂取させたところ、摂取群の3ヶ月間のHbA1cのAUCは、対照群よりも有意に低かった。また開始時のHbA1cが5.6~8.0%の被験者では、HbA1cは開始前よりも有意に低下していた(3)。 軽症NIDDM患者(HbA1c値6.0~8.0)を対象(「グルコデザイン」摂取群13、対照群5)に、2重盲験試験にて1日3回、12週間毎食時摂取させたところ、摂取群ではHbA1c値が開始時に比して、2ヶ月目,3ヶ月目では有意に低下した。特に、開始時のHbA1cが7.0~8.0%の患者では2ヶ月目,3ヶ月目の低下が顕著であった(4, 5)。
(1) 森本ら、日本栄養・食糧学会誌, 52 285-291 (1999) (2) 森本ら、健康・栄養食品研究 (1998) Vol.1, No.2: 56-61 (3) 森本ら、日本栄養・食糧学会誌, 52: 293-300(1999) (4) 児玉ら、薬理と治療, 27: 69-75(1999) (5) Kodama T et al, Eur J Clin Nutr. 59, 384-392 (2005)
イヌに対して63日間、3.0 g/日の小麦アルブミン(WA)を投与したところ、投与群では十二指腸内のアミラーゼ活性の抑制が観察され、また連続摂取による効果の減弱を観察しなかった(1)。 ラットの膵臓、唾液腺及び空腸由来の糖質分解酵素に対する活性を調べたところ、WAは唾液腺及び膵臓由来のアミラーゼを共に阻害したが、二糖類水解酵素(スクラーゼ、マルターゼ、トレハラーゼ、ラクターゼ)の活性を阻害しなかった(2)。 ラットにWA(20 mg)及び澱粉溶液を投与したところ、投与15分後の血漿グルコース濃度及び、投与90分後までの累積インスリン濃度は、投与群は対照群よりも有意に低値を示した(2)。 ラットにWA含有飼料(2.4%)を2週間投与したところ、投与群では副睾丸脂肪組織と腸管膜脂肪組織の重量は有意に減少した(2)。 Zucker系肥満ラットに、WA含有飼料(4.8%)を11週間投与したところ、脂肪組織重量の減少、脂肪組織中及び肝臓中の脂肪酸合成酵素活性の低下が観察された。また、血糖値及び血漿インスリン濃度が有意に低下し、尿糖排泄量は有意且つ大幅に減少した(3)。 STZ糖尿病ラットにWA添加飼料(5%)を10週間投与したところ、対照群に比して、糖尿病による体重減少の抑制(P<0.001)、血中フルクトサミンの低下(P<0.05)等及び、飼育後の糖負荷試験で耐糖能の改善(P<0.01)等が観察された(4)。
(1) Koike D et al, Gastroenterol (1995) 108 1221-1229 (2) 合田ら、第50回日本栄養・食糧学会大会, 2J-p5 (1996) (3) 志村ら、第52回日本栄養・食糧学会大会, E32 (1998) (4) 森本ら、糖尿病, 43: 421-430 (2000)