亜鉛解説

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亜鉛解説


A.亜鉛とは?
 亜鉛は、古くから真鍮の中に含まれ使用されてきた金属元素で、ヒトの健康と栄養維持に重要な必須微量元素のひとつです。多くの酵素に含まれ、遺伝子発現、たんぱく質合成など、細胞の成長と分化に中心的役割を果たしています。不足により、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こることが知られ、近年日本では、若年成人女性において味覚機能の低下と低亜鉛状態との関連が報告されています (3) 。亜鉛は、すべての細胞に存在しているため、肉・魚介・種実・穀類など多くの食品に含まれています (4) 。

B.亜鉛の供給源になる食品
主な食品の亜鉛含有量は以下の通りです (4) 。

植物性食品

食品名1食あたり
の重量(g)
亜鉛(mg)
 1食あたり 100gあたり
 がんもどき1001.61.6
 マカロニ・スパゲッティ(乾) 1001.51.5
 発芽玄米めし 1501.40.9
 ピュアココア 181.37.0
 玄米めし1501.20.8
 そらまめ (ゆで) 601.11.9
 スイートコーン(電子レンジ) 1001.11.1
 そば(ゆで) 2000.80.4
 カシューナッツ(フライ味付け) 150.85.4
 アーモンド(フライ味付け)150.53.1
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)


動物性食品

食品名1食あたり
の重量(g)
亜鉛(mg)
 1食あたり 100gあたり
 かき(生) 608.414.0
 輸入牛リブロース(焼き)1006.36.3
 牛ヒレ(焼き)1006.06.0
 輸入牛もも(焼き)805.36.6
 牛ひき肉(焼き)503.87.6
 ラムもも(焼き)803.64.5
 若鶏もも 皮付き(焼き)1002.52.5
 牛タン(焼き)502.34.6
 うなぎ(かば焼き)802.22.7
 豚ロース 脂身付き(焼き)801.82.2
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)



C.亜鉛の特性 (単位・化学的安定性)
 亜鉛は元素記号Zn、原子番号30、原子量65.38の金属です。湿った空気中では灰白色の被膜を生じます。水には溶けませんが、希酸・アルカリ水溶液には溶けます (8) 。



D.亜鉛の吸収や働き
 食品から摂取した亜鉛は、消化によって生じるアミノ酸、有機酸、リン酸などと複合体を形成して小腸 (主に十二指腸や空腸) から吸収され (3) 、アルブミンと結合し、門脈を経由して肝臓に運ばれます。小腸での吸収率は約30%といわれていますが、摂取量や同時に摂取した鉄や銅の量と互いに影響し合って変化します (1) 。
 亜鉛は体内に約2,000 mg存在し、歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれます (1) 。そのほとんどはたんぱく質などの高分子と結合して存在し、体内の種々の生理機能に重要な役割を果たしています (1) 。その働きとして、200種以上の酵素の構成 (5) 、酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調節、DNA合成、たんぱく質合成、免疫反応の調節などがあげられます (1) (3) (5) (6) 。



E.亜鉛不足の問題
亜鉛不足はどのようにして起こるの?
 亜鉛の不足は、食事からの摂取不足、需要の増加、排泄の促進により起こります。また、亜鉛が添加されていない高カロリー輸液施行時や、経腸栄養施行時などにも不足することがあります (1) 。その他、亜鉛と錯体を形成する薬剤の服用によっても、亜鉛不足が起こることが報告されています (1) 。



亜鉛が不足すると、どのような症状が起こるの?
 亜鉛が不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こることが知られていますが、その詳しいメカニズムは分かっていません。小児で不足すると、成長障害、性腺発育障害がみられます (1) (3) 。この他、免疫機能低下、皮疹、創傷治癒障害、慢性下痢、貧血、催奇形性、精神障害などが起こる可能性があります (1) (3) (6) 。



F.亜鉛過剰摂取のリスク
 亜鉛は毒性が極めて低いとされているため、通常の食生活では亜鉛の過剰症が問題となることは、あまりありませんが (1) 、急性亜鉛中毒では胃障害、めまい、吐き気がみられます (6) 。継続的に過剰摂取すると、銅や鉄の吸収阻害による銅欠乏や鉄欠乏が問題となり、それに伴う貧血、免疫障害、神経症状、下痢、HDLコレステロールの低下などが起こるおそれがあります (1) (5) (6) 。



G.亜鉛はどのぐらい摂取すればよいの?
 各年齢別の亜鉛の食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (1) 。


<亜鉛の食事摂取基準 (mg/日) >

性別男性女性
年齢等 推奨量
(RDA)
目安量
(AI)
耐容
上限量
(UL)
推奨量
(RDA)
目安量
(AI)
耐容
上限量
(UL)
0〜5 (月)-2--2-
6〜11 (月)-3--3-
1〜2 (歳)3--3--
3〜5 (歳)4--3--
6〜7 (歳)5--4--
8〜9 (歳)6--5--
10〜11 (歳)7--6--
12〜14 (歳)10--8--
15〜17 (歳)12--8--
18〜29 (歳)11-408-35
30〜49 (歳)11-458-35
50〜64 (歳)11-458-35
65〜74 (歳)11-408-35
75以上 (歳)10-408-30
妊婦(付加量)+2--
授乳婦 (付加量)+4--


推奨量 (RDA,recommended dietary allowance)
 ある性・年齢階級に属する人々のほとんど (97〜98%) が1日の必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
目安量 (AI,adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
耐容上限量 (UL,tolerable upper intake level)
 ある性・年齢階級に属するほとんど全ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。


H.亜鉛摂取状況
 2019 (令和元) 年の国民健康・栄養調査では、男性は平均9.2 mg/日、女性は平均7.7 mg/日摂取しています (2) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
 亜鉛は基準値を満たした場合に栄養機能食品として表示することができます。
・下限値:2.64 mg、上限値:15 mg
・栄養機能表示
「亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。」
「亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
「亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。」
・注意喚起
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。亜鉛の摂りすぎは、銅の吸収を阻害するおそれがありますので、過剰摂取にならないよう注意してください。1日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。」
 栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。



■関連情報
・亜鉛の有効性と安全性について、個々の研究結果は「素材情報データベース【亜鉛】」をご覧ください。

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ミネラルについての解説:一覧
ビタミンについての解説:一覧

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<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


参考文献

(1) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(2) 令和元年 国民健康・栄養調査報告
(3) ミネラルの辞典:朝倉書店
(4) 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
(5) 健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック:第一出版
(6) 専門領域の最新情報 最新栄養学 第8版:建帛社
(7) 厚生労働省通知 食安新発第0701002号
(8) 理化学辞典 第5版:岩波書店

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