注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
テンチャ(甜茶) [英] [学名]Rubus suavissimus S. Lee
概要
甜茶は、中国茶の一種であり、 「甜」の文字は甘いを意味し、文字通り甘いお茶である。中国では、バラ科の甜葉懸鈎子(てんようけんこうし)、アカネ科の牛白藤 (ぎゅうはくとう)、ユキノシタ科の臘蓮繍球(ろうれんしゅうきゅう)、ブナ科の多穂石柯葉(たすいせきかよう)などが甜茶として知られているが、ここでは、バラ科の甜茶について述べる。バラ科の甜茶は中国南部地方の広西荘族自治区に自生している。日本へは低カロリー甘味料の原料として紹介された。 ●有効性 俗に、「花粉症などのアレルギーによい」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。 ●安全性 信頼できる十分な情報は見当たらない。 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 ・テンチャ (タスイカ/タスイセキカヨウ) 葉:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・甜茶ポリフェノール(GOD型エラジタンニン)、ルブソシド(rubusoside)、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル (107) (PMID:17827756)。
分析法
・甜茶ポリフェノールの定量は、HPLCを用いてGOD型エラジタンニンを紫外可視(UV)検出法(280 nm)にて検出している。 ・甜茶の甘味成分であるルブソシドを、薄層クロマトグラフィー、HPLC-UV法(210 nm)、NMR解析法にて分析した報告がある(PMID:12436720)(PMID:1368695)。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に十分な情報が見当たらない。
消化系・肝臓
糖尿病・内分泌
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
RCT ・スギ花粉症患者32名(18歳以上、試験群44名、日本)を対象とした二重盲検プラセボ対照試験において、甜茶エキス65 mg、シソエキス15 mg含有食品を1日3粒45日間摂取させたところ、下鼻甲介粘膜腫脹、鼻腔内水性分泌量の低減が認められた (103) 。 ・チリダニによるアレルギー性鼻炎の患者89名(試験群47名、平均30.5±10.4歳、日本)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、テ ンチャ抽出物400 mg/日を4週間摂取させたところ、くしゃみ、鼻汁、鼻閉塞などの鼻炎症状に影響は認められなかった (PMID:21216122)。 その他 ・通年性鼻アレルギー患者21名 (平均24.3歳、日本) を対象とした試験において、甜茶エキス40 mg含有食品を1粒×3回/日、4週間摂取させたところ、摂取前と比較して自覚症状(くしゃみ発作減少、鼻汁減少)、他覚所見(鼻腔内水性分泌量、鼻誘発反応、鼻汁中好酸球検査)の改善が認められたという予備的な報告があるが、この現象についてはさらに詳細な検証が必要である (101) 。 ・スギ花粉症患者15名 (平均35.2±13.8歳、日本) を対象とした試験において、花粉症発症2週間前から、甜茶抽出物40 mg含有飲料を1缶×2回/日、4週間以上摂取させたところ、発症後に摂取し始めた群と比較して、使用薬剤量(medication score)の低減、使用薬剤と症状重症度を組み合わせたスコア(symptom medication score)の改善が認められたという予備的な報告があるが、この現象についてはさらに詳細な検証が必要である (102) 。
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
・試験管内において、甜茶熱水抽出エキスにシクロオキシゲナーゼ阻害活性、ヒスタミン遊離阻害活性が報告されている (106) 。 ・動物実験において、甜茶熱水抽出エキスは200 mg/kg/日の5日間経口投与により腹腔マクロファージのTNF産生および耳介浮腫の抑制作用 (105) 、1,000 mg/kg経口投与により受動感作皮膚アナフィラキシーおよび皮膚血管透過性亢進の抑制作用 (106) が報告されている。
安全性
危険情報
<一般> ・通年性鼻アレルギー患者 (21名) に甜茶エキス40 mg含有食品1粒を1日3回4週間摂取させた条件 (101) 、スギ花粉症患者 (15名) に甜茶抽出物40 mg含有飲料1缶を1日2回4週間以上摂取させた条件 (102) 、スギ花粉症患者 (32名) に甜茶エキス65 mg含有食品を1日3粒45日間摂取させた条件 (103) では、有害事象は認められなかった。 <妊婦・授乳婦> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
動物他での 毒性試験
1. TDLo (最小中毒量) ・マウス経口投与(間欠的) 1,400 mL/kg/2週間 (91)。
AHPAクラス分類 及び勧告
・参考文献中に記載なし (22) 。
総合評価
・通常の食品に含まれる量を摂取する場合はおそらく安全である。 ・通年性鼻アレルギー患者 (21名) に甜茶エキス40 mg含有食品1粒を1日3回4週間摂取させた条件 (101) 、スギ花粉症患者 (15名) に甜茶抽出物40 mg含有飲料1缶を1日2回4週間以上摂取させた条件 (102) 、スギ花粉症患者 (32名) に甜茶エキス65 mg含有食品を1日3粒45日間摂取させた条件 (103) では、有害事象は認められなかった。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・調べた文献に十分なデータが見当たらない。
参考文献
(PMID:12436720)Shokuhin Eiseigaku Zasshi. 43(4):250-3, 2002. (101)耳鼻咽喉科展望:38,519-532(1995) (102)耳鼻咽喉科展望:42,447-458(1999) (103)日本臨床栄養学雑誌:23(3),5-14(2001) (105)炎症:14(4),323-327(1994) (106)炎症:15(2),167-173(1995) (PMID:21216122) Auris Nasus Larynx. 2011 Oct;38(5):600-7. (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS). (PMID:1368695) Agric Biol Chem. 1991 Feb;55(2):449-53. (PMID:17827756) Chem Pharm Bull (Tokyo). 2007 Sep;55(9):1325-31. (22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳