難消化性デキストリンの食後血糖上昇抑制作用は上部消化管において、炭水化物の消化吸収を遅延させることによるものである。また、これらは多数の論文で報告されており、さらにメタアナリシス解析においてもその有効性が明らかにされている。難消化性デキストリンの食後中性脂肪上昇抑制作用は、上部消化管における脂質の吸収の過程で、リパーゼによる分解後のミセルからの脂肪酸やモノグリセロールの放出を抑制し、脂質の吸収を遅延させることによるものである。
(PMID19126874) Am J Clin Nutr. 2009:89(1);114-125. (2010071034) Journal of Health Science. 2009:55(5);838-844.
低分子水溶性食物繊維を含む食品に適用される酵素-HPLC法 (PMID:11990030) に準じ、下記の操作を行う。 1. 酵素処理液の調整:各種酵素により炭水化物およびたんぱく質の消化を行う。 2. 高速液体クロマトグラム用溶液の調整:イオン交換樹脂によりイオン性不純物質 (たんぱく質、有機酸、無機塩類等) の除去を行い、難消化性デキストリンを濃縮する。 3. 高速液体クロマトグラムで定量:得られた高速液体クロマトグラムより三糖類以上の画分中の難消化性デキストリン画分を求める。
(PMID11990030) J AOAC Int. 2002:85(2);435-444.
研究1: 難消化性デキストリン (食物繊維として) 5 g配合した紅茶飲料を、空腹時血中中性脂肪が正常高値からやや高めの方を含む成人男女18名を対象に1日3回、12週間摂取させ、長期摂取時の安全性を評価した結果、臨床上問題となる所見は認められなかった。難消化性デキストリン (食物繊維として) 15 g配合した紅茶飲料を、空腹時血中中性脂肪が正常高値からやや高めの方を含む成人男女18名を対象に1日3回、4週間摂取させ、過剰摂取時の安全性を評価した結果、臨床上問題となる所見は認められなかった。
(2010052670) 薬理と治療. 2009:37(10);857-866.
研究1: 大腸菌とネズミチフス菌を用いた遺伝子突然変異試験の結果、いずれの指示菌株においても復帰突然変異コロニー数は増加しなかったことより、変異原性に関しては陰性であることが確認された。雄性ICR系マウスを用いた急性毒性試験の結果、難消化性デキストリンは経口投与による死亡例を認めず、本試験における最大投与量である20 g/kg体重以上のLD50値を有すると推定された (1993209896) 。 研究2: ラットへの長期投与実験において体重増加曲線、血清総タンパク質及び血清カルシウム値は難消化性デキストリン非投与群と差異を認めないことにより、ミネラルを含めた栄養素の吸収阻害作用はないことが示唆された。また、肝臓、膵臓および腎臓重量、肝機能の指標である血清GOT及びGPT値も難消化性デキストリン非投与群と差異を認めなかった (1994001198) 。
(1993209896) 食品衛生学雑誌. 1992:33(6);557-562. (1994001198) 日本栄養・食糧学会誌. 1991:44(6);471-478.
研究1: 健常成人男性10名を対象とし、難消化性デキストリン5 g配合緑茶飲料あるいは難消化性デキストリンを含まないプラセボ飲料を、うどん定食 (きつねうどん、御飯、ふりかけ) と同時に摂取させ、摂取後の血糖値の経時的変化を比較した。その結果、難消化性デキストリン配合緑茶飲料摂取時の食後血糖の上昇は、難消化性デキストリンを含まない緑茶飲料摂取時と比較して低い値であった (1) 。 研究2: 健常成人男女12名を対象とし、難消化性デキストリン (食物繊維として) 5 g配合炭酸飲料あるいは難消化性デキストリンを含まない炭酸飲料を、ハンバーガーおよびフライドポテトと同時に摂取させ、摂取後の中性脂肪値の経時的変化を比較した。その結果、難消化性デキストリン配合炭酸飲料摂取時の食後中性脂肪の上昇は、難消化性デキストリンを含まない飲料摂取時と比較して低い値であった (2009232961) 。 研究3: 健常成人男女50名を対象とし、難消化性デキストリン (食物繊維として) 5 g配合紅茶飲料あるいは難消化性デキストリンを含まないプラセボ飲料を、ハンバーグ、フライドポテト、マーガリンパンと同時に摂取させ、摂取後の中性脂肪値の経時的変化を比較した。その結果、難消化性デキストリン配合紅茶摂取時の食後中性脂肪の上昇は、難消化性デキストリンを含まない飲料摂取時と比較して低い値であった (2010052670) 。
(1) 日本食物繊維研究会誌. 1999:3(1);13-19. (2009232961) 薬理と治療. 2009:37(3);277-283. (2010052670) 薬理と治療. 2009:37(10);857-866.
研究1: 食後血糖の上昇を抑制について報告されている論文の中から選び出された37件のデータに対してメタアナリシスを行った。その結果、6 gの難消化性デキストリンを飲料に配合しデンプン質の食事による血糖上昇への減弱作用を試験した場合約20%の抑制がみられ、食事の中に配合した場合約10%の抑制がみられた (1) 。 研究2: ラットを用いて脂質負荷試験を行った。その結果、脂質摂取後の中性脂肪値は、難消化性デキストリンの摂取量に依存して低値を示し、難消化性デキストリンが食後中性脂肪の上昇抑制作用を有することが明らかになった (PMID17385061) 。
(PMID19126874) Am J Clin Nutr. 2009:89(1);114-125. (PMID:17385061) Eur J Nutr. 2007:46(3);133-138.