茶カテキンとは、チャに含まれるポリフェノールのうち主要なカテキン類8成分の総称である。本成分は特有の苦渋味を呈し、緑茶の飲用等を通じて古来より多くの人に摂取されている。本成分は体脂肪低減作用や血清コレステロール低下作用を有し、特に没食子酸エステルを持つガレート型カテキンでその作用が強いことが報告されている。
【関与成分の構造式】 |
食事とともに摂取した茶カテキン、特にガレート型カテキンは、小腸において膵リパーゼ活性阻害を通じて脂肪の吸収を抑制し、便中への脂肪の排出を促進させることで体脂肪を低下させる (PMID:15671206) (2009273433) 。また、ガレート型カテキンは小腸において胆汁酸ミセルと会合し、ミセル中のコレステロールをミセルから脱離させる。この作用により、小腸でのコレステロール吸収を抑制し、血清コレステロールを低下させる (PMID:14640575) 。
(PMID15671206) J Nutr. 2005:135(2);155-159. (2009273433) 薬理と治療. 2009:37(6);521-527. (PMID:14640575) J Agric Food Chem. 2003:51;7303-7307.
関与成分の分析は、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) により行う (1) 。カテキン類8成分 (C:カテキン、EC:エピカテキン、GC:ガロカテキン、EGC:エピガロカテキン、Cg:カテキンガレート、ECg:エピカテキンガレート、GCg:ガロカテキンガレート、EGCg:エピガロカテキンガレート) を定量し、その合計量を茶カテキン量とする。
(1) J Chromatography A. 1996:746;295-299.
研究1: 対象:BMI 22~30 kg/m2 (普通体重から肥満1度) の健常な成人男女45名。 方法:被験者を2群に分け、試験飲料または対照飲料を毎日6本、4週間摂取させた。試験飲料として茶カテキン233 mg/本 (ガレート型カテキン228 mg/本) を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。 結果:臨床検査値、自他覚症状において、試験飲料に起因する有害事象は見られなかった (2005292872) 。
(2005292872) 健康・栄養食品研究. 2005:8(1);1-12.
研究1: 方法:緑茶抽出物について、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた復帰突然変異試験を実施した。 結果:茶抽出物に遺伝子突然変異を誘起する作用はないと判断された (1) 。 研究2: 対象:CD (SD) 系ラット雌雄各40匹。 方法:雌雄のラットをそれぞれ投与量の異なる4群 (0、100、300、800 mg/kg) に分け、緑茶抽出物を1日1回90日間連続で強制経口投与した。 結果:緑茶抽出物の無毒性量は300 mg/kg/dayと判断された (2) 。
(1) 公益財団法人食品農医薬品安全性評価センター 報告書 (試験番号3850 (140-008)). 1998. (2) 公益財団法人食品農医薬品安全性評価センター 最終報告書 (試験番号:8329 (140-019)). 2005.
研究1: 対象:BMI 22.5~30 kg/m2 (普通体重から肥満1度) の健常な成人男女195名。 方法:被験者を対照群 (対照飲料3本/日) 、2本群 (茶カテキン飲料2本/日+対照飲料1本/日) 、3本群 (茶カテキン飲料3本/日) に分け、各飲料を12週間摂取させた。試験飲料として茶カテキン215 mg/本 (ガレート型カテキン211 mg/本) を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。腹部CT検査は摂取開始時と摂取12週後に行った。 結果:試験飲料の摂取により、体重、BMIが2本群、3本群とも対照群と比較して4、8、12週後に低下した。また、摂取12週後の総脂肪面積、内臓脂肪面積は2本群、3本群とも対照群と比較して低下した (1) 。 研究2: 対象:BMI 23~30 kg/m2 (普通体重から肥満1度) の健常な成人男女73名。 方法:被験者を2群に分け、試験飲料または対照飲料を毎日2本、12週間摂取させた。試験飲料として茶カテキン183 mg/本 (ガレート型カテキン170 mg/本) を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。CT検査は摂取開始時と摂取8、12週後に行った。 結果:試験飲料の摂取により、体重、BMIが対照群と比較して8、12週後に低下した。また、摂取12週後の総脂肪面積、内臓脂肪面積が対照群と比較して低下した (2008058738) 。 研究3: 対象:BMI 23~30 kg/m2 (普通体重から肥満1度) の健常な成人女性41名。 方法:被験者を2群に分け、試験飲料または対照飲料を毎日2本、12週間摂取させた。試験飲料として茶カテキン196 mg/本 (ガレート型カテキン170 mg/本) を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。CT検査は摂取開始時と摂取12週後に行った。 結果:試験飲料の摂取により12週後のCT検査による内臓脂肪面積が対照群と比較して低下した (2009273433) 。 研究4: 対象:血清総コレステロールが高め (200~280 mg/dL) の健常な成人男性42名。 方法:被験者を対照群 (対照飲料3本/日) 、2本群 (試験飲料2本/日+対照飲料1本/日) 、3本群 (試験飲料3本/日) に分け、各飲料を8週間摂取させた。試験飲料としてガレート型カテキン150 mg/本を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。 結果:試験飲料の摂取により、対照群と比較して3本群では8週後に総コレステロール、LDLコレステロールが低下した (2016139920) 。 研究5: 対象:血清総コレステロールが高め (180~259 mg/dL) の健常な成人男女60名。 方法:被験者を試験飲料群と対照飲料群の2群に分け、各飲料を毎日2本、12週間摂取させた。試験飲料としてガレート型カテキン197 mg/本を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。 結果:試験飲料の摂取により総コレステロールは12週後に対照群と比較して低下した (2005139542) 。 研究6: 対象:血清総コレステロールが高め (180~260 mg/dL) の健常な成人女性132名。 方法:被験者を試験飲料群と対照飲料群の2群に分け、各飲料を毎日2本、12週間摂取させた。試験飲料としてガレート型カテキン196 mg/本を含む飲料を、対照飲料として茶カテキンを含まない飲料を用いた。 結果:試験飲料の摂取により総コレステロール、LDLコレステロールともに4、8、12週後に対照群と比較して低下した (2006234438) 。
(1) J Health Sci. 2005:51(2);161-171. (2008058738) 日本臨床栄養学会雑誌. 2007:29(2);72-80. (2009273433) 薬理と治療. 2009:37(6);521-527. (2016139920) 健康・栄養食品研究. 2002:5(2);1-9. (2005139542) J Clin Biochem Nutr. 2003:33(3);101-111. (2006234438) Health Sciences. 2006:22(1);60-71.
研究1: EGCg、ECg、EGC、ECおよびその熱異性化体 (GCg、Cg、GC、C) の膵リパーゼ阻害作用を測定した。その結果、ガレート型カテキン (EGCg、GCg、ECg、Cg) は膵リパーゼ阻害作用を示したが、遊離型カテキン (EGC、GC、EC、C) はその作用を示さなかった。また、EGCg、ECgを主体とするカテキン混合物 (テアフラン90S) と、熱処理によってEGCg、ECgの一部が異性化することで生じたGCg、Cgを含むカテキン混合物 (熱異性化テアフラン90S) は、どちらも濃度依存的な膵リパーゼ阻害作用を示した (PMID:15671206) 。 研究2: ラットを用いて腸管から胸管リンパへのコレステロール吸収を検討した結果、ガレート型カテキン投与により、非投与のときと比較して、コレステロール吸収を抑制することが確認された (PMID:14640575) 。
(PMID15671206) J Nutr. 2005:135(2);155-159. (PMID:14640575) J Agric Food Chem. 2003:51;7303-7307.