注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
アラビアガム、アラビアゴム、アカシアガム [英]Arabic gum、 Acacia gum、 Gum arabic Acacia [学名]Acacia senegal (L.) willd
概要
アラビアガムはマメ科アラビアゴムノキまたはその他同属植物から取れる樹脂で、多糖類 (アラビノガラクタン) を主成分とする水溶性の食物繊維である。水溶液は低粘性で、強い乳化安定性および保護コロイド性をもつことから、食品添加物 (増粘安定剤) として菓子やアイスクリームなどの食品に、また安定剤として医薬品・化粧品・日用品にも広く使用が認められている。ガムシロップの名称は、シロップ中の砂糖の結晶化を防止するためアラビアガムが添加されていたことが語源といわれている。俗に、「便秘によい」「糖尿病によい」「免疫によい」などと言われているが、ヒトでの有効性については調べた文献中に信頼できる十分なデータがない。安全性については通常食品に含まれる量を適切に摂取すればおそらく安全である。有害事象としては、軽度の胃腸症状が報告されている。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。
法規・制度
・アラビアゴム (アラビアゴムノキ) 乾燥ゴム質 (枝・葉) は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。 ・既存添加物 (増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、増粘安定剤) としての使用が認められている (78) 。 ・米国ではGRAS (一般的に安全とみなされた物質) 認定 (94) 。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・主成分であるアラビノガラクタンは分子量22〜30万の多糖類で、少量のタンパク質と結合したプロテオグリカンである。アラビン酸 (arabic acid) を含み加水分解されてアラビノース、ガラクトース等の糖になる。またグルクロン酸等の酸、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを含む。
分析法
-
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
一般情報 ・高コレステロール血症に対して効果がないことが示唆されている (94) 。
消化系・肝臓
RCT ・健康な男性51名 (平均30.9歳、オランダ) を対象とした二重盲検並行群間無作為化比較試験において、アラビアガム粉末 (水溶性繊維≧80%) を1日に5、10、20、40 g、4週間摂取させたところ、糞便中のBifidobacteriaとLactbacill (いわゆる善玉菌) は10 g摂取で最も増加した (PMID:18466655) 。
糖尿病・内分泌
調べた文献の中に見当たらない。
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
<一般> ・通常の食品に含まれる量を適切に摂取する場合はおそらく安全である (94) 。 ・有害事象として、アレルギー性喘息や鼻炎を起こす可能性がある (94) 。 <妊婦・授乳婦> ・妊娠中、授乳中に使用した際の安全性は十分な情報が見当たらないため、使用を避ける (94) 。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <その他> ・マメ科植物に過敏な人はアレルギーを引き起こす可能性がある (94) 。 <被害事例> ・β遮断薬を点眼中の患者 (フランス) がコーヒー飲用後にアナフィラキシーショックと心停止を来たし、アラビアガムでコーティングしたコーヒー豆に対し過敏性を示した (PMID:8378620) 。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
<ヒト試験> ・健康な成人24名 (試験群18名、スーダン) を対象としたオープン試験において、アラビアガムの摂取は、アモキシシリンの血中濃度 (Cmax、AUC) を低下させたが、半減期やTmaxに影響は認められなかった (PMID:15269196) 。 <理論的に考えられる相互作用> ・アモキシシリン (抗生物質) との併用は、アモキシシリンの吸収を阻害する可能性がある (94) 。
動物他での 毒性試験
1.LD50 (半数致死量) ・アラビアガムを投与:マウス経口16 g/kg以上、ラット経口16 g/kg以上 (91)。 2.TDLo (最小中毒量) ・アラビアガムを投与:ラット経口1,260 mg/kg/13週間 (連続) (91) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
・参考文献中に記載なし (22) 。
総合評価
・アラビアガムを通常の食品に含まれる量を適切に摂取する場合はおそらく安全である。 ・妊娠中、授乳中に使用した際の安全性は十分な情報が見当たらないため、使用を避ける。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・高コレステロール血症に対して効果がないことが示唆されている。
参考文献
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について) (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS). (PMID:8385164) J Am Coll Nutr. 1993 Apr;12(2):147-54. (PMID:15269196) J Antimicrob Chemother. 2004 Aug;54(2):577-8. Epub 2004 Jul 21. (PMID:8378620) Rev Med Interne. 1993;14(2):107-11. (PMID:18466655) Br J Nutr. 2008 Dec;100(6):1269-75. (78) 改訂 食品添加物インデックス 和名・英名E No.検索便覧 中央法規 社団法人日本輸入食品安全推進協会 (94) Natural Medicines (22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳