鉄解説

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鉄解説


もくじ
鉄とは
鉄の不足と欠乏症
鉄の過剰摂取と過剰症
日本人の摂取状況と摂取の基準
鉄を多く含む食品
栄養機能食品
関連情報




■鉄とは
 は古代ギリシアで貧血治療に用いられていた形跡があるほど、古くから知られているミネラルです (1) 。赤血球の血色素(ヘモグロビン)として酸素の運搬や細胞呼吸において、また各種酵素の構成要素として重要な役割を担っており、不足すると貧血により運動機能や免疫機能の低下を招くことがあります (4) (6) 。とくに乳児や月経のある女性、妊産婦では不足が問題となりますので、十分な摂取を心がけることが大切です (6) 。
 体内の鉄には、酸素運搬機能や酵素機能を果たす「機能鉄」と、鉄の貯蔵や輸送に使用される「貯蔵鉄」があります。機能鉄は体内の鉄の約70%を占め、その大部分がヘモグロビンとして赤血球中に存在します(7)。貯蔵鉄はフェリチンやヘモシデリンとして肝臓や脾臓、骨髄などに存在、または輸送途中の血清鉄として存在しています (7) 。




■鉄の不足と欠乏症
 鉄不足は、とくに急激な成長を伴う乳児や幼児、月経血損失のある女性、鉄要求量の増加する妊婦・授乳婦で多く見られます。鉄欠乏は食事からの鉄摂取不足または吸収障害、出血などの鉄の喪失によって引き起こされ、代表的な欠乏症は鉄欠乏性貧血です。症状として、頭痛やめまい、動悸、息切れ、スプーン状爪、異食症、舌炎、嚥下障害などがみられることがあります (7) (8) 。小児では、精神運動機能の発達が障害されることがあります (7) 。貧血とは、血液中に含まれるヘモグロビンの量が減少した状態のことを言いますが、鉄欠乏が重度にならないと症状や徴候は現れないため、日頃の注意が必要です。




■鉄の過剰摂取と過剰症
 よほどの偏りがない限り、通常の食事によって鉄の過剰症を起こすことはほとんどありませんが、サプリメントや鉄分を強化した食品などを過剰に摂取すると、便秘、胃腸障害、鉄沈着、亜鉛の吸収阻害などが起こる可能性があります。また幼児では、鉄剤やサプリメントの誤飲により急性鉄中毒を起こすことがあり、この場合、重度の臓器障害や死を招くおそれがあります (1) (4) 。
 鉄は過剰摂取によって健康障害を生じることがあるため、食事摂取基準でも耐容上限量が決められています (6) 。


▲もくじ


■日本人の摂取状況と摂取基準
 2019 (令和元) 年の国民健康・栄養調査では、男性は平均8.0 mg/日、女性は平均7.3 mg/日摂取していました (5) 。各年齢別の鉄の食事摂取基準 (『日本人の食事摂取基準 2020 年版』) は以下の通りです (6) 。

<鉄の食事摂取基準 (mg/日) >

性別男性女性
年齢等 推奨量
(RDA)
目安量
(AI)
耐容
上限量
(UL)
推奨量(RDA)目安量
(AI)
耐容
上限量
(RDA)
月経なし月経あり
0〜5 (月)-0.5---0.5-
6〜11 (月)5.0--4.5---
1〜2 (歳)4.5-254.5--20
3〜5 (歳)5.5-255.5--25
6〜7 (歳)5.5-305.5--30
8〜9 (歳)7.0-357.5--35
10〜11 (歳)8.5-358.512.0-35
12〜14 (歳)10.0-408.512.0-40
15〜17 (歳)10.0-507.010.5-40
18〜29 (歳)7.5-506.510.5-40
30〜49 (歳)7.5-506.510.5-40
50〜64 (歳)7.5-506.511.0-40
65〜74 (歳)7.5-506.0--40
75以上 (歳)7.0-506.0--40
妊婦(付加量)
初期
中期・後期

+2.5
+9.5

-
-

-
-

-
-
授乳婦 (付加量)+2.5---


推奨量 (RDA,recommended dietary allowance)
 ある性・年齢階級に属する人々のほとんど (97〜98%) が1日の必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
目安量 (AI,adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
耐容上限量 (UL,tolerable upper intake level)
 ある性・年齢階級に属するほとんど全ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。


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■鉄を多く含む食品
 鉄は肉類や魚介類、豆類や藻類、葉野菜などに多く含まれています (2) 。主な食品の鉄含有量は以下の通りです。



植物性食品

食品名1食あたり
の重量(g)
鉄(mg)
 1食あたり 100gあたり
 がんもどき1003.6 3.6 
 ピュアココア182.5 14.0 
 豆乳2002.4 1.2 
 生揚げ752.0 2.6 
 小松菜 (ゆで)801.7 2.1 
 そば (ゆで)2001.6 0.8 
 だいこん葉 (ゆで) 501.1 2.2 
 ほうれん草 (ゆで)800.7 0.9 
 カシューナッツ(フライ味付け)150.7 4.8 
 さつまいも (蒸し)1000.6 0.6 
 アーモンド(フライ味付け)150.5 3.5 
 ひじき(ステンレス釜ゆで)600.2 0.3 
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)

動物性食品

食品名1食あたり
の重量(g)
鉄(mg)
 1食あたり 100gあたり
 あさり(缶詰、水煮)4012.0 30.0 
 豚レバー405.2 13.0 
 しじみ 504.2 8.3 
 鶏レバー403.6 9.0 
 コンビーフ1003.5 3.5 
 牛肉 (もも、赤肉)802.2 2.7 
 さんま (焼き) 1001.7 1.7 
 牛ひき肉(焼き)501.7 3.4 
 牛レバー401.6 4.0 
 かつお (生)801.5 1.9 
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)


 食品中の鉄には、たんぱく質と結合したヘム鉄と、無機鉄の非ヘム鉄があり、ヘム鉄は動物性食品に、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれています。日本人は主に植物性食品から鉄を摂っており、非ヘム鉄の摂取量が多いと考えられますが、その吸収率はヘム鉄に比べて低いことが知られています (6) 。また、食事中の鉄の吸収率は、体内の鉄の充足状況や、食事中に含まれる他の成分などにも影響されます。動物性タンパク質やビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進し、フィチン酸、ポリフェノール、繊維質の食品、全粒穀物、茶などは非ヘム鉄の吸収を阻害します (1) (4) (6) (7) (8) 。


▲もくじ


■栄養機能食品
 鉄は基準値を満たした場合に栄養機能食品として表示許可することができます。
・下限値:2.04 mg、上限値:10 mg
・栄養機能表示
「鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。」
・注意喚起表示
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」
 栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。


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■関連情報
・鉄の有効性と安全性について、個々の研究結果は「素材情報データベース【鉄】」をご覧ください。

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ミネラルについての解説:一覧
ビタミンについての解説:一覧

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参考文献
1. ミネラルの事典:朝倉書店
2. 日本食品標準成分表 2020年版 (八訂)
4. 最新栄養学 第10版 -専門領域の最新情報-:健帛社
5. 令和元年 国民健康・栄養調査報告
6. 日本人の食事摂取基準 2020年版
7. ロス 医療 栄養科学大事典:西村書店
8. メルク マニュアル 第18版:日経BP社


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<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


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