健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

リコピン [英]Lycopene [学名]-

概要

リコピンは、トマトやスイカなどの野菜、ピンクグレープフルーツ、アンズ、グアバなどの果物に含まれる赤い色素で、カロテノイドの一種であるが、ビタミンA作用はもたない。直鎖状のカロテノイドで、多くのカロテノイドの重要な生合成中間体である。俗に、「美白効果がある」「ダイエットに効く」「血糖値を下げる」「動脈硬化を防ぐ」「がんを予防する」「喘息によい」などと言われているが、ヒトでの有効性は、血圧改善に関して有効性が示唆されているものの、II型糖尿病のリスク低減や膀胱がん、パーキンソン病の発症リスクに効果ないことが示唆されている。その他の有効性については信頼できるデータが見当たらない。安全性については、通常の食品に含まれる量の摂取はおそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらないため、妊婦・授乳婦、小児の摂取は避ける。 その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。 トマトに関する情報はこちらを参照。

法規・制度

・「既存添加物」:トマトリコピンは着色料である (78) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・C40H56、分子量536.88、融点175℃、褐紅色の長針状結晶 (31) 。
・カロテノイドの一種であり、直鎖状の構造をしている。多くのカロテノイドの生合成中間体でもある (102) 。
・β-イオノン環を持たないため、ビタミンA前駆体ではない (102) 。

分析法

・フォトダイオードアレイ検出器付きHPLCにより、C30カラムを用いて分離・検出するという報告がある (PMID:14509347)

有効性








循環器・
呼吸器


一般
・リコピンは高血圧改善に関して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2010年9月までを対象に2つのデータベースで検索できた臨床試験について検討したメタ分析において、リコピンの摂取は収縮期血圧 (4報) の低下と関連が認められ、25 mg/日以上の摂取では総コレステロール (6報) とLDLコレステロール (4報) の低下と関連が認められた (PMID:21163596)
・2012年までを対象に1つのデータベースで検索できた臨床試験6報について検討したメタ分析において、リコピンの摂取は収縮期血圧 (6報) の低下と関連が認められたが、拡張期血圧 (5報) には影響を与えず、いずれも試験によるバラツキが大きかった (PMID:24051501)
・2016年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた介入試験21報 (検索条件:年齢>18歳) について検討したメタ分析において、トマトまたはトマト製品の継続摂取は、血中LDLコレステロール値 (6報) 、IL-6 (3報) の低下、血管拡張反応 (FMD) の上昇 (3報) と関連が認められた。リコピンの摂取は収縮期血圧 (5報) の低下と関連が認められたが、試験によるバラツキが大きかった (PMID:28129549)
RCT
・心血管疾患者36名 (試験群24名、平均67±6歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、リコピン7 mg/日を56日間摂取させたところ、血圧、血中脂質 (LDLコレステロール、HDLコレステロール) 、炎症マーカー (MMP-9、高感度CRP、IL-6、TNF-α) 、酸化ストレスマーカー (酸化LDL、ニトロチロシン) に影響は認められなかった (PMID:24911964)
・健康な男女36名 (試験群24名、平均61±13歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、リコピン7 mg/日を56日間摂取させたところ、血圧、血中脂質 (LDLコレステロール、HDLコレステロール) 、炎症マーカー (MMP-9、高感度CRP、IL-6、TNF-α) 、酸化ストレスマーカー (酸化LDL、ニトロチロシン) に影響は認められなかった (PMID:24911964)
・健康な男性126名 (韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、リコピン6 mg/日 (試験群41名、平均34.8±1.28歳)、15 mg/日 (試験群37名、平均34.7±1.23歳) を8週間摂取させたところ、15 mg群において血漿SOD活性、血管内皮機能 (RH-PAT) で影響が認められたが、血圧、リンパ球DNA損傷 (comet assay) 、血中炎症マーカー (sICAM-1、高感度CRP) に影響は認められず、6 mg群ではいずれの項目にも影響は認められなかった (PMID:21194693)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・食事からのリコピンの多量摂取は、II型糖尿病のリスク低減に効果がないことが示唆されている (94) 。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

一般
・食物摂取量またはリコピンを含むカロテノイドの血中濃度とパーキンソン病の発症リスクに関連がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2013年4月までを対象に2つのデータベースで検索できた疫学研究8報について検討したメタ分析において、ビタミンA (3報) 、α-カロテン (2報) 、β-カロテン (6報) 、β-クリプトキサンチン (3報) 、ルテイン (4報) 、リコピン (3報) の摂取量はパーキンソン病リスクに影響を与えなかった (PMID:24356061)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・米国FDAのレビューでは、リコピンと各部がんに関する試験81報について検討したレビューにおいて、リコピンの摂取と前立腺、肺、大腸、胃、胸部、卵巣、子宮内膜、すい臓がんのリスク低下を関連付ける科学的根拠は得られなかった (PMID:17623802)
・疫学調査において、トマトおよびトマト加工品摂取量と膀胱がんの発症リスクとは相関が認められなかったとの報告があるため、膀胱がんに対して効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2015年1月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究15報 (コホート研究4報、症例対照研究11報) について検討したメタ分析において、リコピンの摂取量と大腸がん発症リスクに関連は認められなかった (PMID:27472298)
・2014年5月までを対象に、2つのデータベースで検索できた症例対照研究またはコホート研究16報について検討したメタ分析において、リコピンの摂取量が多いと口腔咽頭がん (4報) 、喉頭がん (4報) の発症リスクが低かったが、喉頭がんについては試験によるバラツキが大きかった (PMID:25873578)
・2013年10月までを対象に5つのデータベースで検索できた症例対照研究5報、コホート研究4報について検討したメタ分析において、リコピンの摂取は、胃がんリスクに影響を与えなかった (PMID:25726725)
・2012年1月までを対象に6つのデータベースで検索できた前向き研究17報 (コホート研究6報、コホート内症例対照研究11報) について検討したメタ分析において、生トマト (3報) およびトマトソース (2報) の摂取は前立腺がん発症リスクに影響を与えず、リコピンの摂取は前立腺がん発症 (5報) および進展 (4報) リスクのいずれにも影響を与えなかった (PMID:23883692)
・2011年8月までを対象に11のデータベースで検索できた前向き研究24報について検討したメタ分析において、血中のリコピン濃度 (13報) やリコピン摂取量 (7報) は乳がんリスクに影響を与えなかった (PMID:22760559)
RCT
・前立腺がん患者26名 (試験群15名、平均62.3±1.9歳、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、リコピンサプリメント15 mgを1日2回、前立腺摘出手術に先立ち3週間摂取したところ、一部、腫瘍増殖が抑えられたという予備的な報告がある (PMID:11489752) が、この現象については、さらなる検証が必要である。
・前立腺特異抗原値が高い再発性前立腺がん患者41名 (平均70±7歳、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、トマト又はトマト製品 (リコピンとして 25 mg/日以上) もしくは分離大豆たん白質の粉末サプリメント (40 g/日) を4週間摂取後、両者をさらに4週間併用したところ、摂取前と比較して血管内皮細胞増殖因子 (腫瘍の悪性化の指標の1つ) の減少がみられたという予備的な報告がある (PMID:18444145) が、この現象についてさらなる検証が必要である。

骨・筋肉

メタ分析
・2016年5月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究5報 (コホート研究3報、症例対照研究2報) について検討したメタ分析において、食事からのβ-カロテン摂取は股関節骨折リスク低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった。一方、α-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン/ゼアキサンチン、総カロテノイド (各2報) 摂取量との関連は認められなかった (PMID:27911854)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

安全性

危険情報

<一般>
・経口で適切に摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の使用については通常の食品に含まれる量であれば、おそらく安全である (94) 。ただし、サプリメントとしての摂取の安全性については十分な情報がないので、食品に含まれる以上の量の摂取は避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・β-カロテンと同時に摂取するとリコピンの吸収が上昇する可能性がある (94) が、血中レベルを低下させる報告もある (94) 。これらの違いは、食事と一緒に摂取したかどうかであり、食事中の脂質量などが吸収に影響を与えると考えられている (94) 。
・ルテインと併用すると、リコピンの吸収が減少する可能性があるが、血中レベルに影響しなかったという報告もある (94) 。
・代替油脂であるオレストラは血清中リコピン濃度を低下させる可能性がある (94) 。
<試験管内・動物>
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、リコピンはCYP3A4、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6活性に影響しなかったが、CYP2E1活性を阻害した (PMID:29322841)
・in vitro試験 (Caco-2細胞) において、リコピンはP糖タンパク質活性に影響しなかった(PMID:29322841)
<理論的に考えられる相互作用>
・β-カロテンと同時に摂取するとリコピンの吸収が上昇する可能性がある (94) 。
・抗凝固薬または抗血小板薬との併用は、挫傷や出血のリスクが増加する可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・リコピンを投与:ラット経口 (連続) 336 mg/kg/60週、105,000 mg/kg/21日、ラット経口 (間欠的) 224 mg/kg/10週、20 mg/kg/5日、64 mg/kg/16日、42 mg/kg/14日、2,500 mg/kg/5週、イヌ経口 (間欠的) 840 mg/kg/28日、ウサギ経口 (間欠的) 11.5 mg/kg/23日、34.5 mg/kg/23日、ハムスター経口105 mg/kg/14週 (91) 。
2.変異原生試験
・DNA損傷:ラット経口244 mg/kg/10週 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・ヒトに対する安全性については、妊娠中・授乳中を含めて普通の食品に含まれる量であれば安全であると思われるが、サプリメント等の濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ヒトでの有効性は、血圧改善に関して有効性が示唆され、II型糖尿病のリスク低減や膀胱がん、パーキンソン病の発症リスクに効果ないことが示唆されているものの、その他の有効性については、調べた文献中に十分なデータが見当たらない。

参考文献

(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
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