プエラリア・ミリフィカについて (Ver.20200601)

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プエラリア・ミリフィカについて



もくじ(リーフレット版はこちら
はじめに
プエラリアってきくの?
プエラリアは安全なの?
からだの悩みがあるときは
まとめ

▼もっと詳しく知りたい方はこちら
プエラリアとはどんなもの?
女性ホルモンのエストロゲンとはどんなもの?
プエラリアに含まれる植物性エストロゲンとはどんなもの?
指定成分等って?
アドバイザリースタッフとは?




 はじめに

 最近、「プエラリアミリフィカ」や「ガウクルア」という健康食品が、バストアップ、スタイルアップ、ダイエット、肌に張りを与える、更年期障害をやわらげる、アンチエイジングや妊活サポートなどさまざまな効果を宣伝して販売されています。女性のみならず、男性にも利用されているようですが、薬局などの店舗やインターネットで見かけたことはありますか?
 これらの商品にはプエラリア・ミリフィカという植物 (以下プエラリア) の成分が入っていて、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすることが期待されているようです。しかし、商品の使用による健康被害の報告もあり、食品衛生法が改正され、「指定成分等」に指定されました。
 そこで、主にプエラリアの効果・安全性・注意点について今わかっていることをお知らせします。



 プエラリアってきくの?

 プエラリアには、植物性エストロゲンという体内で女性ホルモンに似た働きをする成分が含まれていますが、私たちがプエラリアを摂ったときに望ましい効果があるのかどうかは、今のところわかっていません。プエラリアの効果を調べた研究を探してみたところ、閉経後女性を対象とした3つの報告が見つかりましたが、血液の中の脂質やホルモン量に対し、はっきりとした効果は認められていません (1) (2) (3) 。
 また、多くの健康食品でうたわれているバストアップ、美肌、アンチエイジング、不妊の改善などについての研究は一つも見当たりませんでした。



 プエラリアは安全なの?

 全国の消費者センターや国民生活センターには、プエラリアが入った商品を使った人の被害情報が2012年〜2017年の5年間で209件寄せられ、腹痛やおう吐、下痢などの消化器症状、発疹やじんましん、生理不順や不正出血などが報告されました(国民生活センター発表情報) 。これを受け、厚生労働省消費者庁日本医師会では、健康なひとでも安易に商品を使うことは控えるように、特に妊娠・授乳中、初経前、服薬中、基礎疾患がある方は使用しないように、注意をうながしています。
 プエラリアを更年期や無月経の女性に摂ってもらった試験では、試験を受けた一部の女性に副作用と思われる貧血、肝臓の働きを表す値の変化、胸の張り、乳房の痛み、膣からの分泌物や出血、頭痛、吐き気、おう吐がみられたことが報告されています (4) (5)。
 プエラリアを摂ったときに安全かどうかは、プエラリアに含まれる植物性エストロゲンの量や種類によって違います。しかし、ほとんどの商品では、プエラリアの量は書かれていても植物性エストロゲンがどれだけ含まれているのかまではわかりません (厚生労働省調査結果) 。また、植物性エストロゲンに対する反応はひとりひとり違うので、体質によってプエラリアの影響が強く現れてしまう人もいます。



 からだの悩みがあるときは

 体内ではエストロゲンとプロゲステロンという二つの女性ホルモンバランスによって性周期がつくられていますので、プエラリアを摂りさえすれば理想的なバランスが保てるとは限りません。

● 更年期障害や月経に関する悩みがある場合
 プエラリア商品を試してみる前に、お近くの婦人科または産婦人科を受診されることをおすすめします。

● どうしてもプエラリア商品を利用したい場合
 医師、薬剤師、管理栄養士や、健康食品・サプリメントのアドバイザリースタッフ (「もっと詳しく」を参照) など専門的な知識を持った方に、どのような製品を、どのように使えば良いのかをご相談ください。

● プエラリア商品を利用していて体調の異常を感じた場合
 すぐに利用をやめて、お近くの婦人科または産婦人科、もしくは症状に適した診療科を受診してください。その際には、必ず、プエラリア商品を利用していたことをお伝えください。病院へ行くほどの体調不良ではない場合は、お近くの保健所へ相談してください。体調不良を感じた時の対応方法については、こちらのページもご覧ください。


まとめ

 プエラリア・ミリフィカを含む商品が、一般的に女性が喜ぶようなイメージを宣伝して販売されています。宣伝広告などをみると、一部の方でききめを感じたという体験談が書かれていますが、その一方で、摂取した人が体調不良を感じたという報告があり、「指定成分等」に指定されています。期待をしすぎて簡単に利用するのでなく、本当にプエラリアが自分の体にとって必要かどうかを冷静に判断しましょう。特に妊娠中・授乳中・小児・病者においては影響を受けやすいため利用は避けましょう。体調に不安がある場合には、商品を試してみる前にまずはお近くの婦人科または産婦人科を受診し、どうしても利用したいときは医師や薬剤師、管理栄養士、アドバイザリースタッフなどに相談した上で利用しましょう。



■有効性と安全性に関する研究情報をまとめている「素材情報データベース」もあわせてご覧ください。
プエラリア・ミリフィカ
赤ガウクルア
クズ
イソフラボン
ダイズ

■その他のコラム、研究報告はこちら

■「健康食品」の安全性・有効性情報のトップページ



▼もっと詳しく知りたい方はこちら

 プエラリアとはどんなもの

 プエラリア・ミリフィカ (学名Pueraria mirifica、以下プエラリア) は、タイ北部に自生するマメ科の植物で、根が大きな塊状になるのが特徴です。
 タイでは白ガウクルア (一般名White kwao keur) と呼ばれ、その塊根は若返りの薬として知られ、食用にもされていたようです。また、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た物質が多く含まれていることが知られています。古くは、赤ガウクルア(学名Butea superba)と呼ばれる植物と混同されていましたが、現在では違う植物として区別されています。
 日本でよく知られている葛 (クズ、学名Pueraria lobata) の近縁種ですが、含まれる特徴的な成分が違いますので、プエラリアとクズは全く違う植物と考えるべきです。


 女性ホルモンのエストロゲンとはどんなもの?

 女性ホルモンには、大きく分けてエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。これらは主に卵巣から作り出され、お互いにバランスをとりあい助け合いながら働いています。私たちの体内のエストロゲンとしては、エストロン、エストラジオール、エストリオールが知られています。エストロゲンは、その受容体に結合することで子宮、乳房の発育や第二次性徴といった「女性化作用」を引き起こします。そのほか、脂質代謝や骨密度と密接な関係にあります。そのため、エストロゲンが急激に減っていく更年期以降は、コレステロールの上昇や骨量の低下など、様々なからだの変化が出てきます。そうしたエストロゲン減少と関連した症状の治療にはホルモン療法がおこなわれますが、医薬品であるエストロゲン製剤の添付文書には、「外国においてエストロゲン製剤とプロゲステロン製剤を長期併用した女性では乳がんになる危険性が高くなるとの報告があるので、必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わないこと。」とあり、その投与には医師の厳しい管理が必要です。


 プエラリアに含まれる植物性エストロゲンとはどんなもの?

 植物中には、私たちの体内にあるエストロゲンとよく似た構造と性質をもつ物質が多く見いだされており、ヒトの体内で、エストロゲン受容体に結合することでホルモンのようなはたらきをします。これらはまとめて植物性エストロゲンと呼ばれ、大豆に含まれるイソフラボン類が有名です。
 プエラリアにはミロエストロール、デオキシミロエストロール、プエラリン、ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン、ゲニスチンといった多くの植物性エストロゲンが含まれています (6) (7) (8) 。このうちダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン、ゲニスチンは大豆にも含まれることで知られています。
 このうち、ミロエストロールや、ミロエストロールになる前の段階の成分であるデオキシミロエストロールは、イソフラボンと比較して非常に強いエストロゲン活性を示します。エストロゲン受容体に結合する力はイソフラボン類に含まれるゲニステインという成分のそれぞれ約4倍および20倍、また17β-エストラジオール (体内の主なエストロゲン) と同じくらいのエストロゲン活性を示したという報告があります (9) 。プエラリアに含まれるミロエストロールやデオキシミロエストロールの量はイソフラボン類より少ない (7) とも言われていますが、はたらきがとても強いため、充分なエストロゲン作用を示す可能性があります。
 また、プエラリアには、他にもspinasterol (8) やkwakhurin (10) という植物性エストロゲンが見いだされていますが、含有量やその活性の強さなどは明らかになっていません。

 指定成分等って?

 プエラリアを含む健康食品を利用した事により健康被害が多発したことをきっかけに、2020年6月に改正食品衛生法が施行され、健康食品の素材の中でも、作用が強く健康被害が生じやすいものを「指定成分等」として管理することになりました。
 プエラリアも指定成分等の一つとして管理されています。そのため、プエラリアの商品を利用する方は自身の体調変化には十分気を付けて、体調不良を感じた場合には、すぐに保健所に連絡し、必ず販売元(表示責任者)にも連絡してください。販売元(表示責任者)がわからない場合は、購入した店舗に連絡するようにしてください。詳しくは、こちらのページをご覧ください。

 アドバイザリースタッフとは?

 アドバイザリースタッフとは、健康食品やサプリメントについての正しい知識を持ち、身近で気軽に相談を受けてくれる、民間の資格をもった言わば健康食品の専門家です。主な資格として、NR・サプリメントアドバイザー(一般社団法人日本臨床栄養協会)、食品保健指導士(公益財団法人日本健康・栄養食品協会)、健康食品管理士(一般社団法人日本食品安全協会)などがあります。アドバイザリースタッフの中には、講演会などを通じて、健康食品の適切な利用や、利用による健康被害の防止のための活動をしている方もいます。
 身近なところでは、薬局や薬店、病院などで活躍している人も多いので、プエラリア・ミリフィカにかぎらず、健康食品を購入・利用する際には、是非、アドバイザリースタッフに相談しましょう。




参考文献
1. (PMID:17415017) Menopause. 2007 Sep-Oct;14(5):919-24.
2. (PMID:18202589) Menopause. 2008 May-Jun;15(3):530-5.
3. (PMID:19060449) Tohoku J Exp Med. 2008 Dec;216(4):341-51.
4. (PMID:14971532) J Med Assoc Thai. 2004 Jan;87(1):33-40.
5. (PMID:13689829) Nature. 1960 Dec 3;188:774-7.
6. (PMID:10985090) Planta Med. 2000 Aug;66(6):572-5.
7. (PMID:10691701) J Nat Prod. 2000 Feb;63(2):173-5.
8. (PMID:15886524) Exp Mol Med. 2005 Apr 30;37(2):111-20.
9. (PMID:15876408) J Steroid Biochem Mol Biol. 2005 Apr;94(5):431-43.
10. (PMID:15703807) Org Biomol Chem. 2005 Feb 21;3(4):674-81.
・医学大辞典 19版 南山堂
・ギャノング生理学 原書25版 丸善出版
・産婦人科診療ガイドライン−婦人科外来編2017 公益社団法人 日本産科婦人科学会、公益社団法人 日本産婦人科医会



<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


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