注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
プラチナナノコロイド、白金ナノコロイド [英]Colloidal platinum [学名]-
概要
プラチナナノコロイドとは、白金を粒径2 nm程度にし、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリマー (重合体) でコーティングしたものが該当するようである。食品添加物として収載されているものは通常の白金であり、主な用途は製造用剤とされている。白金 (プラチナ) ナノコロイドは、白金とは体内動態と作用が異なる可能性があり、医薬品の白金製剤 (シスプラチン (抗がん剤) ) とも構造が異なる。 ●有効性 俗に、「活性酸素を除去する」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。また、摂取した白金ナノコロイドが体内に吸収されるという科学的根拠も見当たらない。 ●安全性 サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」にも該当しない。 ■食品添加物 ・既存添加物:製造用剤
成分の特性・品質
主な成分・性質
-
分析法
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に見当たらない。
消化系・肝臓
糖尿病・内分泌
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
・白金ナノコロイドとコエンザイムQ10と水溶性ビタミンE誘導体を併用すると、それぞれ単独で使用するよりもDPPHラジカル (人為的に発生させたラジカルで、DPPHラジカル消去能は、一般的にラジカル消去能の指標とされる) に対する抗酸化作用が増強する (104) 。この現象についてはさらなる検証が必要である。 ・in vitroにおいて、白金ナノコロイドはSODやカタラーゼと同様な働きをする (PMID:17516233) 。しかし、白金ナノコロイドは体内には吸収されないとの報告 (105) もあり、体内でも同様の働きが期待できるかは全く不明である。
安全性
危険情報
<一般> ・金属白金それ自身は一般に無害であるが、感受性の高い人においてアレルギー性皮膚炎が見られる (103) 。白金ダスト暴露により、肺への刺激から咳、喘息、息切れを伴う喘息性症候群にいたる呼吸器症状が起こるという報告がある (103) 。しかし、多くが白金化合物による健康被害であるため、金属白金自体による感作や健康影響に関してははっきりとしたエビデンスはない (106) 。 <妊婦・授乳婦> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
動物他での 毒性試験
・白金の急性毒性は白金化合物の種類によって異なり、微粒子化された白金金属のヒトおよび動物に対する毒性影響は十分には研究されていない (101) 。 ・白金としての毒性試験は、マウスの腹腔内投与によるLD50は17 mg/kg、ラットの経口投与によるTDLo (最小中毒量) は9,100 mg/kg/26 Wであるという報告がある (102) 。 ・6週齢の雌雄SDラットを用いて白金ナノコロイドを0〜120μg/kg/日、13週間強制経口投与した毒性試験において、120μg/kg/日でも毒性兆候が確認できなかった (105) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
総合評価
・安全性については十分なデータが見当たらない。 ・妊娠中及び授乳中の安全性については十分な情報がないため、経口摂取は避けるべきである。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータは見当たらない。
参考文献
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」別添3 (平成16年3月31日 薬食発第0331009号 厚生労働省医薬食品局長) (101) 国立医薬品食品衛生研究所 環境保健クライテリア日本語抄録(http://www.nihs.go.jp/DCBI/PUBLIST/ehchsg/ehctran/tran1/platinum.html) (102) RTECS:Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (103) Casarett & Doull's Toxicoogy 6th ed. The Basic Science of Poisons キャサレット&ドール トキシコロジー 初版 サイエンティスト社 仮家公夫ら監訳 (104) Fragrance Journal 2006;34 :90-94 (105) 薬理と治療;2007:35(12),1227-1240 (106) WHO Regional Office for Europe,2000 (PMID:17516233) Free Radic Res. 2007 Jun;41(6):615-26