コエンザイムQ10について (Ver.181218)

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■はじめに
 以前は医薬品成分として使用されてきたコエンザイムQ10が、2001年に食品成分としての利用を認可されて以降 (1) 、「肥満を解消する」「美容によい」「疲労を回復する」と言った効果を謳った、さまざまな健康食品が販売されるようになりました。
 このページでは、健康食品としてもメジャーな成分となったコエンザイムQ10について解説します。

■コエンザイムQ10とは
 コエンザイムQ10は、肉類や魚介類などの食品に含まれている脂溶性の物質です。ユビキノン (ubiquinone) とも言われ、ビタミン様物質として知られています。食事から補給する他、体内で合成することもできます。主に体内でのエネルギー (ATP) 産生に関与しています (2) 。
 食事から摂取したコエンザイムQ10は、吸収率が低く、約60%は吸収されずに排泄されるという報告があります (2) 。一方で、医薬品や健康食品に配合されているコエンザイムQ10は食事から摂取したコエンザイムQ10の吸収率と異なると考えられます。
 コエンザイムQ10は、ミトコンドリア性脳脊髄障害や高血圧、心筋梗塞、加齢黄斑変性、糖尿病性神経症、筋ジストロフィー、片頭痛などに対して有効性が示唆されています (3) 。しかし、これらの有効性はコエンザイムQ10素材の情報であり、すべての健康食品に同様の効果が期待できるとは限りません。また、医薬品のコエンザイムQ10は代謝性強心剤として利用されていますが、健康食品でよく謳われる「肥満を解消する」や「美容によい」、「疲労を回復する」と言った効果に関する情報は見当たりません。
 それでは、医薬品と健康食品はいったい何が違うのでしょうか。

■医薬品と健康食品は何が違うの?
 コエンザイムQ10は、医薬品として用いられてきた経緯があることから、健康食品でも医薬品と同じ様に安全性や有効性が保証されていると思われがちです。写真しかし、たとえ同じ成分を含んでいても、健康食品では製品の品質 (不純物混入の有無) や成分表示通りの含有量であるかどうか、摂取したときの体内吸収量といった特性は、医薬品と同じではありません。そのため、「医薬品として利用されている」という言葉のみで、健康食品の情報が「医薬品と同じである」と判断することはできません。
 詳しくは、基礎知識:「健康食品は薬の代わりにはなりません」を参照してください。
 医薬品と健康食品の品質が異なるため注意したほうがよい点がもうひとつあります。

■コエンザイムQ10に摂取基準はあるの?
 日本において、コエンザイムQ10の医薬品 (代謝性強心剤) としての服用上限量は1日30 mgと定められていますが、健康食品においてはビタミンのような食事摂取基準による推奨量や上限値などが設定されていません。そのため、食品として流通している健康食品の中には、海外メーカーの製品だけでなく日本製の製品でも医薬品として用いられる量を超える量のコエンザイムQ10が含まれるものがあり (4) 、適切な摂取目安量を設定するため、食品安全委員会で専門家による検討が行われましたが、現時点ではデータが不足しているため、コエンザイムQ10の安全な摂取上限量を決めることは困難という結論となっています。これを受けて厚生労働省は食品中の成分が、医薬品として用いられる量を超えないように指導するとともに、個別の製品の安全性については、事業者により適切に確保されるように注意を呼びかけています (5) 。コエンザイムQ10は、一般的に有害事象が出にくく、安全性が高いと考えられていますが、多量に摂取した場合には軽度の胃腸症状 (悪心、下痢、上腹部痛) が報告されており、すべての人で必ずしも安全なものとは言えません。

■医薬品とコエンザイムQ10の健康食品を併用しても大丈夫?
写真 既に疾病をもつ方が治療目的で健康食品を摂取されることは、望ましいことではありません。健康食品はあくまでも日常の食事の補助的なものであり、病気の治療に用いるものではありません。病気の時は医薬品を用いた治療が基本です。
現在服用中の医薬品との併用によって、新たな有害事象を生む場合もあります。国内では、コエンザイムQ10とワルファリンの併用によりワルファリンの効果が減弱してしまった症例が報告されています (6) 。その他の医薬品でも種類によっては、作用の増強や減弱が起きるおそれがありますので、医薬品と併用する場合は、必ず医療従事者のアドバイスを受けてください。

■おわりに
 安全性は、「身近である」や「利用しやすい」といった言葉に比例しません。健康食品を選択・利用する際には、「バランスのよい食事や運動」を第一に考えてください。そして、「科学的根拠の乏しい情報に振り回されない」「必要ならば最小限の利用にとどめる」「安全性や有効性の情報がよくわからない製品は利用しない」など、冷静にその情報を判断して利用してください。特に疾病治療中の方は自己判断で安易に利用せず、医療従事者に必ず相談してください。
 コエンザイムQ10の詳しい情報は、素材情報データベース「コエンザイムQ10、ユビキノン」に掲載しています。是非、参考にしてください。

参考文献
1. 医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)の食品衛生法上の取扱い(厚生労働省)
2. Melanie Johns Cupp、 Dietary Supplements: Toxicology and Clinical Pharmacology、2003、p53-85、Humana press
3. Natural Medicines
4. コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について(厚生労働省)
5. コエンザイムQ10を含む食品の取扱いについて(厚生労働省)
6. 医薬ジャーナル.2004; 40(9):134-7

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