関与成分である難消化性デキストリンはでん粉をα‐アミラーゼで加水分解し、イオン交換樹脂により脱塩して粉末化した分枝構造の発達した平均分子量1,600のデキストリンである。
難消化性デキストリンは上部消化管では消化されずに大腸に達し、一部は大腸内のpHを低下させ、残りは糞便体積の増加に寄与する。大腸内を酸性に維持することで、腐敗物質や発がん性物質の生成を抑制し、糞便容積の増加と相まって腸管を刺激し腸の蠕動運動を賦活化する。
栄養学雑誌、Vol.51 No.1 31~37(1993)
低分子水溶性食物繊維を含む食品に適用される酵素‐HPLC法(1)に準じ、下記の操作を行う。 1. 酵素処理液の調整:各種酵素により炭水化物およびたんぱく質の消化を行う。 2. 高速液体クロマトグラム用溶液の調整:イオン交換樹脂によりイオン性不純物質(たんぱく質、有機酸、無機塩類等)の除去を行い、難消化性デキストリンを濃縮する。 3. 高速液体クロマトグラムで定量:得られた高速液体クロマトグラムより三糖類以上の画分中の難消化性デキストリン画分をグルコースによる検量線法にて求める。
(1)AOAC2001.03Journal of International、85,2,435-444(2002)
研究1: 健常成人男女74名を対象とし、難消化性デキストリン (食物繊維として) 5.8 g~34.9 gを単回摂取した結果、臨床的に問題となる胃腸症状は認められず、下痢発症のED50値は難消化性デキストリン (食物繊維として) 1.4 g/kg 体重と推定された(1)。 研究2: 血清コレステロール値あるいは中性脂肪値が正常範囲上限値を超える成人男性12名を対象とし、難消化性デキストリン (食物繊維として) 9 g/食を1日3回、12週間連続摂取させた結果、試験期間中において下痢などの消化器症状を含め、難消化性デキストリンに起因する随伴症状は見られなかった(2)。 研究3: 高脂血症を伴ったインスリン非依存型糖尿病患者5名を対象とし、難消化性デキストリン (食物繊維として) 17 g/食を1日3回、12週間連続摂取させた結果、摂取期間中において下痢・腹痛などの副作用は認められず、臨床上問題となる所見も見られなかった(3)。
(1)栄養学雑誌、51,31-37(1993) (2)日本食物繊維研究会誌、4,2,59-65(2000) (3)日本栄養・食糧学会誌、45,21-25(1992)
研究1: マウスを用いた急性毒性試験において死亡例は認められず、LD50値は最大投与可能量の20 g/kg以上と推定された。また、微生物を用いた変異原性試験において、代謝活性化の有無にかかわらず復帰変異が認められないことが確認された。これらの結果に加え、難消化性デキストリンは毒性に何ら問題がないものと考えられる。(1)
(1)食品衛生学雑誌 Vol.33,No.6(1992)
研究1: 健常成人男性8名を対象に、難消化性デキストリンを35 g/日で5日間連続摂取したところ、糞便重量、排便回数の増加が見られた。また便秘傾向にある健常成人30名に難消化性デキストリンを5~10 g/日にて5日間連続摂取を行ったところ、排便状態の改善が見られた(1)。
(1)栄養学雑誌、Vol.51 No.1 31~37(1993)
研究1: SD系雄性ラットを用いて単回投与試験(ふん便への排泄率の測定)及び連続投与試験(体重、盲腸重量、便性状などに及ぼす影響・消化管通過時間に及ぼす影響)を実施したところ、難消化性デキストリンが便通改善並びに消化管通過時間など、有用な生理作用を有することを確認した(1)。
(1) 食品衛生学雑誌 Vol.33,No.6(1992)