健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

アスタキサンチン [英]Astaxanthin [学名]-

概要

アスタキサンチンは、カロテノイドの一種で、主にエビ・カニなど甲殻類、サケ・マスの身、タイ・コイの表皮などに含まれる天然色素の一種である。エビなどの食品中では、一般的にタンパク質と結合しているため、必ずしも赤色を呈しているとは限らないが、70℃以上に加熱すると、タンパク質が変性してアスタキサンチンが遊離するため、赤色を呈するようになる。


●有効性
俗に、「悪玉コレステロール (LDL) の酸化を抑制する」「動脈硬化を改善する」「糖尿病を予防する」などと言われているが、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。


●安全性
通常の食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全であり、適切に摂取する場合は、安全性が示唆されている。妊婦・授乳婦は、通常の食品に含まれる量を超えた使用を避けること。


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法規・制度

■食薬区分
・アスタキサンチン ヘマトコッカス藻の主成:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

■食品添加物
・既存添加物
 ヘマトコッカス藻色素、ファフィア色素:着色料

■海外情報
・米国では、GRASに該当する。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・C40H52O4、分子量 (MW) 596.85。融点215〜216℃。カニ、エビなどの甲殻類に見出されるカロテノイドのひとつ。遊離の状態あるいはエステルとして存在するほか、タンパク質と結合して種々の色素タンパク質として存在する。これら色素タンパク質はかなり不安定で、加熱、有機溶媒の作用によって容易に分解して赤色に変化する。

分析法

・アスタキサンチンをLC-TurboISP-MS法により分析した報告がある (PMID:10497943)
・アスタキサンチンおよびアスタキサンチンエステルをnegative ion LC- (APCI) MS法により分析した報告がある (PMID:15186109)

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2014年11月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報について検討したメタ分析において、アスタキサンチンの摂取は、血中脂質 (TC、HDL-C、TG (各7報) 、LDL-C (6報)) および血糖値 (3報) との関連は認められなかった (PMID:25995739)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

<眼>
RCT:国内
・コンピュータ作業者26名 (試験群13名、平均47.6±4.5歳、日本) への二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アスタキサンチン5 mg/日、4週間摂取させたところ、疲れ目と視調節力の改善がみられた (2003196346) 。
・健康な被験者49名 (試験群39名、平均45.1±6.6歳、日本) への無作為化単盲検比較試験において、アスタキサンチン2 mg、4 mg、または12mg/日を摂取させたところ、アスタキサンチン4 mg、または12 mg/日摂取群では、裸眼視力の改善と調節緊張時間の短縮がみられた (2004283787) 。
・眼精疲労を訴える健康な成人30名 (試験群20名、23〜49歳、日本) 、または40名 (試験群20名、32.4±6.4歳、日本) 、59名 (試験群31名、37.1±5.8歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンを6〜12 mg/日、4週間摂取させたところ、6 mg/日以上摂取すると、眼精疲労度検査における調節機能の向上および自覚症状の改善が認められた (2005196382) (2005262889) (2006128637) 。
・健康な女性10名 (18〜21歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ対照試験において、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン6 mg/日を14日間摂取させたところ、視作業負荷による調節機能低下と疲労の自覚症状の抑制が認められた (2006231858) 。
・健康な成人36名 (試験群18名、平均40.6±11.0歳、日本) を対象とした二重盲検プラセボ対照試験において、アスタキサンチンを6 mg/日、4週間摂取させたところ、網膜毛細血管血流量の増加が認められた (2005196381) 。

<その他>

RCT:国内
・健康な中高年96名 (45〜64歳、試験群64名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン6 mg/日または12 mg/日を12週間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:22962526)
・健康な成人54名 (試験群25名、平均45.8±10.5歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、パラコッカス菌由来アスタキサンチン抽出物ゼリー30 g×2回/日 (1%アスタキサンチン粉末1200 mg/日含有) を8週間摂取させたところ、気分の評価 (POMS2) に影響は認められなかった (PMID:32231404)
・もの忘れを自覚する健康な成人34名 (試験群16名、平均54.2±6.8歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、朝食前または朝食後にヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンを9 mg/日、12週間摂取させたところ、総合記憶力の改善が認められた (2020205657) 。
RCT:海外
・手根管症候群の患者63名 (試験群32名、平均49歳、カナダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、添え木による固定とともに、アスタキサンチン4 mg/日を9週間摂取させたところ、症状の改善に影響は認められなかった (PMID:23449748)

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

RCT:国内
・紫外線感受性が中程度または高度の健康な成人22名 (試験群11名、平均43.2±6.6歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン4 mg/日を9週間摂取させたところ、最小紅斑量の増加が認められた (PMID:29941810)
・肌のくすみや衰えが気になる健康な成人女性20名 (試験群10名、平均41.1±5.0歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アスタキサンチン3 mg/日を8週間摂取させたところ、皮膚水分量の増加、皮膚水分蒸散量の抑制、紅斑、皮膚粘弾性R7、顔面画像解析8項目中1項目 (キメ) で改善が認められた。一方、色差、メラニン、皮膚粘弾性R2、キメレプリカ解析によるキメに影響は認められなかった (2017062245) 。
・健康な成人男性36 名 (20〜60 歳、試験群18 名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アスタキサンチン6 mg/日を6週間摂取させたところ、シワ (シワ総面積、シワ総体積) の改善、皮膚弾力性の増加、皮膚水分蒸散量の抑制が認められた。一方、頬の皮膚水分量、皮脂に影響は認められなかった (PMID:22428137)
RCT:海外
・自転車競技選手31名 (試験群16名、平均24.5±3.9歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アスタキサンチン20 mg/日を4週間摂取させたところ、60分間自転車運動による血清心筋トロポニンT、クレアチンキナーゼ、高感度CRPの変化に影響は認められなかった (PMID:24260184)
・自転車競技選手31名 (試験群16名、平均24.5±1.0歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アスタキサンチン20 mg/日を4週間摂取させたところ、60分間自転車運動によるエネルギー消費量、血漿抗酸化能、脂質燃焼率、運動パフォーマンスに影響は認められなかった (PMID:23274592)





試験管内・
動物他での
評価

-



安全性

危険情報

<一般>
・欧州食品安全機関 (EFSA) はアスタキサンチンの安全性を再評価し (2019.12) 、ADI (一日摂取許容量) をこれまでの0.034 mg/kg体重から0.2 mg/kg体重へと修正した。それに伴い、通常の食事からの摂取量を考慮し、サプリメントからの安全な最大摂取量を8 mg/日とした (112) 。
<小児>
・欧州食品安全機関 (EFSA) は、通常の食事から摂取するアスタキサンチンに加え、小児がサプリメントとして8 mg/日を摂取した場合、各年代のADIに対して14〜18歳でほぼ一致、10〜14歳で28%、3〜10歳で123%、1〜3歳で309%、6〜12ヶ月齢で381%、4〜6ヶ月齢で524%超過するとして注意喚起している (112) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト症例>
・半身麻痺、構音障害、高血圧のためワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4基質) 3 mg/日、アテノロール (β遮断薬) 12.5 mg/日、ジゴキシン (強心薬:P糖タンパク質基質) 0.0625 mg/日、アスピリン (解熱鎮痛薬) (抗血小板薬) 81 mg/日、オメプラゾール (消化性潰瘍治療薬:CYP2C19、CYP3A4基質) 20 mg/日、シンバスタチン (脂質異常症治療薬:CYP3A4、OATP1B1基質) 40 mg/日を服用していた69 歳女性 (タイ) が、ヘマトコッカス由来アスタキサンチン 8 mg×2回/日を摂取したところ、翌日から右そけい部、太腿、右腕に斑状出血が出現、INR上昇、APTTが延長し、アスタキサンチンの摂取中止と加療により改善した (PMID:31073352)
<動物・試験管内>
・動物実験 (ラット) において、アスタキサンチンの摂取は、肝臓のCYP1A1の発現および活性を誘導し、肝ミクロソームにおけるNADPH P450還元酵素活性を阻害した (PMID:21414371)
・ex vivo試験 (ラット) において、アスタキサンチンの16日間摂取は、GST活性 (肝臓、肺、腎臓、小腸) に影響を及ぼさず、CYP1A1 (肝臓、肺、腎臓) 、CYP1A2 (肝臓、肺、腎臓) 、CYP2B1/2 (肝臓) 活性を増強させた (PMID:10434850)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、アスタキサンチンはCYP2C19活性をわずかに阻害したが、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5に影響は与えなかった (PMID:23669408)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム、ヒト酵素) において、β-クリプトキサンチン、ルテイン、カンタキサンチンはUDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) 活性をわずかに阻害したが、アスタキサンチン、ゼアキサンチンとの関連は認められなかった (PMID:27529203)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、アスタキサンチンはCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4活性に影響を及ぼさなかった (2015236210) 。
・in vitro試験 (ヒト肝細胞) において、アスタキサンチンはCYP1A2、CYP2B6、CYP3A4の遺伝子発現に影響を及ぼさなかった (2015236210) 。
・in vitro試験 (ヒト肝細胞) において、アスタキサンチンはCYP1A2、CYP2C9遺伝子およびタンパク質発現、CYP2B6タンパク質発現には影響を及ぼさなかったが、CYP2B6遺伝子発現、CYP3A4遺伝子およびタンパク質発現を誘導した (PMID:11876499)

動物他での
毒性試験

・雌雄のSD系ラットにおいて、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン100 mg/kgの単回投与、50 mg/kg/日の90日間反復投与では毒性変化は認められなかった (2005017171) 。
・雌雄のF344系ラットにおいて、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンを最大0.25%まで13週間混餌投与したところ、0.25%混餌投与群では血中脂質 (TC) にわずかな上昇が認められたが、0.075 mg/kg混餌投与群まででは一般所見、体重、摂餌量、尿検査、血液生化学および病理学的検査に影響は認められなかった (PMID:10859939)
・動物実験 (ラット) において、アスタキサンチンの200 mg/kg体重/日または1,000 mg/kg体重/日の経口投与は、雌でのみ肝毒性、肝細胞腺腫の増加が認められた (PMID:26713891)

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・通常の食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全である。適切に摂取する場合は、安全性が示唆されている。
・サプリメントとしての摂取や外用の場合の安全性については信頼できるデータが十分にないので、妊婦・授乳婦は通常の食品に含まれる量を超えた使用を避けること。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。

参考文献

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