注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
フコイダン [英]Fucoidan [学名]-
概要
フコイダンとは、コンブ、ワカメ、モズク、メカブなどの褐藻類の「ぬめり」部分に含まれる細胞間粘質多糖をさす。L-フコースを主要構成糖とし、他の多糖類と違って硫酸化フコースを多く含有することを特徴とする。フコイダンという一般名の原材料には多様な品質のものが存在し、藻類に元来含まれているヒ素や生育環境から由来した不純物を含むものが流通している可能性もある。 ●有効性俗に、「免疫力を高める」「がんを予防する」「抗ウイルス、抗菌作用がある」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。 ●安全性サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」にも該当しない。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・フコイダンはL-フコースを主要構成糖とし、硫酸化フコースを多く含有する (71) 。 ・ウロン酸を多く含むものがU-フコイダン、硫酸化フコースとフコースがほとんどのものがF-フコイダン、ガラクトースを含むものがG-フコイダンとよばれている (2010300056) 。 ・由来する藻類によって組成や分子量が大きく異なる (2005302636) 。
分析法
・蛍光標識化後蛍光検出器 (励起波長367 nm、蛍光波長445 nm) 装着HPLCにより分析した報告がある (101) 。 ・カラムクロマトグラフィーにより分画、NMRにより分析した報告がある (PMID:15013388) 。 ・マコンブのフコイダンに対するモノクロナル抗体を作成し、ELISA法 により測定した報告がある (PMID:19202293) 。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に見当たらない。
消化系・肝臓
RCT ・健康な成人19名 (平均21.9±0.2歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ対照試験において、モズク由来フコイダン810 mg/日を2週間摂取させたところ、排便日数、排便回数、排便量、便の性状、臭いに影響は認められなかった (2011044283) 。 ・便秘傾向の成人66名 (平均44.5±8.6歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オキナワモズク (Cladosiphon okamuranus Tokida) 由来フコイダン500 mg含有飲料50 mL/日を2週間摂取させたところ、排便日数、排便回数の増加が認められた。一方、排便量、排便後の感覚、便の性状 (色、臭い) に影響は認められなかった (2017083758) 。
糖尿病・内分泌
RCT ・2型糖尿病患者30名 (平均59.10±13.24歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、高分子量フコイダン810 mg含有飲料30 mL×2回/日を12週間摂取させたところ、排便回数の増加が認められた。一方、体重、BMI、血圧、糖代謝マーカー (空腹時血糖、HbA1c、インスリン、HOMA-IR) 、血中脂質、便の硬度と色に影響は認められなかった (PMID:30962740) 。
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
RCT ・高齢者70名 (試験群35名、平均86.6±7.7歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、メカブ由来フコイダン300 mg/日を24週間摂取させ、摂取開始4週間の時点でインフルエンザ・ワクチン接種 (3種) を受けさせたところ、摂取24週間後の免疫マーカー (B抗体) の増加が認められた。一方、H1N1抗体、H3N2抗体に影響は認められなかった (PMID:24005608) 。 ・健康な成人30名 (試験群15名、平均64.1±4.7歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ガゴメ昆布フコイダン200 mg/日を4週間摂取させたところ、一部の炎症マーカー (IFN-γ、Th1/Th2比の増加、IL-2、IL-4の減少抑制) に影響が認められた。一方、炎症マーカー (IL-5、IL-10、IL-12、IL-13、TNF-α) に影響は認められなかった (2016084908) 。 ・転移性結腸直腸がん患者54名 (試験群28名、平均57.46±12.15歳、台湾) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、通常の化学療法ともにイソモク (Sargassum hemiphyllum) 由来低分子量フコイダン粉末4 g/日を6ヶ月間摂取させたところ、病勢コントロール率の増加が認められた。一方、奏効率、累計全生存率、累計無増悪生存率、QOLに影響は認められなかった (PMID:28430159) 。 ・軽度から中程度の変形性関節症患者96名 (平均62.0±10.4歳、試験群54名、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ヒバマタ (Fucus vesiculosus) 抽出物 (フコイダン88.5%含有) 150 mg×2回/日 を12週間摂取したところ、股関節や膝の症状評価 (COAT) 、炎症マーカー (CRP、IL-6、TNF-α) 、BMIに影響は認められなかった (PMID:27307702) 。
骨・筋肉
発育・成長
肥満
RCT ・過体重または肥満の成人25名 (試験群13名、平均45.4±7.3歳、メキシコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、フコイダン500 mg/日を3ヶ月摂取させたところ、拡張期血圧、血中脂質 (LDL-C) の低下、糖代謝マーカー (HOMA-β細胞) の上昇抑制が認められた。一方、BMI、ウエスト径、体脂肪率、収縮期血圧、血糖、血中脂質 (TC、TG、HDL-C) に影響は認められなかった (PMID:24611906) 。
その他
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
<一般> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。 <妊婦・授乳婦> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
<動物・試験管内> ・動物実験 (ラット) において、ガゴメ昆布フコイダンまたはブナシメジテルペンの摂取は、CYP2C11、CYP2D、CYP2E1、CYP3A2遺伝子発現、活性のいずれにも影響を及ぼさなかった (2012238932) 。
動物他での 毒性試験
1.TDLo (最小中毒量) ・ワカメ (Undaria pinnatifida) 由来フコイダン (5-30 kDa) を投与:マウス経口 (間欠的) 420 mg/kg/6週 (91) 。 ・ワカメ (Undaria pinnatifida) 由来フコイダン (5 kDa未満) を投与:マウス経口 (間欠的) 420 mg/kg/6週、1.89 g/kg/6週 (91) 。 ・マコンブ (Laminaria japonica) 由来低分子フコイダンを投与:ラット経口 (間欠的) 1.4 g/kg/28日、4.2 g/kg/12週 (91) 。 2.LD50 (半数致死量) ・マコンブ (Laminaria japonica) 由来フコイダン:マウス腹腔内138 mg/kg (91) 。 ・Laminaria saccharina由来フコイダン:マウス腹腔内215 mg/kg (91) 。 ・Laminaria cichoriodes由来フコイダン:マウス腹腔内83 mg/kg (91) 。 ・スジメ (Costaria costata) 由来フコイダン:マウス腹腔内290 mg/kg (91) 。 ・Pelvetia wrightii由来フコイダン:マウス腹腔内400 mg/kg (91) 。 ・ヨツデガシラ (Sphaerotrichia divaricata) 由来フコイダン:マウス腹腔内350 mg/kg (91) 。 3.LDLo (最小致死量) ・Laminaria cichorides由来フコイダン:ウサギ静脈内10 mg/kg (91) 。 4.その他 ・ガゴメ昆布 (Kjellmaniella crassifolia) 由来フコイダンの遺伝毒性試験 (微生物を用いた復帰突然変異試験、細胞を用いた染色体異常試験、マウスを用いた小核試験) は陰性であった (2012083353) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
-
総合評価
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・信頼できる情報が見当たらない。
参考文献
(PMID:15013388) Carbohydr Res, 2004; 339(3): 511-7. (101) Chromatography, 2001; 22(2): 85-90. (71) 海藻の科学 朝倉書店 大石圭一 編 (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS) (2012083353) 日本補完代替医療学会誌. 2011; 8(2):61-5. (PMID:19202293) Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Feb;73(2):335-8. (PMID:24005608) J Nutr. 2013 Nov;143(11):1794-8. (2011044283) 米子医学雑誌. 2010; 61(4-5) 122-8. (2016084908) 日本補完代替医療学会誌. 2015; 12(2): 87-93. (2010300056) Functional Food. 2010; 4(1): 48-55. (2012238932) 日本補完代替医療学会誌. 2011; 9(1): 1-7. (2005302636) 日本栄養食糧学会. 2005; 58(5): 273-80. (2017083758) 薬理と治療. 2016; 44(11): 1621-6. (PMID:28430159) Mar Drugs. 2017; 15(4): E122. (PMID:24611906) J Med Food. 2014; 17(7): 830–2. (PMID:30962740) Yonago Acta Medica. 2019; 62(1): 14-23. (PMID:27307702) Biologics Targets and Therapy. 2016; 10: 81–8.