健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

共役リノール酸 [英]Conjugated linoleic acid、 CLA [学名]-

概要

共役リノール酸は共役ジエン構造を有するリノール酸の位置異性体および構造異性体の総称である。反芻動物の胃内に存在する微生物により生成されることから、一般の食品ではウシやヤギなどの食肉および乳・乳製品、家禽の食肉および卵が主な摂取源である。また健康食品としては主に紅花油、大豆油などのリノール酸を多く含む植物油を異性化して工業的に合成されたものが用いられる。俗に、「ダイエットによい」「脂肪を燃焼する」「がんを防ぐ」「免疫によい」「アレルギーによい」などと言われている。ヒトにおける有効性については体脂肪増加の抑制についての報告があるが、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である。安全性については、妊娠中・授乳中も含めて食品中に含まれる量ならばおそらく安全である。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・リノール酸は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・C18H32O2、分子量280.45。シス-9,トランス-11型 (cis-9, trans-11 octadecadienoid acid) とトランス-10,シス-12型 (trans-10, cis-12 octadecadienoic acid) があり、リノール酸 (シス-9,シス-12型) とは異なる生理活性をもつと考えられている。シス-9,トランス-11型共役リノール酸は反芻動物の胃内に存在する微生物により生成される。植物油を異性化して合成したものにはシス-9,トランス-11型とトランス-10,シス-12型の両方が含まれる。

分析法

・紫外可視又はフォトダイオードアレイ検出器 (検出波長200〜300 nm) を装着したsilver ion高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 、ガスクロマトグラフィーにより分析した報告がある (PMID:15134147) (PMID:15164854) (PMID:15088760) (110) (111) 。蛍光検出器 (励起波長365 nm、蛍光波長412 nm) を装着したHPLC (PMID:16212797) 、フォトダイオードアレイ検出器(検出波長231 nm) を装着したミセル動電クロマトグラフィー (PMID:16243343) により分析した報告がある。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・高血圧に対し、有効性が示唆されている (94) 。
・高脂血症に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2014年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験8報について検討したメタ分析 (年齢≧18歳、摂取量2.0〜6.8 g/日、期間≧4週間) において、共役リノール酸の摂取は、収縮期血圧、拡張期血圧のいずれにも影響を与えなかった (PMID:25889408)
・2013年11月までを対象に5つのデータベースで検索できた臨床試験33報について検討したメタ分析において、健康な成人による共役リノール酸のサプリメント (23報) または食事 (10報) からの摂取は、LDLコレステロール (サプリメント:11報、食事:8報) の低下と関連が認められたが、HDLコレステロール (13報、9報) 、総コレステロール (13報、9報) 、トリグリセリド (14報、9報) に影響は与えなかった (PMID:25379623)
・2013年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験32報について検討したメタ分析において、血中アディポネクチン濃度は、総脂肪摂取量には影響を受けず (12報) 、n-3系不飽和脂肪酸摂取量が多いと増加し (13報) 、共役リノール酸摂取量が多いと低下したが (7報) 、いずれも試験によるばらつきが大きかった (PMID:25192422)


消化系・肝臓

メタ分析
・2015年1月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験13報について検討したメタ分析において、共役リノール酸の摂取は、肝機能マーカー (ALP (3報) 、ALT (11報) 、AST (11報)) に影響を与えなかった。一方、サプリメントでの摂取 (7報) はASTの上昇と関連が認められた (PMID:26541717)

糖尿病・
内分泌

一般情報
・糖尿病に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2015年3月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験32報について検討したメタ分析において、健常成人による共役リノール酸サプリメントまたは共役リノール酸の豊富な食品の摂取は、空腹時血糖値 (27報) 、ウエスト径 (16報) に影響を与えなかった (PMID:28176632)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・風邪に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・健康な男女121名 (18〜45歳、試験群64名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸2 g/日を、風邪の原因ウイルスに曝露させる前4週間と後4日間、摂取させたところ、感染リスクや症状の重症度に影響は認められなかった (PMID:19320235)
・化学放射線療法を受けている直腸がん患者32名 (試験群15名、平均62.4±15.6歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸3 g/日を6週間摂取させたところ、血清TNF-α、高感度CRP、MMP-9 (がんの浸潤、転移等に関与する酵素) 濃度の低下が認められたが、他の炎症マーカー (IL-1β、IL-6、MMP-2) 、肝酵素値 (ALT、AST、ALP) に影響は認められなかった (PMID:23632235)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

一般情報
・肥満に対し、有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2013年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、超低カロリー/低カロリー食による肥満治療後の緑茶、食物繊維、共役リノール酸、油エマルジョンなどのサプリメント摂取は、体重リバウンドに影響を与えなかった (PMID:24172297)
・2010年10月までを対象に7つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験7報について検討したメタ分析において、共役リノール酸の6ヶ月以上の摂取は、腹囲への影響は認められず、体重、体脂肪量、BMIの非常にわずかな減少と関連が認められたという報告がある。また、共役リノール酸の摂取が原因と思われる、便秘、下痢、軟便が報告されている (PMID:21990002)
RCT
・過体重で高コレステロール血症境界域の男性27名 (18〜60歳、カナダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸2.7〜2.8 g/日を8週間摂取させたところ、体重、体脂肪量、血中脂質濃度、血中アディポネクチン濃度、HOMA-IR、血中酸化・炎症マーカー (高感度C反応性蛋白、TNFα、IL-6、酸化LDL) に影響は認められなかった (PMID:21593349)
・過体重の成人35名 (平均48.3±6.6歳、試験群18名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、L-カルニチン200 mg/日+共役リノール酸700 mg/日含有製品を8週間摂取させたところ、心理症状スコアの「怒りっぽい」の改善が認められたが、その他の心身症状、体格 (体重、体脂肪率、BMIなど) 、糖代謝 (空腹時血糖値、HbA1c、インスリン濃度など) 、血中脂質濃度に影響は認められず、尿中過酸化脂質マーカー (イソプラスタン生成速度、イソプラスタン/CRE) の増加が認められた (2009175519) 。
・過体重または肥満の成人29名 (試験群14名、平均39.4±4.4歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸2.4 g/日を8週間摂取させたところ、体重、BMI、体脂肪量、除脂肪量の減少量や、血中脂質過酸化、抗酸化マーカー (TRAP、CD、SOD、CAT、GSH-Px、抗酸化ビタミン濃度) 、白血球DNA損傷に影響は認められなかった (PMID:21541732)
・過体重または肥満の女性74名 (試験群37名、中央値54歳、ポーランド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸1 g×3回/日を12週間摂取させたところ、ヒップ囲の減少量が大きかったが、体重、BMI、腹囲およびそれぞれの変化量に影響は認められなかった (PMID:28071044)
・過体重の成人54名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、超低カロリー食を3週間摂取後に共役リノール酸1.8 g/日を13週間摂取させたところ、空腹感の減少が認められた (PMID:14506488)
・健康な成人53名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸4.2 g/日を12週間摂取させたところ、体脂肪の減少が認められたが、体重に影響は認められなかった (PMID:11592727)
・肥満の女性28名 (試験群15名、平均23.1±2.8歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、有酸素運動とともに共役リノール酸3.2 g/日を8週間摂取させたところ、体重、VO2max、血漿脂質濃度 (総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド) 、体脂肪率および体脂肪分布に影響は認められなかった (PMID:26402730)

その他

一般情報
・運動能力向上に対し、効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・健康な成人男性66名 (試験群34名、平均24.6±2.04歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、共役リノール酸3.2 g/日を8週間摂取させたところ、体重、BMI、腹囲、トレッドミル走行における最大酸素摂取量、持続時間、最大心拍数に影響は認められなかった (PMID:26003683)





試験管内・
動物他での
評価

・共役リノール酸を含むエサを与えることによって、ブタではCD8+細胞数が増加したという報告 (PMID:11266862) (PMID:11818164) や、ラットでは脾臓および腸間膜リンパ節のIgA、IgG、IgM産生を増加させ、IgEレベルを低下させたという報告がある (PMID:9625600)
・ラットに共役リノール酸を1.0%含む飼料を3週間与えたところ、脾臓および腸間膜リンパ節のIgA、IgG、IgMレベルは増加したが、IgEレベルは有意に減少した (PMID:9625600)
・ブロイラー (雌雄11日齢, Cobb strain) に、共役リノール酸10 g/kg食を2週間投与したところ、羊赤血球 (SRBC) 抗体価が上昇した (PMID:12720589)

安全性

危険情報

<一般>
・食品中に含まれる量ならばおそらく安全である (94) 。
・食事由来の一日当たりの摂取量の概算は、日本では128 mg、アメリカでは151〜212 mg、カナダでは295〜332 mg、ドイツでは350〜430 mgとの報告がある (112) 。
・高品質共役リノール酸3〜6 g/日の経口摂取ではおそらく安全である (94) 。
・共役リノール酸の摂取により、便秘、下痢、軟便を生じる可能性がある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中も含めて食品中に含まれる量であればおそらく安全である (94) 。医療目的で摂取する場合の安全性は適切な情報がないため、避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<被害事例>
・46歳女性 (ポルトガル) が、減量目的で共役リノール酸を14日間摂取 (摂取量は不明) したところ、肝毒性を示した。摂取の中止により、肝臓の酵素レベルは回復した (PMID:18720003)
・63歳女性 (ポルトガル) が、減量目的で共役リノール酸を約1ヶ月間摂取 (摂取量不明) したところ、肝不全を起こし、肝臓移植を受けた (PMID:22345346)
・肥満、鎌形赤血球の既往歴のある26歳女性 (アメリカ) が、減量目的で定期的な運動および制限食を行っていたが、さらに共役リノール酸の摂取 (摂取量は不明) を始めたところ、摂取1週間後に腹痛および嘔吐を呈したため受診。肝機能酵素値が高値を示し、肝生検の結果より、急性肝炎と診断された。共役リノール酸の摂取中止および加療により回復した (PMID: 26240766)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・ビタミンAの肝臓への貯蔵を増加させる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・妊娠中・授乳中も含めて食品中に含まれる量ならばおそらく安全である。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・調べた文献の中に見当たらない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
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