イソマルトオリゴ糖は、イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース、イソマルトテトラオースなどを主成分とするオリゴ糖である。健康な成人ではイソマルトオリゴ糖として10 g/日でビフィズス菌の増殖、有害菌の増殖抑制、腸内腐敗産物の生成抑制、便のpHの低下と有機酸の増加、排便回数の増加、便性状の改善が見られる。他の難消化性オリゴ糖と比べるとヒトや動物の消化酵素による分解がおこりやすいため、その有効摂取量は幾分高めであるが、反面下痢などの副作用が出にくい性質を持つ。
イソマルトオリゴ糖は、in vitro (試験管内で) 資化性試験において、ビフィズス菌に対する選択性が高く、他の腸内細菌に対しては一部を除いてほとんど資化されなかった。この結果、イソマルトオリゴ糖は有用なビフィズス菌増殖因子であることが示された (1989169727) 。
(1989169727) Bifidobacteria and Microflora. 1988;7(2)61-69.
高速液体クロマトグラフィーにより分析する (1) 。
(1) 特定保健用食品試験検査マニュアル. 財団法人日本健康・栄養食品協会.
研究1 イソマルトオリゴ糖を1日10 gもしくは15 gを被験者に摂取させ、便の性状と排便感に及ぼす影響を検討した。イソマルトオリゴ糖を1日に10 gもしくは15 g程度を摂取し続けても、消化器に対する副作用はほとんどないことが示された (1994127069) 。
(1994127069) 臨床栄養. 1993;82(7)789-794.
研究1 ラットを用いた一般毒性試験では、慢性毒性試験 (摂取量2.7~5.0 g/kg体重,12ヶ月) および急性毒性試験、培養細胞に対する変異原性試験において、なんら異常、毒性を認めなかった。急性毒性試験におけるLD50値は44 g/kg体重以上で、ショ糖 (29.8 g/kg体重) あるいはマルトース (26.7 g/kg体重) のLD50値と比べても、毒性が低く安全性の高い物質であることが示された (1992014022) 。
(1992014022) 食品衛生学雑誌. 1990;31(5)394-403.
研究1 イソマルトオリゴ糖を1日10 gもしくは15 gを被験者に摂取させ、腸内環境と便通に及ぼす影響を検討した。10 g/日摂取により、ビフィズス菌数とその占有率、乳酸菌数の有意な増加、バクテロイデス (有害菌) 占有率の有意な減少、クロストリディウム (有害菌) 出現の抑制など腸内菌叢が改善された。同時に、糞便pHは有意に低下し、有機酸は増加傾向を、腐敗産物は減少傾向を示すなど腸内環境が改善された。また、摂取期間が長いほど効果は顕著であった。便秘傾向者の中でも摂取前の排便回数が少ない人 (3回/5日以下) には特に有効で、用量依存的 (10 gと15 g/日) に便通が改善された。これらの結果より、イソマルトオリゴ糖10 g/日の摂取により、腸内菌叢と環境および便通が改善されることが示された (1994101184) 。
(1994101184) 日本家政学会誌. 1993;44(4)245-254.
研究1 ブタを用いた動物試験において、イソマルトオリゴ糖を0.12%もしくは0.25%添加飼料で飼育すると、腸内ビフィズス菌の増殖と有害菌の抑制と共に、便中のアンモニア態窒素やパラクレゾールなどの腐敗産物の生成が抑制された (1) 。
(1) 昭和産業株式会社総合研究所試験報告. 1988. その他の資料: (1) 畜産の研究. 1989;43(9)1071-1074.