食品には、一つの原材料でも、想定しない成分が多量に含まれている場合があります。
ダイズサポニンは、マメ科ダイズ (Glycine max MERRill) の種子から精製される物質で、主成分はサポニン (ソヤサポニン等) です。
乳化剤としてケーキや飲料などに広く利用されているダイズサポニンは、安全性と有効性の基準に合格し、
厚生労働大臣により食品添加物として指定される添加物である「指定添加物」と違って、長年使用されていた実績があるため、引き続き使用を認められている「既存添加物」です。
しかし、最近の研究から、ダイズサポニンの中に、かなり高濃度のイソフラボンが含まれることが明らかになりました (文献1) 。
なんと天然の乾燥大豆に含まれるイソフラボン量 (約2~5 mg/g) の数十倍の濃度にもなる61.5~121.4 mg/gのイソフラボンが含まれているものも!(アグリコン換算 (配糖体の糖以外の成分))(文献2)。
これは、国が許可するレベルの添加物であっても「表示ではわからない成分」が含まれていることがある、といういち例です。
大豆イソフラボンの安全性についてはこちらを参考にしてください (文献3) 。
実は、サプリメントには、原材料の表示に「○○抽出物」「××エキス」「△△菌」「□□調整品」「◎◎粉末」と書かれていることが多くあります。
例えばグルコサミンのサプリにはサメ軟骨抽出物と原材料に記載されているケースがありますが、抽出された中には、必ずしも有効成分のみが含有されているわけではなく、他の物質も含んでいるということです。
稀かもしれませんが、時には、有害な物質が混入していることもあり得ます。
「含有量が不明な製品」、「詳細な含有成分名が不明な製品」には注意が必要です。
文献1:平成18年度食検費 既存添加物の成分規格の設定 大豆サポニンの成分分析 国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部
文献2:大豆のイソフラボン量について;産地による比較.札幌市衛研年報 29: 83-89 (2002)
文献3:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A.内閣府食品安全委員会事務局 (平成18年5月16日更新)