グロビン蛋白分解物はヘモグロビンを酵素分解して得られた平均鎖長3~5のオリゴペプチドの混合物であり、食後の血清中性脂肪 (TG) の上昇抑制作用をもつ。グロビン蛋白分解物に含まれるテトラペプチドVal-Val-Tyr-Pro (VVYP) が活性ペプチドとして単離されており、関与成分の分析指標となっている。
グロビン蛋白分解物の食後の血清中性脂肪上昇抑制作用は、膵リパーゼ活性を阻害し、腸管からの脂肪の吸収を抑制するとともに、リポ蛋白リパーゼ活性および肝性トリグリセリドリパーゼ活性を亢進し、吸収された脂肪の代謝を促進することによる。
(PMID8637399) Life Sci. 1996:58(20);1745-55. (2009001275) 薬理と治療. 2008:36(6);531-540.
活性指標のテトラペプチドVal-Val-Tyr-Pro (VVYP) を高速液体クロマトグラフィーにより定量する。
研究1: 対象健常成人男女13名 方法:試験飲料 (グロビン蛋白分解物1 g含有) を一度に3本 (1日摂取目安量の3倍量) 、毎夕食後に14日間摂取させた。 結果:血清脂質、肝機能、腎機能などに異常は全く認められなかった。また、下痢などの胃腸症状や皮膚症状も認められなかった (1) 。 研究2: 対象:境界域高TG (空腹時血清TGが110 mg/dL以上150 mg/dL未満) の成人男女6名および高脂血症 (空腹時血清TGが150 mg/dL以上) の成人男女8名を含む成人男女25名 方法:試験食品 (グロビン蛋白分解物0.6 g あるいは1 gを含有するソフトカプセル) または対照食品 (グロビン蛋白分解物を含まないプラセボ) を3ヶ月間毎日摂取させ、プラセボ群と他の群を比較した。 結果:肝機能、腎機能、胃腸症状、皮膚症状、尿検査等に異常は全く認められなかった。血清脂質濃度は減少傾向を認めたものの有意ではなかった (2) 。 研究3: 対象:境界域高TG (空腹時血清TGが110 mg/dL以上150 mg/dL未満) の成人男女6名および正脂血症 (空腹時血清TGが110 mg/dL未満) の成人男女6名 方法:試験飲料 (グロビン蛋白分解物1 g含有) を最初の1週間は毎夕食時に3本、次の1週間は毎夕食時に1本摂取させた。 結果:試験後、すべての被験者において胃腸症状や皮膚症状等に異常は全く認められなかった。また、肝機能、腎機能検査についても変動は観察されなかった (3) 。
(1) 森永製菓株式会社 社内資料 (2) 森永製菓株式会社 社内資料 (3) 森永製菓株式会社 社内資料
グロビン蛋白分解物を用いて下記試験を行ったところ、評価項目全てにおいて特記すべき所見は認められず、食品素材としての安全性が確認された。 ・マウスにおける単回投与毒性試験 (2007132628) 。 ・ラットにおける反復投与毒性試験 (2007132629) 。 ・細菌を用いた復帰突然変異試験 (2007132630) 。 ・培養細胞を用いた染色体異常試験 (2007132631) 。 ・マウスを用いた小核試験 (2007132632) 。
(2007132628) 薬理と治療. 200634(11);1163-1164. (2007132629) 薬理と治療. 2006:34(11);1165-1172. (2007132630) 薬理と治療. 2006:34(11);1173-1178. (2007132631) 薬理と治療. 2006:34(11);1179-1183. (2007132632) 薬理と治療. 2006:34(11);1185-1187.
研究1: 試験A 対象健常成人男性22名 方法:被験者を3群に分け、対照飲料 (グロビン蛋白分解物を含まない) と試験飲料 (グロビン蛋白分解物1 gあるいは4 g含有) を用いて比較試験を行った。対照飲料あるいは試験飲料を1本、普通食 (脂肪25 g含有) と同時に摂取させた。 結果:グロビン蛋白分解物1 gおよび4 g含有飲料の摂取は、食後の血清カイロミクロントリグリセリド (CM-TG) の上昇を抑制した (PMID:9430602) 。 試験B 対象:健常成人男性6名 方法:対照飲料 (グロビン蛋白分解物を含まない) および試験飲料 (グロビン蛋白分解物4 g含有) を用いたクロスオーバー試験を実施した。対照飲料あるいは試験飲料を1本、普通食 (脂肪25 g含有) と同時に摂取させた。 結果:グロビン蛋白分解物含有飲料の摂取は、食後の血清TGおよびCM-TGの上昇を抑制した (PMID:9430602) 。 研究2: 対象:健常成人 (空腹時血清TGが110 mg/dL以下)の男女7名および境界域高TG (空腹時血清TGが111 mg/dL以上149 mg/dL以下) の成人男女5名を含む合計13名 方法:対照飲料 (グロビン蛋白分解物を含まない) と試験飲料 (グロビン蛋白分解物1 g含有) を用いて単盲検クロスオーバー試験を行った。対照飲料あるいは試験飲料を1本、高脂肪食 (脂肪40 g含有) と同時に摂取させた。 結果:グロビン蛋白分解物1 g含有飲料の摂取は食後の血清TG、レムナント様リポ蛋白コレステロールおよびカイロミクロン濃度の上昇を抑制し、それらのAUCを抑制した (2016151364) 。
(PMID9430602) J Nutr. 1998:128(1);56-60. (2016151364) 健康・栄養食品研究. 2002:5(3);131-144.
研究1: 方法脂肪摂取によって惹起される血清TGの上昇に対するグロビン蛋白分解物の抑制効果について、各種動物 (マウス、ラット、イヌ) を用いて調べた。 結果:脂肪とともにグロビン蛋白分解物を単回経口投与すると、投与後の血清TGの上昇が抑制され、この作用に種差はなかった (PMID:8637399) 。
(PMID8637399) Life Sci. 1996:58(20);1745-55.