注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
ルイボス [英]Rooibos、Red bush tea、 Kaffree tea [学名]Aspalathus linearis
概要
南アフリカの高地に自生する0.5〜2 mのマメ科の低木。10〜40 mmの針状の葉をもち、春から初夏に小さな黄色い花をつける。古くから南アフリカの先住民に発酵茶として利用されてきた。茶葉を発酵させて橙紅色になることから現地では「紅茶」と呼ばれ、植物自体の名前が「赤い (=ROY) 灌木 (=BOSS)」となったとされる。カフェインを含まないことが特色といわれている。俗に、「イライラを静める」「喘息、花粉症、アレルギー性皮膚炎によい」「美容によい」と言われているが、ヒトにおける安全性・有効性については、調べた文献中にデータが見当たらない。通常のお茶として摂取する場合は安全と思われるが、大量摂取ならびに妊娠中・授乳中の安全性に関してはデータが見当たらない。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。
法規・制度
・ルイボス葉は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・ルイボスに特有の成分として、ジヒドロカルコンC-配糖体であるアスパラシン(aspalathin) を含む (PMID:4290475) 。その他ルチン (rutin) 、オリエンチン (orientin) 、nothofagin、ジヒドロイソオリエンチン (dihydroisoorientin) 、ジヒドロオリエンチン (dihydroorientin) が検出されている (PMID:12236672) 。 ・カフェインを含まないことが特色といわれている (94) 。 ・ルイボス中のisovitexin、luteolin-7-glucoside、nothofaginはエストロゲン様作用を有するという報告がある (PMID:16755032) 。
分析法
・フラボノイドが紫外可視検出器 (検出波長255, 287 nm) (PMID:14640601) (PMID:12236672) 、ダイオードアレイ検出器 (検出波長200〜400 nm) 、液体クロマトグラフ質量分析計、近赤外線分光法により分析した報告がある (101) 。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に見当たらない。
消化系・肝臓
糖尿病・内分泌
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
<一般> ・通常のお茶として摂取する場合は安全と思われるが、大量摂取の安全性に関してはデータが見当たらない (94) 。 <妊婦・授乳婦> ・妊娠中・授乳中の摂取による安全性に関してはデータが見当たらない (94) 。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <被害事例> ・8歳の女児 (日本) がアトピー性皮膚炎改善の目的でルイボス茶を飲用開始後 (摂取量、期間不明) 、突発性中枢性尿崩症を起こした (1998255720) 。 ・B細胞悪性腫瘍に罹患しリツキシマブ (抗がん剤) 、プレドニゾロン (抗炎症薬) 、コトリマゾール (抗生物質) にて治療中の42歳女性 (フィンランド) が、ルイボス茶を約1 L (ティースプーン1杯のルイボス/1カップ、10分間浸出) 、2週間摂取したところ肝機能障害を発症したが、ルイボス茶の摂取中止により症状は改善した (PMID:20072844) 。 ・脂質異常症、IgA腎症の二次性慢性腎臓病の既往歴があり、ステロイド、スタチンを服用中の52歳男性 (アメリカ) が、Buchuとルイボス入りの茶を1ヶ月間摂取したところ (摂取量不明) 、黄疸、倦怠感、びまん性掻痒、暗色尿を伴う急性肝炎を生じ、摂取中止により改善した (PMID:26157822) 。 ・臍ヘルニアの手術歴がある37歳男性 (アメリカ) が、ルイボス茶を10カップ/日、1年間以上摂取していたところ、急性虫垂炎の術前検査で肝機能マーカー (AST、ALT、LDH) 上昇と血小板減少が認められ、ルイボス茶の摂取を原因とする肝機能障害と診断され、摂取中止と加療により改善した (PMID:27871602) 。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
<動物・試験管内> ・動物試験 (ラット) において、ルイボス茶2週間の摂取は、腸の薬物代謝酵素CYP3Aを誘導しミダゾラム (催眠薬:CYP3A基質) の血清中濃度を低下させる可能性が報告されている (PMID:17287587) 。 ・in vitro試験 (ヒトCYPタンパク) において、ルイボスの発酵抽出物および非発酵抽出物はCYP2C8、CYP2C9、CYP3A4活性を阻害し、アスパラシンはCYP3A4活性を阻害した。一方、Z-2-(β-d-glucopyranosyloxy)-3-phenylpropenoic acidは影響を与えなかった (PMID:27845750) 。 ・in vitro試験 (測定キット、ヒト肝がん由来細胞、イヌ腎臓尿細管上皮細胞) において、非発酵ルイボスのメタノール抽出物はCYP1A2、CYP3A4、CYP2C9、P糖タンパク質遺伝子発現、P糖タンパク質活性に影響を及ぼさなかった。一方、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害し、PXR転写活性を増強した (PMID:30955332) 。
動物他での 毒性試験
TDLo (最小中毒量) ・葉の水抽出液を投与:ラット経口 (間欠的) 1,400 mL/kg/2週 (91) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
・参考文献中に記載なし (22) 。
総合評価
・ヒトに対する安全性については、通常のお茶として摂取する場合は安全と思われるが、大量摂取ならびに妊娠中・授乳中の安全性に関してはデータが見当たらない。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・ヒトに対する有効性については、調べた文献中にデータが見当たらない。
参考文献
(101) Eur Food Res Technol. 2003; 216(6): 539-43. (PMID:14640601) J Agric Food Chem. 2003; 51(25): 7472-4. (PMID:12236672) J Agric Food Chem. 2002; 50(20): 5513-9. (PMID:4290475) Biochem J. 1966 Jun;99(3):604-9. (30)「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について) (22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳 (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS). (1998255720) アレルギーの臨床. 1998 ;18(9):781. (PMID:16755032) Biol Pharm Bull. 2006 Jun;29(6):1271-4. (PMID:17287587) J Pharmacol Sci. 2007 Feb;103(2):214-21. (PMID:20072844) Eur J Clin Pharmacol. 2010 Apr;66(4):427-8. (PMID:26157822) ACG Case Rep J. 2013 Oct 8;1(1):58-60. (94) Natural Medicines (PMID:27871602) J Clin Anesth. 2016 Dec;35:96-98. (PMID:27845750) Molecules. 2016 Nov 12;21(11). pii: E1515. (PMID:30955332) J Agric Food Chem. 2019 May 1;67(17):4967-4975.