牛乳中に含まれる乳糖にβ-ガラクトシダーゼを作用させて製造されるβ-1,4系ガラクトオリゴ糖である。母乳中にも含まれる4’-ガラクトシルラクトースを主成分とし、2~4糖のガラクトオリゴ糖が混在している。腸内の有用菌であるビフィズス菌の増殖を促進する。
【関与成分の構造式】 |
ヒトの消化酵素によって消化吸収されずに消化管下部まで到達し、ビフィズス菌を増やす。その結果、有害菌の増殖や腐敗産物などの有害物質の生成を抑制する。また、ガラクトオリゴ糖や増加したビフィズス菌の代謝産物である有機酸の作用で腸管内容物の浸透圧を高め、腸管からの水分泌を促進し、便中水分や便量を増加させる。そして、有機酸の刺激による腸管運動の亢進と相まって便性・便通を改善する。
日本食品新素材研究会誌.20036(2);55-66. 日本食品科学工学会誌.2004:51(1);28-33. 腸内細菌学雑誌.2004:18(1);25-35.
HPLC法
研究1 健常成人20名を無作為に2群に分け、『オリゴ糖入り梅ドリンク』(ガラクトオリゴ糖2.5g/個含有、200mL/個)を3個(600mL)/日または、ガラクトオリゴ糖を含まないプラセボ飲料(200mL/個)を3個(600mL)/日、2週間飲用させ、その後の1週間を飲用後観察期とし、臨床検査値の変動および自覚症状の変化等を調査した。また、自覚症状の有無等について、期間を通じてアンケート調査した。 その結果、各臨床検査項目について、試験と因果関係のある有害事象は認められなかった(1)。 研究2: 健常成人男女10名ずつ20名を男女別に5名ずつ無作為に2群に分け、摂取前観察期1週間の後、1日当たりの摂取目安量の6倍量に相当するガラクトオリゴ糖15gを含有する飲料、またはガラクトオリゴ糖を含まないプラセボ飲料を2週間摂取させ、その後の1週間を摂取後観察期とし、アンケートにより下痢の発生や腹部症状等を調査した。 その結果、ガラクトオリゴ糖含有飲料の摂取に起因するとみられる下痢が1例発生したが、下痢の発生頻度はプラセボ群と差がなかった。本症例は、体調不良(飲用前に感冒に罹患していた)の状況下で最大無作用量に近いガラクトオリゴ糖を摂取したことが原因と考えられる。 この結果は、ヒトに対する過剰摂取試験において、ガラクトオリゴ糖の安全性に問題がないことを示すものである(2)。 食経験等: 『オリゴ糖入り梅ドリンク』に使用されている原材料は、すべて一般の食品に使われているものであり、かつ、本品は十分な食経験を有し、その間安全性が損なわれるような問題は一切生じていないことからも、本品の安全性は十分に高いと言える。
(1)(株)ヤクルト本社社内資料. (2)日本食品化学学会誌.200411(2);67-74.
関与成分であるガラクトオリゴ糖に関して安全性試験が実施され、ガラクトオリゴ糖の安全性に問題ないことが確認されている(1)、(2)。 ○ガラクトオリゴ糖に関する毒性試験 ・反復経口投与毒性試験(ラット) ・小核試験(マウス) ・染色体異常試験(チャイニーズ・ハムスター) ・復帰突然変異試験
(1)ヤクルト研究所研究報告集.200423;13-24. (2)ヤクルト研究所研究報告集.2004:23;25-41.
研究1: 健常成人男女16名を8名ずつ無作為に2群に分け、ガラクトオリゴ糖液糖(ガラクトオリゴ糖固形分換算で15g)を含有する飲料、あるいは対照サンプルとしてガラクトオリゴ糖液糖に含まれるガラクトオリゴ糖以外の成分を等量含む飲料を摂取させ、30分毎に8時間に渡って呼気水素ガスを測定した。1週間後、被験者と飲料を交差させ再度試験を実施した。 その結果、対照サンプル飲用群に対し、ガラクトオリゴ糖液糖含有飲料摂取群では顕著な呼気水素ガス濃度の増加が認められた。 この結果は、ガラクトオリゴ糖液糖に含まれるガラクトオリゴ糖が小腸で吸収されず、消化管下部に到達することを示すものである (1)。 研究2: 糞便中のビフィズス菌数が少ない健康成人男女22 名を11名ずつ無作為に2群に分け、各々ガラクトオリゴ糖を2.5gまたは5g含有する飲料を毎日2週間摂取させる二重盲検試験を実施し、飲用前、飲用中、飲用後に腸内菌叢、有機酸を調べた。 その結果、ガラクトオリゴ糖2.5g含有飲料の2週間摂取により、ビフィズス菌数・乳酸桿菌数の増加、総菌数に占めるビフィズス菌の比率の増加、並びにバクテロイデスの比率の減少が認められた。また、Enterobacteriaceae数の減少、有害性のクロストリジウムが検出されるヒトの減少が認められた。 ガラクトオリゴ糖5g含有飲料の2週間摂取においても、ビフィズス菌数及び比率の増加が認められ、また、潰瘍性大腸炎の原因あるいは促進物質として疑われているコハク酸が減少し、胆汁酸総量の減少も認められた。 これらの結果は、ガラクトオリゴ糖が乳酸桿菌、ビフィズス菌の存在する消化管下部に到達し、有用菌を増殖させ有害菌を減らすという「腸内菌叢改善作用」、並びにこれに伴う「腸内有害産物の生成抑制作用」を示すものである(2)。 研究3: 便秘傾向の健常女性76名を対象に、ガラクトオリゴ糖を2.5g含有する飲料を摂取する群、または5g摂取する群について、それぞれの群を2群に分け、ガラクトオリゴ糖含有飲料またはプラセボを1本/日、1週間飲用させ、1週間の非飲用期間の後、飲料を入れ替えて飲用させ、飲用期間中の排便回数、排便日数、便性状を調べた。 その結果、ガラクトオリゴ糖2.5g含有飲料の摂取により、排便回数の少ない被験者において、排便回数に増加傾向が見られた。ガラクトオリゴ糖5g含有飲料の摂取においても、排便回数、排便日数が有意に増加し、便性状の改善も確認された。 これらの結果は、ガラクトオリゴ糖の摂取が「便通改善」を示すものである(3)。 出典: (1)日本食品科学工学会誌.2004:51(1);28-33. (2)腸内細菌学雑誌.2004:18(1);25-35. (3)栄養学雑誌.1997:55(1);13-22.