0.19-小麦アルブミンは小麦由来の可溶性タンパクであり、等電点は7.3、名前の0.19は電気泳動の移動度に由来する (1) 。熱変性点は93℃と高く、安定なタンパクであることが報告されている (PMID:305790) 。
【関与成分の構造式】
124個のアミノ酸で構成されるサブユニット2個からなるホモダイマー (PMID:3872681) 。コードする遺伝子の塩基配列 (PMID:9443806) 、3次元構造が明らかになっている (PMID:9354618) 。
Swiss Prot:accession number = P01085
entry name = IAA1_WHEAT
protein database (pds):1HSS
出典: (PMID:3872681) Biochim Biophys Acta. 1985:828(3);213-21. (PMID:9443806) J Biochem. 1997:122(5);918-26. (PMID:9354618) Biochemistry. 1997:36(44);13503-11. |
小麦アルブミン画分の主成分である0.19-小麦アルブミンは、ヒト唾液および膵液アミラーゼの阻害活性を示し、消化管内のアミラーゼ活性を一時的に低下させることによって、糖質の消化吸収を遅延させることにより血中グルコース濃度の急激な上昇を抑制する (PMID:8898646) (PMID:15674303) 。0.19 小麦アルブミン1分子 (ホモダイマー) が、アミラーゼ1分子と結合し、阻害活性を示すことが明らかとなっている (PMID:15113841) 。
(1) Phytochemistry. 19709(6);1167-72. (PMID:305790) Biochim Biophys Acta. 1978:533(1);181-5. (PMID:8898646) Gastroenterology. 1996:111(5);1313-20. (PMID:15674303) Eur J Clin Nutr. 2005:59(3);384-92. (PMID:15113841) J Biochem. 2004:135(3);421-7.
HPLC法 (逆相系)
(1) 栄養学雑誌. 199957(4);221-227
研究1 軽度2型糖尿病患者を対象に「ミキグルコエイド」を1日3回、12週間摂取させたところ、全例において対象食品を起因とする有害事象はなく、臨床検査値においても異常変動は認められなかった (1) 。 研究2: 食事指導を受けているインスリン非依存性糖尿病患者を対象に、日清製粉株式会社製小麦アルブミンを1食当り1 g含有する被験食品 (スープ) を1日3回、3ヶ月間摂取させたところ、問題となる症状は見られなかった (2000094106) 。
(1) 三基商事株式会社 社内研究報告書. 2001 (2000094106) 日本栄養食糧学会誌. 199952(5);293-300.
研究1 イヌに対して、3.0 g/日の小麦アルブミン (WA) を投与する9週間の試験を行ったところ、十二指腸内のアミラーゼ活性の抑制が観察され、また連続摂取による効果の減弱、消化管機能及び膵機能・形態等の変化等を観察しなかった (PMID7535274) 。 研究2: WAは、SD系ラットによる単回投与毒性試験、4週反復投与毒性試験、13週反復投与毒性試験のいずれにおいても毒性は観察されず、また、細菌を用いる復帰変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、マウスを用いる小核試験のいずれにおいても陰性であった (1) 。
(PMID7535274) Gastroenterology 1995 108(4) 1221-9 (1) 日清製粉株式会社 社内研究報告書. 1992
研究1: クロスオーバー法にて空腹時血糖値100 mg/dL以上140 mg/dL未満の男性10名に一般食品とともに「ミキグルコエイド」または対象食品を朝食時に単回経口摂取させたところ、食後血糖値は負荷40分後、1時間後に低下が認められた (1) 。 研究2: HbA1cが8%以下のインスリン非依存状態にある軽度2型糖尿病患者21名を対象に1日3回食事とともに「ミキグルコエイド」、12週間連続経口摂取させた結果、摂取開始後8週後と12週後でHbA1c値に低下が認められた (2) 。 研究3: 健常人11名を対象に、0.25 g、0.5 g、1.0 gの日清製粉株式会社製小麦アルブミンを含有する被験食品を朝食時に単回経口摂取させるクロスオーバー試験を行ったところ、0.5 g以上の摂取で、食後血糖の上昇抑制及び、食後1時間の血糖値AUCの摂取量依存的な低下が認められた (2016139795) (2000111672) 。 研究4: 食事指導を受けているインスリン非依存性糖尿病患者を対象に、日清製粉株式会社製小麦アルブミンを1食当り1 g含有する被験食品 (スープ) を1日3回、3ヶ月間摂取させたところ、高HbA1c層 (摂取開始時のHbA1c値が5.6%~8,0%) の患者では、摂取群の3ヶ月間のHbA1cのAUCは、対照群よりも低かった (2000094106) 。
(1) 三基商事株式会社 社内研究報告書. 2001 (2) 三基商事株式会社 社内研究報告書. 2001 (2016139795) 健康・栄養食品研究. 19981(2);56-61. (2000111672) 薬理と治療. 1999:27;69-75. (2000094106) 日本栄養食糧学会誌. 1999:52(5);293-300.
研究1 イヌに対して、3.0 g/日の小麦アルブミン (WA) を投与する9週間の試験を行ったところ、十二指腸内のアミラーゼ活性の抑制が観察され、また連続摂取による効果の減弱を観察しなかった (PMID7535274) 。 研究2: ラットの膵臓、唾液腺及び空腸由来の糖質分解酵素に対する活性を調べたところ、WAは唾液腺及び膵臓由来のアミラーゼを共に阻害したが、二糖類水解酵素 (スクラーゼ、マルターゼ、トレハラーゼ、ラクターゼ) の活性を阻害しなかった (1) 。 研究3: ラットにWA (20 mg) 及び澱粉溶液を投与したところ、投与15分後の血漿グルコース濃度及び、投与90分後までの累積インスリン濃度は、投与群は対照群よりも低値を示した (1) 。 研究4: ラットにWA含有飼料 (2.4%) を2週間投与したところ、投与群では副睾丸脂肪組織と腸管膜脂肪組織の重量は減少した (1) 。 研究5: Zucker系肥満ラットに、WA含有飼料 (4.8%) を11週間投与したところ、脂肪組織重量の減少、脂肪組織中及び肝臓中の脂肪酸合成酵素活性の低下が観察された。また、血糖値及び血漿インスリン濃度が有意に低下し、尿糖排泄量は減少した (2) 。 研究6: STZ糖尿病ラットにWA添加飼料 (5%) を10週間投与したところ、糖尿病による体重減少の抑制、血中フルクトサミンの低下等及び、飼育後の糖負荷試験で耐糖能の改善等が観察された (2000274523) 。
(PMID7535274) Gastroenterology 1995 108(4) 1221-9 (1) 第50回日本栄養・食糧学会大会. 1996:2J-p5. 合田ら (2) 第52回日本栄養・食糧学会大会. 1998:E32. 志村ら (2000274523) 糖尿病. 2000:43(6);421-30.