難消化性デキストリンは焙焼デキストリンを酵素分解、難消化性部分を分離精製したもので、食物繊維としての特長を示し、人の消化酵素でほとんど消化されない性質を持つ。
二糖類分解酵素やNa+依存性グルコース担体ではなく、ショ糖由来のグルコースの輸送系を阻害することにより、ショ糖負荷後の血糖上昇を緩徐させる(1)。
(1) 日本内分泌学会誌,69,594-608,1993.
低分子水溶性食物繊維を含む食品に適用される酵素―HPLC法(1)を準用して行う。HPLCにより低分子水溶性食物繊維量を定量し、これを難消化性デキストリンの難消化性部の定量値とする。
(1) 「栄養表示基準における栄養成分の分析方法等について」、平成11年4月26日衛新第13号、8 食物繊維
健常成人20名を対象に難消化性デキストリンを6.0g配合した緑茶を12週間1日3回毎食事に摂取してもらった。12週間後、空腹時の血糖値、総コレステロール及び中性脂肪に低下傾向が見られ、耐糖能及び脂質改善効果が認められた。他の高粘性食物繊維に見られる電解質の吸収阻害は認められなかった。血液検査、尿検査、血圧、身体測定を行い、臨床上問題となる変化は認められなかった(1)。
(1) 健康・栄養食品研究,5,2,1-9,2002.
雄性ICRマウス系を対象に難消化性デキストリンを5,10,20g/kg体重を単回投与し、投与5時間継続して、以後は7日間一定時刻に一般症状の異常発現を観察する急性毒性試験を行った。その結果LD50値は20g/kg以上であることが明らかとなり、安全性が確認された。雄性SD系ラットを用いて難消化性デキストリンを9.2%添加した飼料を5週間連続投与もしくは、難消化性デキストリン4.6、9.2、18.3%水含有溶液を5週間連続投与したところ、体重、各臓器重量、脂肪組織重量、血清総たんぱく質、カルシウム、GOT及びGPT活性に何ら影響を与えなかった(1)。
(1) 日本栄養・食糧学会,44,471-478,1991.
健常成人23名を対象に難消化性デキストリンを6.0g配合した緑茶あるいは配合しない緑茶(プラセボ)をおにぎり300gと共にクロスオーバーにて摂取させ、食後血糖曲線にて比較した。難消化性デキストリン配合緑茶摂取群ではプラセボ群に比し、食後血糖上昇を有意に抑制した。特に食後血糖が上がりやすい群においてはその効果は顕著であった(1)。
(1) 健康・栄養食品研究,5,2,1-9,2002.
8週齢SD系雄性ラットを用い、難消化性デキストリン0.14gとショ糖1.5gの単回投与試験を行った。ショ糖負荷後30分、60分後の血糖値に有意な低下が認められた(1)。 摂取目安量の設定は難消化性デキストリン3または6g添加した羊羹を健常成人男女35名に摂取してもらい、尿C-ペプチド値を測定した。その結果難消化性デキストリン6g摂取した時、最も低値を示したことから、ショ糖に対する耐糖能改善効果を有する難消化性デキストリンの最有効量を6gと設定した(2)。
(1) 栄養学雑誌,53,361-368,1995. (2) 糖尿病,36,715-723,1993.