でんぷん由来の水溶性食物繊維であり、低粘性・低甘味で水溶性はほぼ透明。耐熱性・耐酸性に優れており、様々な食品に応用しやすい。ミネラルの吸収阻害はなく、FDA (米国食品医薬品局) のGRAS (Generally Recognized As Safeの略称、米国における食品安全性に関する審査制度) にリストされた安全性の高い素材である。
中性脂肪上昇抑制効果:難消化性デキストリンは上部消化管における脂質の消化吸収の過程で、リパーゼによる分解後のミセルからの脂肪酸やモノグリセロールの放出を抑制し、吸収を遅延させ、便増加によって糞便中への脂質排泄を促進させることにより、食後の中性脂肪値の上昇を抑制すると示されている。また、ヒト試験において、難消化性デキストリンを食事と共に摂取することにより、食後の血中中性脂肪の上昇を抑制することが確認されている。 血糖値上昇抑制効果:難消化性デキストリンは単糖類には影響を及ぼさず、二糖類以上の糖質に対して血糖値上昇抑制効果を有することが確認されている。また、二糖類の消化により生じたグルコースの吸収を抑制することが報告されている。これらの結果から、難消化性デキストリンは二糖類以上の糖質の吸収を穏やかにすることにより、食後の血糖値上昇を抑制することが明らかになった。さらに、ヒト試験において、難消化性デキストリンを食事と共に摂取することにより、食後の血糖値の上昇を抑制することが確認されている。
(2010071034) Journal of Health Science. 2009;55(5)838-844. (2014245144) 薬理と治療. 2014;42(5):353-358. (1994027466) 日本栄養・食糧学会誌. 1993;46(2):131-137. (2014245143) 薬理と治療. 2014;42(5):347-351.
低分子水溶性食物繊維を含む食品に適用される酵素-HPLC法 (PMID:11990030) も準じ、下記の操作を行う。 1.酵素処理液の調製:各種酵素により炭水化物およびたんぱく質の消化を行う。 2.高速液体クロマトグラム用溶液の調製:イオン交換樹脂によりイオン性不純物質 (たんぱく質、有機酸、無機塩類等) の除去を行い、難消化性デキストリン濃縮する。 3.高速液体クロマトグラムで定量:得られた高速液体クロマトグラムより三糖類以上の画分中の難消化性デキストリン画分を求める。
(PMID11990030) J AOAC Int. Mar-Apr 2002;85(2):435-444.
研究1: 成人男女28名を対象に、難消化性デキストリンを食物繊維として5 g配合したインスタントコーヒーを1日3回、4週間連続投与した場合の安全性を評価した結果、臨床上問題となる所見はなく、安全性が確認された (2014245142) 。 研究2: 成人男女28名を対象に、難消化性デキストリンを食物繊維として5 g配合したインスタントコーヒーの12週間連続投与した場合における安全性を評価した結果、臨床上問題となる所見はなく、安全性が確認された (2014245142) 。
(2014245142) 薬理と治療. 2014;42(5):339-346.
研究1: 難消化性デキストリンを食物繊維として1包当たり5 g配合し、150 mLのお湯に溶かしたインスタントコーヒーにおける食後の中性脂肪上昇抑制作用を評価した。空腹時血中中性脂肪値が、120 mg/dL以上200 mg/dL以下であった年齢20歳以上65歳未満の成人男女90名を対象に、プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー法により試験を行った。その結果、中性脂肪値は、負荷食摂取後2、3、4時間における変化量、また血中濃度曲線下面積において被験飲料群が対照飲料群にくらべ有意な低値を示した。また、RLP-コレステロールは、負荷食摂取後2、3、4時間における変化量、また血中濃度曲線下面積において被験飲料群が対照飲料群にくらべ有意な低値を示した。よって、難消化性デキストリン配合コーヒーは食後血中中性脂肪値の上昇抑制効果を有する事が明らかとなった (2014245144) 。 研究2: 難消化性デキストリンを食物繊維として1包当たり5 g配合し、150 mLのお湯に溶かしたインスタントコーヒーにおける食後の血糖値上昇抑制作用を評価した。空腹時血糖値が、70 mg/dL以上126 mg/dL未満であった年齢20歳以上65歳未満の成人男女50名を対象に、プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー法により試験を実施した。その結果、血糖値は、負荷食摂取後30、60、120分後における測定値および変化量、また血中濃度曲線下面積において被験飲料群が対照飲料群にくらべ有意な低値を示した。また、インスリンは、負荷食摂取後60分における測定値および変化量、また血中濃度曲線下面積において被験飲料群が対照飲料群にくらべ有意な低値を示した。よって、難消化性デキストリン配合コーヒーは食後血糖値の上昇抑制効果を有する事が明らかとなった (2014245143) 。
(2014245144) 薬理と治療. 2014;42(5):353-358. (2014245143) 薬理と治療. 2014;42(5):347-351.
研究1: 生後5週齢のSD系雄性ラットを対象に、高脂肪食に難消化性デキストリン添加、非添加条件下でそれぞれ5週間摂取させ、飼育期間最後の3日間の糞便を採取し、便中に排泄された脂質量を測定した。難消化性デキストリン摂取群の便中脂肪排泄量は高脂肪食と比較して有意に高い値であったことから、脂質排泄促進作用が確認された (2010071034) 。 研究2: 生後8週齢のSD系雄性ラットを対象に、難消化性デキストリン添加、非添加条件下に経口糖質負荷試験を実施し、開始前、負荷後30、60、120分後に採血し、血糖値の変化を観察した。ショ糖およびマルトース負荷後の血糖値は有意に低下したことから、血糖値の上昇は抑制された (1994027466) 。
(2010071034) Journal of Health Science. 2009;55(5):838-844. (1994027466) 日本栄養・食糧学会誌. 1993;46(2):131-137.