・水溶性の高いカルシウムイオンを供給する。 ・口内を脱灰に傾きがちな酸性の状態から中性に戻すpH緩衝作用を有する。 ・ミュータンスレンサ球菌に利用されないため、う蝕の原因にならず、プラークの形成を抑制する。
【関与成分の構造式】 リン酸化オリゴ糖カルシウム (Phosphoryl oligosaccharides of calcium, POs-Ca) |
リン酸化オリゴ糖カルシウムは、高いpH緩衝作用によって、飲食後の酸性の口内環境を再石灰化の進みやすい中性の口内環境へと変化させる。同時に再石灰化に有効な水溶性のカルシウムイオンを唾液中に供給することで、唾液中に再石灰化に寄与するカルシウムイオンを供給し、唾液の「カルシウム/リン酸」濃度比 (0.5以下) を再石灰化に適切な「カルシウム/リン酸」濃度比である1.67に上昇させる。その結果、再石灰化作用で補われたミネラルは脱灰部において健全な歯と同様の配向性をもったハイドロキシアパタイト結晶としてエナメル質に取り込まれ (再結晶化) 、う蝕予防に対して高い効果を有する。
(PMID7549090) Biosci Biotechnol Biochem. 1995:59(8);1412-6. (2002166456) 口腔衛生学会雑誌. 2002:52(1);66-71. (2010083370) 日本歯科保存学雑誌. 2009:52(6);534-42.
チューインガム水抽出液を逆相カラムに通してデキストリン等を除いた後、HPLCにより分析し、POs-Ca50 (株式会社王子コーンスターチ製) を標準品としてピーク面積の比較により定量。
社内報告書
研究1: 21~46歳のボランティア30名 (男性14名、女性16名) に2.5%のリン酸化オリゴ糖カルシウムを含有するチューインガムを推奨摂取量の3倍 (18粒/日)、4週間にわたって摂取してもらい、有害事象の有無を追跡した。その結果、糖アルコールに起因すると思われる腹部膨満感、軟便などの消化器症状を示す症例がみられたが、いずれも一過性かつ軽微なものであり、その他臨床上問題となる異常変動は見られず、過剰摂取での安全性が確認された (1) 。 研究2: 35名のボランティアに過剰量 (2.6 g) のリン酸化オリゴ糖カルシウム (ポスカガム粒換算で80粒相当) を一度に摂取してもらい、その後の胃腸症状を確認した結果、一部で便の軟化や腹部の張り、腹鳴を訴えたボランティアがいたが、いずれも一過性かつ軽微なものであり、リン酸化オリゴ糖カルシウムを過剰量摂取しても胃腸症状に大きな影響を与えなかった (2003181721) 。
(1) 株式会社ヒューマR&D 試験報告書 (2003181721) Journal of Applied Glycoscience. 200350(1);51-54.
研究1 チャイニーズ・ハムスター肺線維芽細胞株を最大5 mg/mlのリン酸化オリゴ糖カルシウムで処理するin vitro染色体異常試験を行ったが、いずれも染色体異常の出現頻度は陰性対照と同等であった (1) 。 研究2: ラットを対象に、体重1 kgあたり最大1000 mgのリン酸化オリゴ糖カルシウムを1日1回、90日間反復経口投与したが、すべての雌雄ラットにおいて、一般状態の変化は認められず、死亡例も皆無であった (2) 。
(1) 公益財団法人食品農医薬品安全性評価センター 報告書 (2) 株式会社新日本科学 報告書
研究1: 健常成人20名 (男性10名、女性10名) の被験者に予め脱灰処理をおこなった歯片を口腔内装置に装着させた状態でリン酸化オリゴ糖カルシウム (POs-Ca) 配合ガムもしくはPOs-Ca非配合ガム (対照食) を咀嚼させた際のPOs-Caの再石灰化ならびに再結晶化効果について検証を行った。ガムは1回2粒を20分間咀嚼した。これを1日あたり3回、14日間連続で実施し、脱灰歯の再石灰化ならびに再結晶化に及ぼすPOs-Ca配合ガムおよび非配合ガムの効果を調査した。その結果、POs-Ca非配合ガム咀嚼群と比較して、POs-Ca配合ガム咀嚼群 に装着されていた脱灰歯片は高率で再石灰化していること、再石灰化した部位が高率で再結晶化 (元の健全な歯のハイドロキシアパタイトの結晶に回復) していることを確認した (2010083370) 。 研究2: リン酸化オリゴ糖カルシウム (POs-Ca) 配合シュガーレスガムまたはPOs-Ca非配合シュガーレスガムを用いて、被験者 (健常成人8名) に1回2粒、20分間ガムを咀嚼させた。その間分泌する唾液をすべて回収し、初期むし歯を形成させたエナメル歯片 (脱灰歯片) を浸漬し、再石灰化ならびに再結晶化効果に与えるPOs-Caの影響を検証した。その結果、POs-Ca非配合ガムと比較して、POs-Ca配合ガム咀嚼唾液に浸漬した脱灰歯片は高く再石灰化していること、再石灰化した部位が高く再結晶化 (元の健全な歯のハイドロキシアパタイトの結晶に回復) していることを確認した。また唾液の分析を行ったところ、POs-Ca配合ガム咀嚼唾液では唾液中のカルシウム濃度および「カルシウム/リン酸」濃度比がPOs-Ca非配合ガムと比較して高いことが明らかになった (2010052669) 。 出典: (2010083370) 日本歯科保存学雑誌. 2009:52(6);534-42. (2010052669) 薬理と治療. 2009:37(10);849-56.