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「感染症予防に亜鉛が効く」等の情報に注意

更新日:2023/12/12

亜鉛新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対して効果があるようにうたう宣伝が見 受けられますが、

現時点ではそのような効果は確認されていません。


 

同じウイルス性感染症であるインフルエンザの予防に対する効果を検討した論文を検索したところ、論文は見つかりませんでした。

亜鉛は風邪に良いと言われることから、風邪や上気道感染症の予防に対する効果を解析したメタ分析 (複数の試験を総合的に評価した結果)について調べたところ4報の論文が検索され、1報では風邪の発症リスク低下と関連が認められましたが、別の1報では急性呼吸器感染症の症状の持続時間の短縮との関連が認められましたが、その発症リスクとの関連は認められませんでした。
もう1報では、急性気道感染症発症3日目の症状重症度スコアの低下、持続時間の短縮との関連が認められましたが、症状の一日平均重症度とは関連が認められませんでした。
残りの1報では、子どもにおいて発生リスクとの関連は認められませんでした。

なお、亜鉛を多く含む食品としてお勧めされる牡蠣についても調べてみましたが、インフルエンザや風邪、上気道感染症の予防に対する効果を検討した論文は見つかりませんでした。

 

このように、現時点では、インフルエンザや呼吸器感染症の予防に対して「亜鉛が効く」といえる十分な情報は見当たりません。

新型コロナウイルス感染症に対して検討した論文も見当たりませんので、情報の拡大解釈にはご注意ください。

新型コロナウイルスに対しては、手洗いなど、正しい予防を心掛けましょう。

 

新型コロナウイルス感染予防のために (厚生労働省) は、こちら

 


 

【参考文献】

(メタ分析)
・風邪の発症率が低下した
(PMID:23775705)Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jun 18;(6):CD001364.
・急性呼吸器感染症の症状持続時間を短縮させたが、発症リスクとの関連は認められなかった
(PMID:33472840)BMJ Glob Health. 2021 Jan;6(1):e003176.
・急性ウイルス性気道感染症の発症3日目の症状重症度スコアの低下、持続時間の短縮とは関連が認められたが、症状の一日平均重症度スコアとの関連は認められなかった
(PMID:34728441)BMJ Open. 2021 Nov 2;11(11):e047474.

[研究の対象者:子ども]
(メタ分析)
・子どもにおける亜鉛の摂取は気道感染症の発生リスクとの関連は認められなかった
(PMID 34626488) Allergy. 2022;77(5):1373-1388.

 

 

 

<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>

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