ラクトフェリンが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対して効果があるようにうたう宣伝が見受けられます。
しかし、現時点では、新型コロナウイルス感染症に対する予防効果が検討されていますが、
いずれも予備的な検討であり、科学的根拠を示すまでには至っていません。
同じウイルス性感染症であるインフルエンザの予防に対する効果を検討した論文を検索したところ、論文は見つかりませんでした。
ラクトフェリンは風邪に良いと言われることから、
風邪や上気道感染症の予防に対する効果を解析したメタ分析 (複数の研究を総合的に判断した評価の結果) について調べたところ、
1報の論文が検索され、ウシ由来ラクトフェリンの摂取は、乳幼児または子供における急性気道感染症の発症頻度の低下との関連が認められていました。
また、風邪にかかりやすい成人においては、ラクトフェリンと乳清タンパク質の摂取により風邪の発症率低下が認められた論文が1報ありました。
しかし、同論文中で症状の持続期間や重さには影響がありませんでした。
現時点では、インフルエンザや呼吸器感染症の予防に対して「ラクトフェリンが効く」といえる十分な情報は見当たりません。
新型コロナウイルス感染症に対して検討した論文も見当たりませんので、情報の拡大解釈にはご注意ください。
新型コロナウイルスに対しては、手洗いなど、正しい予防を心掛けましょう。
新型コロナウイルス感染予防のために (厚生労働省) は、こちら
(参考文献)
風邪にかかりやすい成人において、ラクトフェリン・乳清タンパク質含有カプセルの摂取は、風邪の発症率を低下した
・(PMID:23642947)Complement Ther Med. 2013 Jun;21(3):164-71.
乳幼児または子供において、ラクトフェリンの摂取は、急性気道感染症の発生頻度低下と関連が認められた
・(PMID:34620326)Clin Nutr ESPEN. 2021 Oct;45:26-32
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