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ドオウレン

カテゴリー:素材
更新日:2020/06/01

もくじ

(リーフレット版はこちら)

  1. はじめに
  2. ドオウレンってきくの?
  3. ドオウレンは安全なの?
  4. からだに不調があるとき
  5. まとめ

 

もっと詳しく知りたい方はこちら

  1. ドオウレンとはどんなもの?
  2. アルカロイドとは?
  3. 指定成分等って?
  4. アドバイザリースタッフとは?

 

はじめに

 「ドオウレン」や「クサノオウ」という名前の植物を含む健康食品が、種々の痛みに効く、体内の毒素を排出するなどさまざまな効果を宣伝して販売されているのを見たことありますか?実は、日本国内での流通は少ないようですが、海外製品がインターネットなどで簡単に購入できるのです。
 これらの商品にはアルカロイド類という成分が入っていて、がんや痛みに効くなど、さまざまな不調の症状をおさえるといった働きが期待されているようです。しかし、海外ではこれらの商品の利用により重篤な健康被害が多発していることから、食品衛生法が改正され、「指定成分等」に指定されました。
 そこで、ドオウレン (別名:クサノオウ) の効果や安全性について、今わかっていることをお伝えします。

 

ドオウレンってきくの?

ドオウレンには、アルカロイドという体に強い影響を与える成分が含まれています。そのため、「痛みに効く」「体内の毒素を出す」といった効果をうたった宣伝も見受けられますが、私たちがドオウレンを摂ったときに本当に望ましい効果があるのかどうか、研究を調べてみたところ、そうした効果を証明した十分な情報は見当たりませんでした。それどころか、からだに悪い影響があったとする報告がいくつも見つかりました。

 

ドオウレンは安全なの?

 海外では、ドオウレンの入った商品を使った人において重篤な健康被害が起きています。具体的には、おう吐や食欲不振、皮膚の症状に加え、肝機能障害を生じた事例が多くあります。このような症状は、ドオウレンに含まれるアルカロイドという成分が原因になっていると考えられています。アルカロイドは、少量でも強い体調不良や肝臓の障害を起こす可能性があるのです。
 そのため、ドウオレンの食品への使用に注意喚起をおこなったり、使用を禁止している国がたくさんあります。

 

 

からだに不調があるときは

 日常の生活で痛みやからだの不調がある時は、サプリメント製品を使用するのではなく、お近くの病院で医師の診察を受け、指示にしたがってください。また、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事と適度な運動、スッキリ目覚める睡眠を心がけましょう。

● どうしてもドオウレンの健康食品を利用したい場合
 手軽に痛みがおさえられるなどとうたった商品には、魅力を感じると思いますが、簡単に効果がみられることはありません。むしろ、悪い影響を起こす可能性があります。健康食品を利用したいときは、薬剤師や管理栄養士、健康食品・サプリメントのアドバイザリースタッフなど専門的な知識を持った方に、ご相談ください。

●ドオウレンの商品を利用していて体調の異常を感じた場合
 すぐに利用をやめて、お近くの内科など、症状に応じた診療科を受診してください。病院へ行くほどの体調不良ではない場合は、お近くの保健所へ相談してください。いずれの場合においても、必ずパッケージに書いてある連絡先か購入したお店にも連絡してください。これはドオウレンが「指定成分等」に指定されているため、販売元やお店はすべての健康被害を保健所などに届け出る義務があるためです。体調不良を感じた時の対応方法については、こちらのページもご覧ください。

 

まとめ

 ドオウレンを含む商品が、からだに不調がある人が喜ぶようなイメージを宣伝して販売されています。しかし、それらの効果は今のところわかっていないばかりか、摂取して体調不良を感じた人や肝臓の障害を受けた人も多いため、「指定成分等」に指定されています。効果を期待して簡単に利用するのでなく、医師に相談する、生活習慣を見直すなどした上で、本当に必要かどうかを冷静に判断しましょう。どうしても利用したいときは薬剤師や管理栄養士、アドバイザリースタッフに相談した上で利用しましょう。

 

もっと詳しく知りたい方はこちら

ドオウレンとはどんなもの

 ドオウレン (学名Chelidonium majus L. var. asiaticum (H.Hara) Ohwi) は、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ原産のケシ科の多年生の植物です。海外では、葉をよく茹で、よく水にさらして野菜として食されているようです (2) 。また、伝統療法として葉の絞り汁や乾燥させた葉のハーブティーなどが用いられていたようですが、肝機能障害が相次いだことからオーストラリアやドイツ、カナダでは注意喚起や食品への使用規制がされています。
 日本では、食品衛生法において「指定成分等」に指定されています。

 

アルカロイドとは?

 アルカロイドとは、窒素原子を含む植物の2次代謝化合物の一群で、多くが植物が他の生物からの攻撃から身を守るために有毒性であるといわれています (1) 。ドオウレンには、人の体に強い影響を与えると考えられているケラミジン、サンギナリン、ベルベリンなどのアルカロイドが含まれています (2) 。これらのアルカロイドに薬効が期待されていましたが、肝機能障害を起こす可能性があることが動物の実験でわかっており (3) 、人においても摂取により肝機能障害となった例がいくつも報告されています (4-9) 。しかし、症状の重症度と摂取量との間に関係があるかどうか詳しくはわかっていません。少しの量でも肝臓に強い影響を与える可能性があります。

 

指定成分等って?

 プエラリア・ミリフィカを含む健康食品を利用した事により健康被害が多発したことをきっかけに、2020年6月に改正食品衛生法が施行され、健康食品の素材の中でも、作用が強く健康被害が生じやすいものを「指定成分等」として管理することになりました。
 ドオウレンについては、日本国内ではあまり販売されておらず、健康被害は報告されていませんが、海外では、ドオウレンを含む健康食品の利用により、肝機能障害など重篤な健康被害を起こしたという報告が多いことから、このドオウレンも指定成分等の一つとして管理されています。そのため、ドオウレンの商品を利用する方は自身の体調変化には十分気を付けて、体調不良を感じた場合には、すぐに保健所に連絡し、必ず販売元(表示責任者)にも連絡してください。販売元(表示責任者)がわからない場合は、購入した店舗に連絡するようにしてください。詳しくは、こちらのページをご覧ください。

 

アドバイザリースタッフとは?

 アドバイザリースタッフとは、健康食品やサプリメントについての正しい知識を持ち、身近で気軽に相談を受けてくれる、民間の資格をもった言わば健康食品の専門家です。主な資格として、NR・サプリメントアドバイザー(一般社団法人日本臨床栄養協会)、食品保健指導士(公益財団法人日本健康・栄養食品協会)、健康食品管理士(一般社団法人日本食品安全協会)などがあります。アドバイザリースタッフの中には、講演会などを通じて、健康食品の適切な利用や、利用による健康被害の防止のための活動をしている方もいます。
 身近なところでは、薬局や薬店、病院などで活躍している人も多いので、ドオウレンにかぎらず、健康食品を購入・利用する際には、是非、アドバイザリースタッフに相談しましょう。

 

参考文献

1.Materials Today Chemistry. 2018; 9: 56-72.
2.健康・機能性食品の基原植物事典 中央法規
3.(PMID: 31054355) Toxicol Lett. 2019 Sep 1;311:91-97.
4.(PMID:10535888) Gastroenterology. 1999 Nov;117(5):1234-7.
5.(PMID:12795472) Scand J Gastroenterol. 2003 May;38(5):565-8.
6.(PMID:19397968) J Ethnopharmacol. 2009 Jul 15;124(2):328-32.
7.(PMID:18720945) Acta Gastroenterol Belg. 2008 Apr-Jun;71(2):281-2.
8.(PMID:19452589) World J Gastroenterol. 2009 May 21;15(19):2414-7.
9.(PMID:18403950) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2008 May;20(5):469-71.

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