関与成分は、酢酸であり、酢酸量としては750 mg含まれる。本食品 (100 g/本) に配合したトマト酢は15 gであり、生トマトに換算した場合、1/8個程度の搾汁液が入っていることになる。
【関与成分の構造式】![]() |
高血圧自然発症ラット (SHR) を用いた実験から、食酢に血圧上昇抑制作用が認められ、その関与成分は酢酸であることが確認されている (PMID:11826965) 。本食品に配合したトマト酢に関しても、SHRを用いた実験から血圧降下作用が確認されている (2007162185) 。その作用メカニズムは、関与成分である酢酸が、短時間の内に吸収されて血中に入り、各器官、組織に運ばれた後、アセチルCoAに代謝され、その際に使われるATPが、血管拡張作用を有するアデノシンに代謝されて血中に放出され、血管のアデノシン受容体を介して、各器官、組織の血管を拡張させることで、血流量を増加させ、血管抵抗性を緩和させるものと推測される (PMID:568632) (PMID:6470146) (PMID:6829780) (PMID:3177642) 。
(PMID11826965) Biosci Biotechnol Biochem. 2001:65(12);2690-2694. (2007162185) 薬理と治療. 2007:35(1);61-65. (PMID:568632) J Clin Invest. 1978:62;1029-1038. (PMID:6470146) J Clin Invest. 1984:74;936-941. (PMID:6829780) Am J Physiol. 1983:244;H387-H395. (PMID:3177642) Am J Physiol. 1988:255;G417-G423.
定量は、紫外吸光光度計を検出器とした高速液体クロマトグラフ法により行う。定性は、飲料中の酢酸を加熱して揮発させ、気体成分を冷却して生じた凝縮水にフェノールフタレイン溶液を加え、NaOH溶液を添加することによって赤色に変化するか否かを観察する。
ライオン株式会社調査・研究報告書. 2006
研究1: 本食品 (酢酸量750 mg含有) の長期摂取時の安全性を検証するために、正常高値血圧者および軽症高血圧者を対象に、プラセボを対照とした二重盲検並行群間試験を実施した。本食品摂取群の正常高値血圧者および軽症高血圧者は、それぞれ23名、22名で、摂取目安量の1日1本を12週間に亘り摂取した結果、脈拍、体重・BMI、血液検査および尿検査において、問題となる異常変動は認められず、また本食品に起因すると考えられる有害事象についても認められなかった (2007106582) 。 研究2: 本食品の通常摂取の3倍量 (酢酸量として2250 mg) を連続摂取したときの安全性を調査するために、正常血圧者、正常高値血圧者および軽症高血圧者を対象として、プラセボを対照とした二重盲検試験を実施した。本食品摂取群の正常血圧者、正常高値血圧者および軽症高血圧者は各々6~9名で、1日3本を4週間に亘って摂取した。その結果、本食品摂取4週間後の収縮期血圧に低値が認められたが、この降圧作用は緩徐なものであり、循環器への負担を生じる過度な作用ではないものと推察された。また、脈拍、体重・BMI、血液検査および尿検査において臨床上問題となる所見は認められず、また本食品と因果関係があると考えられる有害事象は認められなかった (2007162189) 。
(2007106582) 薬理と治療. 200634(6);723-735. (2007162189) 薬理と治療. 2007:35(1);89-99.
研究1 マウスを対象に、酢酸水溶液または米酢を単回投与した結果、4%酢酸水溶液のLD50は、米酢同様で21.5 mL/kgであり、死因は上部消化管に対する障害作用に基づくことが認められた。なお、10mL/kg以下の用量では消化管の異常は肉眼的に全く認められなかった。また、米酢の2倍希釈物では50 mL/kgの投与でも、死亡率は20%以下であった (1984070842) 。 研究2: マウスを対象に、純玄米酢または酢酸を単回投与した結果、純玄米酢及び3.76%酢酸のLD50は、各々、20 mL/kg、18 mL/kgであった。死因は胃、十二指腸の出血、充血、びらんなど上部消化管の障害による衰弱であると思われた。しかし、急性毒性は2倍希釈で著しい減弱を示した (1994161386) 。 研究3: マウスを対象に、発酵オリゴ酢、グルコース酢及び酢酸を単回投与した結果、発酵オリゴ酢、グルコース酢、4.5%酢酸のLD50は、各々、19.6、15.5、12.5 mL/kgであった。死因は、胃及び十二指腸粘膜の出血、充血、びらんなど上部消化管障害による衰弱であると思われた。急性毒性は、2倍希釈液で減弱した (1994154722) 。
(1984070842) 日本栄養・食糧学会誌. 198336(4);283-289. (1994161386) 基礎と臨床. 1993:27(8);3107-3115. (1994154722) 基礎と臨床. 1993:27(8);3117-3125.
研究1 軽症高血圧者および中等症高血圧者51名を対象に、酢酸を750 mgもしくは1500 mg含有する食酢飲料またはプラセボを、1日1本8週間継続摂取した場合の血圧に及ぼす影響を検討した結果、酢酸を750 mg含有する食酢飲料摂取群 (18名) の収縮期血圧変化量では、摂取6週間後および8週間後に、酢酸を1500 mg含有する食酢飲料摂取群 (17名) の収縮期および拡張期血圧変化量では、摂取4週間後、6週間後、8週間後に有効性が認められた (2016139909) 。 研究2: 正常高値血圧者および軽症高血圧者98名を対象に、酢酸を750 mg含有する食酢配合飲料2種類 (リンゴ酢配合飲料もしくは玄米酢配合飲料) またはプラセボを、1日1本10週間継続摂取した場合の血圧に及ぼす影響を検討した結果、リンゴ酢配合飲料摂取群 (33名) および玄米酢配合飲料摂取群 (34名) では、摂取2週間後、6週間後、8週間後、10週間後の収縮期血圧に差があり、有効性を認めた (2016166964) 。 研究3: 正常高値血圧者および軽症高血圧者90名を対象に、酢酸を750 mg含有する本食品 (トマト酢含有飲料) またはプラセボを、1日1本12週間継続摂取した場合の血圧に及ぼす影響を検討した結果、摂取10週間後、12週間後の収縮期血圧に差を認め、摂取10週間後の拡張期血圧にも差が有り、有効性が認められた (2007106582) 。
(2016139909) 健康・栄養食品研究. 20014(4);47-60. (2016166964) 健康・栄養食品研究. 2003:6(1);51-68. (2007106582) 薬理と治療. 2006:34(6);723-735.
研究1 高血圧自然発症ラット (SHR) を用いて、食酢および酢酸の摂取が血圧に及ぼす影響を評価した。その結果、食酢配合飼料摂取群および酢酸配合飼料摂取群 (食酢配合飼料と同量の酢酸を配合) は、食酢も酢酸も含まない対照飼料摂取群と比較して血圧の上昇を抑制した。食酢配合飼料摂取群と酢酸配合飼料摂取群との間に差は認められなかったため、血圧低下作用は、食酢に特徴的な成分であり、かつ主成分である「酢酸」に起因していると示唆された (PMID11826965) 。
(PMID11826965) Biosci Biotechnol Biochem. 2001:65(12);2690-2694.