関与成分である難消化性デキストリンはでん粉をα‐アミラーゼで加水分解し、イオン交換樹脂により脱塩して粉末化した分枝構造の発達した平均分子量1,600 のデキストリンである。
難消化性デキストリンは上部消化管では消化されずに大腸に達し、一部は腸内細菌に資化されて短鎖脂肪酸となり大腸内のpH を低下させ、残りは糞便体積の増加に寄与する。大腸内を酸性に維持することで、腐敗物質や発ガン性物質の生成を抑制し、糞便容積の増加と相まって腸管を刺激し腸の蠕動運動を賦活化する。
栄養学雑誌、Vol.51 No.1 31~37 (1993)
低分子水溶性食物繊維を含む食品に適用される酵素‐HPLC 法を準用する。
出典:「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」、 平成11 年4 月26 日衛新第13 号、8 食物繊維
研究1: 成人男女74名を対象に、難消化性デキストリンを食物繊維として5.8~34.9 g 単回摂取させた。その結果、臨床的に問題となる胃腸症状は見られず、下痢発症のED50 値は難消化性デキストリン (食物繊維として) 1.4 g/kg 体重と推定された(1)。 研究2: 健常者71 例を対象に、難消化性デキストリンを含有するケール青汁粉末飲料(当該食品) を1 日3 包(難消化性デキストリン由来の食物繊維として5.1g)、 2 週間連続して摂取させることによりガスの発生及び膨満感が増加したが、いずれも3~4 日程度の一過性のものであり臨床上問題とはならなかった。(2)
(1) 栄養学雑誌、Vol.51 No.1 31-37(1993) (2) 健康・栄養食品研究、4(4).29-35(2001)
研究1: ICR 系雄性マウスを用いた急性毒性試験の結果、難消化性デキストリンは経口投与による死亡例を認めず、LD50 値は20 g/kg以上であると推定された。(1)
(1) 食品衛生誌、Vol.33 No.6 557-562(1992)
研究1: 健常成人男性8 名を対象に、難消化性デキストリンを35 g/日で5 日間連続摂取したところ、糞便重量、排便回数の増加が見られた。また便秘傾向にある健常成人30名に難消化性デキストリンを5~10 g/日にて5 日間連続摂取を行ったところ、排便状態の改善が見られた(1)。 研究2: 健常成人71 名を対象に、難消化性デキストリンを含有するケール青汁粉末飲料の摂取による便性への影響について検討した。その結果、1 週間の排便回数が6 回以下の便秘傾向者(20 名)において、難消化性デキストリンを含有するケール青汁粉末飲料の個包装を1 日3包(難消化性デキストリン由来の食物繊維として5.1g)摂取させることにより、排便回数および排便量が有意に増加した。(2)
(1) 栄養学雑誌、Vol.51 No.1 31~37 (1993) (2) 健康・栄養食品研究、4(4),29-35(2001)
研究1: ラットに難消化性デキストリン (食物繊維として1.8g)を経口投与後72 時間にわたり糞便を採取し、糞便中の総糖量から排泄率を測定した。その結果、難消化性デキストリンの糞便への排泄率は約36%であった(1)。 研究2: ラットを難消化性デキストリン5%添加飼料で4 週間飼育した後、消化管通過時間を測定した。その結果、難消化性デキストリン摂取群の消化管通過時間は非摂取群と比較して有意に短縮された(1)。 研究3: ラットに難消化性デキストリン水溶液を飲料水として連続投与し糞便乾燥重量および摘出した盲腸の重量、内容物のpH、短鎖脂肪酸量を測定した。その結果、対照群と比較して難消化性デキストリン連続摂取群では乾燥糞便重量の増加、内容物込みの盲腸重量の増加、pHの低下、短鎖脂肪酸量の増加が認められた(2)。
(1) 食品衛生学雑誌、33,557-562(1992) (2) 日本栄養・食糧学会誌、44,471-478(1991)