難消化性デキストリン
腸における糖質の酵素消化で生じたグルコースの腸管吸収抑制によって、食後血糖値の上昇を緩やかにする。さらに、食後インスリン分泌の上昇も抑えることによって、耐糖能改善にも寄与すると考えられる。
高速液体クロマトグラフィー
研究1 食事指導をおこなった外来受診中の高脂血症の非インスリン依存性糖尿病患者5名に対し、毎食後20 gの難消化性デキストリン (60 g/日) を12週間経口摂取させた。その結果、末梢赤血球数、血中金属イオン、肝機能検査等の指標は、試験前値と比較して変化は認められなかった (1994003120) 。 研究2: 糖尿病境界型の成人14名を対象に、試験飲料 (パインファイバーC 5 gを含む) を1日3包または6包、12週間摂取させた。その結果、1日6包摂取において1例に軽度の便秘が観察されたが、それ以外の被験者に臨床上問題となる所見は認められなかった (2007258220) 。
(1994003120) 日本栄養・食糧学会誌. 1992;45:21-25. (2007258220) Progress in Medicine. 2007;27(4):1023-1029.
研究1 ラットを用いた急性毒性試験 (単回投与毒性試験) の結果、難消化性デキストリンの安全性に問題はなかった (1) 。 研究2: ネズミチフス菌TA98、TA100、TA1535、TA1537および大腸菌株WP2uvrA-の5菌株を用いた変異原性試験 (復帰突然変異試験) の結果、難消化性デキストリンの安全性に問題はなかった (2) 。
(1) 生物技術研究所 (大阪府) 、生物技術研究所 試験成績書 (2) 生物技術研究所 (大阪府) 、生物技術研究所 試験成績書
研究1 健常男性5名に、トレーランG75 (グルコース75 g相当) 又はトレーランG75 (同62 g相当) および難消化性デキストリン (パインファイバーL;グルコース13 g+食物繊維16 g相当) を単回経口摂取させた。その結果、難消化性デキストリン同時摂取時には食後血糖値およびインスリン分泌において上昇抑制が観察された (1996122582) 。 研究2: 健常成人35名 (男性23名、女性12名) にうどん (615kcal) とともに試験飲料 (パインファイバーC 5 gを含む) または対照飲料 (茶粉末のみを溶解したもの) を摂取させた (交差試験) 。その結果、食後血糖の上がりやすい群22名 (男性19名、女性3名) において、摂取30分後に血糖上昇抑制が観察された (1) 。
(1996122582) 栄養学雑誌. 1995;53:361-368. (1) 健康・栄養食品研究. 1999;2(1):52-56.
研究1 難消化性デキストリンは、ラット翻転小腸において、ショ糖の吸収を抑制した。また、高ショ糖食を4週間摂取したラットにおいて、グルコースおよびショ糖負荷後のインスリン分泌増加を抑制した (1) 。 研究2: インスリン非依存型糖尿病類似ラット、軽症糖尿病ラット、食餌性インスリン抵抗性ラットを用いたショ糖負荷試験において、難消化性デキストリンは全モデルの食後血糖上昇を抑制した。また、軽症糖尿病ラット、食餌性インスリン抵抗性ラットでは、食後インスリン分泌も低減した (2) 。
(1) Peptide Hormones in Pancreas. 1992;12:227-231. (2) 日本内分泌学会雑誌. 1993;69(6):594-608.