リン解説

画面を閉じる

 

 

発信者

多量

本文


トップページミネラルについての解説 > 現在のページ

リン解説


A.リンとは?
 リンは錬金術の実験中に発見された元素で、青白く光る燐光から名付けられました (3) 。リンはすべての生物に必須のミネラルで、エネルギー代謝や脂質代謝などにおいて重要な役割を担っています。また、カルシウムとともに骨格を形成する働きもあります (1) 。

B.リンの供給源になる食品
 主な食品のリン含有量は以下の通りです (4) 。(可食部100 gあたり)




C.リンの特性 (単位・化学的安定性)
 リンは元素記号P、原子番号15、原子量30.97の非金属です。天然ではリン酸塩の形で産出され、生物体中では複雑な有機化合物として存在します (8) 。

D.リンの吸収や働き
 生体内のリンは約80%がカルシウム塩として存在し、骨や歯の成分となっています。その他のリンは、生体膜のリン脂質、DNAやRNAといった核酸の成分、また、ATPなど高エネルギーリン酸化合物として、エネルギー代謝や脂質代謝などに重要な役割を担っています (3) (5) (6) 。リンは小腸で吸収されますが、吸収、代謝については十分には明らかにされていません (1) 。成人におけるリンの吸収効率は60〜70%です (6) 。ヒトの血清中のリン濃度の正常範囲は0.8〜1.6 mmol/Lで、食事からのリン摂取量が、血清リン濃度と尿リン排泄量に反映されます (1) 。その際、副甲状腺ホルモンの分泌の割合によって調節され、血清リン濃度は正常範囲内に維持されます (6) 。血液中のリン酸塩は、血液のpHの維持や酸塩基の平衡維持に関わっています (6) 。

E.リン不足の問題
リン不足はどのようにして起こるの?
 リンは、日常摂取する食品に多く含まれているので、通常の食生活で不足することはほとんどありません。

リンが不足すると、どのような症状が起こるの?
 長期間、制酸薬 (胃薬) である水酸化アルミニウムを服用すると、リンの吸収が妨げられて胃吸収が起こり、衰弱、食欲不振、倦怠感などの症状が起こることが知られています (3) 。

F.リン過剰摂取のリスク
 長期にわたってリンを過剰摂取すると、腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、カルシウムの吸収抑制などが起こることが知られています (3) (6) 。リンはカルシウム代謝と関係が深く、カルシウムとリンの摂取比は1〜2が理想的とされますが、加工食品の利用が多くなった今日の日本では、摂取比が3になることが多いとされています (3) 。

G.リンはどのぐらい摂取すればよいの?
 各年齢別のリンの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (1) 。


<リンの食事摂取基準 (mg/日) >

性別男性女性
年齢等 目安量 
(AI)
耐容上限量
(UL)
 目安量 
(AI)
耐容上限量
(UL)
0〜5 (月)120-120-
6〜11 (月)260-260-
1〜2 (歳)500-500-
3〜5 (歳)700-700-
6〜7 (歳)900-800-
8〜9 (歳)1,000-1,000-
10〜11 (歳)1,100-1,000-
12〜14 (歳)1,200-1,000-
15〜17 (歳)1,200-900-
18〜29 (歳)1,0003,0008003,000
30〜49 (歳)1,0003,0008003,000
50〜64 (歳)1,0003,0008003,000
65〜74 (歳)1,0003,0008003,000
75以上 (歳)1,0003,0008003,000
妊婦800-
授乳婦800-


目安量 (AI,adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
耐容上限量 (UL,tolerable upper intake level)
 ある性・年齢階級に属するほとんど全ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。


H.リン摂取状況
 2018 (平成30) 年の国民健康・栄養調査では、男性は平均1,062 mg/日、女性は平均930 mg/日摂取しています (2) 。ただし、この調査では加工食品に添加されているリンの量は加算されていないため、実際のリン摂取量はこれより多いと予想されています (1) 。

■有効性と安全性に関する研究情報をまとめている「素材情報データベース」や関連情報もあわせてご覧ください。
・素材情報データベース
 リン
 カルシウム
 ダイズ
 コーヒー
 シイタケ
 強力粉 (コムギ)
・その他のミネラルの解説はこちら (カルシウムなど)
・ビタミンの解説はこちら

■「健康食品」の安全性・有効性情報のトップページはこちら



<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


参考文献

(1) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(2) 平成30年 国民健康・栄養調査報告
(3) ミネラルの辞典:朝倉書店
(4) 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
(5) 健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック:第一出版
(6) 専門領域の最新情報 最新栄養学 第8版:建帛社
(7) 厚生労働省通知 食安新発第0701002号
(8) 理化学辞典 第5版:岩波書店

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.