食経験豊富なイワシを原料としており、安全で苦味、魚臭を減じた食品素材である。
レニン-アンジオテンシン系のアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIに変換するアンジオテンシン変換酵素 (ACE) を阻害する作用を有し血圧降下作用を示す。
バリルチロシン量:HPLC法 ACE阻害活性:Cushmanの変法 (1)
(1) Maruyama et al.,Agric.Biol.Chem,46,1393(1982)
研究1 1日摂取目安量の4倍量を軽症高血圧者および正常高値血圧者44名 (試験食23名、プラセボ食21名) に4週間摂取させた。血液検査値、尿検査値及び身体的測定において臨床的に問題となるものは認められず、さらに副次作用も認められなかった (1) 。
(1) 健康・栄養食品研究,Vol.6,No.2,99-112(2003)
研究1 10,000 mg/kgのイワシ由来短鎖ペプチドをSD系雄ラットに単回経口投与試験を行った。死亡例は認められず、一般状態・体重推移・病理学的検査でイワシ由来短鎖ペプチドに起因すると思われる変化は認められなかった (1) 。 研究2 1,250~5,000mg/kgのイワシ由来短鎖ペプチドをSD系雄ラットに28日間反復経口投与試験を行った。一般状態・体重・摂取量・飲水量・尿検査・血液生化学的検査・病理学的検査においてイワシ由来短鎖ペプチドに起因すると思われる変化は認められなかった (2) 。
(1) 試験報告書 ( (株) 実生研、試験番号:B9214-1,1992) (2) 試験報告書 ( (株) 実生研、試験番号:B9214-2,1992)
研究1 軽症高血圧者および正常高値血圧者88名 (試験食群44名、プラセボ食群44名) に12週間摂取させた。試験食群では収縮期血圧が摂取前148 ±11 mmHgに比し、摂取4週間後138 ± 12 mmHg、摂取6週間後137 ± 10 mmHg、摂取8週間後134 ± 9 mmHg、摂取10週間後134 ± 11 mmHg、摂取12週間後135 ± 11 mmHgと降圧を示した。一方プラセボ群では血圧に変動は認められず、収縮期血圧においては両群の血圧変動パターンが異なることが示された (1) 。
(1) 健康・栄養食品研究, Vol.6 , No. 2, 65-82 (2003)
研究1 SHRにバリルチロシンを静注したところ (dose 20, 50 mg/kg) 、血圧変化率 (%) は収縮期血圧で-3.9~-9.9%、拡張期血圧で-22.6~-28.0%であった (1) 。 研究2:SHRにイワシタンパク質由来ペプチドおよびバリルチロシンを経口投与した結果、血圧降下作用が認められた。イワシタンパク質由来ペプチドを10, 100, 1,000 mg/kg投与した群は4時間後に血圧が低下した。バリルチロシンを1, 10 mg/kg投与した群は2時間後に血圧が低下し、投与8時間後まで降圧作用は持続した (2) 。
(1) Biosci.Biotech.Biochem.,59 (8) ,1398, (1995) (2) 日本栄養・食糧学会誌,Vol.52,No.5,271-277(1999)