サイリウム種皮由来の食物繊維は、水溶性・不溶性食物繊維を含有し、保水性、膨潤性、粘性を有する。
整腸作用:サイリウム種皮が水に溶け膨潤し、それを飲用することにより便のカサを増やし、腸管運動を促し、排便に対し良い効果を現す。 血清コレステロール低下作用:食物繊維の有する脂肪吸着作用により、摂取した食品中のコレステロールの吸収を阻害すると同時に、腸管内胆汁酸の便中排泄量を増加させる。
Journal of Food Science Vol.47,1472-1477(1982) Age and Ageing 9,267-271(1980) ACS Symp Ser No.214,61-70(1983) J Nutr 122,1559-1565(1992)
食物繊維の定量:Prosky法(AOAC)に従っての定量 サイリウム種皮の定性:酵素処理後、電気泳動法により定性
シキボウ社内報告書 №741 特定保健用食品試験検査マニュアル
研究1: サイリウムハスク‐寒天の標品7~14gを、9名に2~7年間投与・観察したところ、血液生化学値は正常範囲であった。成人の胆石患者11名に、約50%のサイリウムシードを含む標品30g/日を3週間投与したところ、胆汁酸の割合に変化はみられなかった。 研究2: A)便秘傾向の女性15名、B)便通の健常者男女11名、C)軟便傾向の男女12名に、サイリウムハスク4.4gを1日2回、2週間服用させたところ、Aグループで腹鳴、食欲不振が各1名、Bグループで軽度腹痛が1名あったが、試験を中止するほどの症状を訴えた者はなかった。
(1)U.S.Department of Commerce,National Techncal Information Service(FDA報告書) (2)日本大腸肛門病学会雑誌 Vol.50,No.9,921(1987)
研究1: サイリウムハスクガムを1.5g/kg,3.0g/kg,6.0g/kgの投与量で、Sprague-Dawleyラット(120g~140g)とSwissマウス雄雌各5匹づつ投与したところ、7日間の観察期間で死亡例はなかった。 研究2: サイリウムハスクガム10%を含む餌を28週間摂食させたSprague-Dawleyラットは、成長・外観・挙動においてコントロールと比べ差を認めなかった。 研究3: 10~12月齢の ビーグル犬雄雌各3匹に、6カ月間、サイリウムシードガムを250mgあるいは750mg/kg/日投与したところ、1,3,6カ月後の体重増加と餌消費量でコントロール群との間に影響はみとめられなかった 研究4: Sprague-Dawleyラット(平均体重120g)雄雌各10匹づつ2群に分け、サイリウムハスクガムをそれぞれ0.5g/kg,1.0g/kgの投与量で、25週間(6日/週)与えたところ、血液学的検査、生化学検査、尿検査、および平均体重、心臓・肝臓・脾臓・腎臓・副腎・睾丸の各臓器重量に影響は認められなかった。
(1)U.S.Departmentof Commerce,National Technical Information Service(FDA報告書)
研究1: [対象]硬便または便秘症の女性(平均年齢28歳、平均経過年数6年)15名。[方法]サイリウムハスク4.4gをコップ1杯の水に溶かし、1日2回、2週間服用。開始後の排便状況を毎日調査用紙に記入。緩下剤の使用等は対象者の自由としたが告知義務あり。開始前ならびに終了後、詳細なアンケート調査を行い、サイリウムハスク使用に伴う便性の変化、腹部一般症状の変化および便通の変化等を検討。 [結果]開始後1週目の平均排便回数は4.5回/週、2週目には平均6.2回/週となった。便量の増加は86%の被験者にみられ、11名が緩下剤の服用を必要としなくなった。便秘に伴う腹部一般症状は87%の被験者において愁訴の改善が認められた。被験者のサイリウムハスクに対する有用性判定では、93%が、「有用」あるいは「やや有用」との判定を示した。 研究2: [対象]成人26名、軽度~中等度の高脂血症を有する者(血中総コレステロール値220mg/dl以上、または中性脂肪値150mg/dl以上)、サイリウムハスクを使用して支障をきたす重篤な基礎疾患を有しない者。[方法]食生活は通常どおりのまま、サイリウムハスク(食物繊維量として4g)を1日2回、朝食および夕食後に摂取。実施期間は6週間とし、開始より終了まで毎週身体計測、問診およびアンケート調査、各臨床検査を行う。摂取開始時と終了時(6週目)の検査数値の比較にはPaired t-testによる検定を行い比較検討した。 [結果]全症例で6週間経過後、総コレステロール値に有意な低下が認められた。中性脂肪も低下傾向を認めたが、使用前後で有意差は認められなかった。HDLコレステロール、リン脂質は若干の低下、遊離脂肪酸は若干の増加を認めたが、有意差は認められなかった。
(1)日本大腸肛門病学会雑誌 Vol.50,No.9,921(1987) (2)診断と新薬 Vol.36,No.5,53-57(1999) 土田