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骨・筋肉
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<関節炎>
・コンドロイチン硫酸の摂取と変形性関節症との関連についての報告があるが、現時点ではポジティブな (有効性があるとする) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。個々の情報は以下の通り。
≪変形性関節症との関連が示唆されたという報告≫
一般情報
・1980年代から2001年までの多くの研究においては、鎮痛薬や非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs) との併用で、臀部や膝の変形性関節症の患者において痛みを軽減したという報告がある (94) が、これらの多くは試験の質が不十分である (94) 。
・膝変形性関節症患者において、コンドロイチン硫酸と塩酸グルコサミン、アスコルビン酸マンガンの併用製品が、客観および主観的な痛みの指標を改善した (94) (PMID:10050562) (PMID:10966840) 。
メタ分析
・1996年1月-2007年10月を対象に、1つのデータベース (Medline) で検索できた二重盲検無作為化比較試験4報について検討したメタ分析において、膝骨関節炎患者に対するコンドロイチン硫酸の投与は、関節腔の減少を抑制した (PMID:18826751) 。
・2008年6月までを対象に、2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験4報について検討したメタ分析において、変形性関節症の患者によるコンドロイチン硫酸の摂取 (1〜3年間) は、関節腔の狭小化 (JSN) をわずかに抑えた (PMID:19544061) 。
RCT
・変形性膝関節症患者622名 (試験群309名、平均62.9±0.5歳、フランス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、コンドロイチン硫酸800 mg/日を2年間摂取させたところ、脛骨大腿関節腔幅 (JSW) の減少の抑制、痛みの減少 (VAS、WOMAC) が認められた (PMID:19180484) 。
≪変形性関節症への影響は限定的であったという報告≫
メタ分析
・2018年11月までを対象に2つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ対照試験17報について検討したメタ分析において、コンドロイチン硫酸の摂取は、痛み軽減 (16報) との関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった。一方、関節腔の変化 (6報) 、軟骨量 (2報) との関連は認められなかった (PMID:30859538) 。
RCT
・変形性関節症患者40名 (試験群20名、平均55.1±10.9歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、塩酸グルコサミン1,200 mg/日+コンドロイチン硫酸60 mg/日+ケルセチングリコシド45 mg/日を16週間摂取させたところ、症状評価の4項目中2項目と総得点、痛み評価の3項目中1項目でのみ改善が認められた (PMID:21969261) 。
≪変形性関節症と関連が認められなかったという報告≫
一般情報
・2005年以降に報告された研究結果は有効性が無いとされている (94) 。
メタ分析
・2006年までを対象に、4つのデータベースで検索できた比較臨床試験20報についてのメタアナリシスにおいて、大規模で質の高い臨床試験では、症状の緩和は無いもしくは極わずかであり、コンドロイチン硫酸の使用は推奨できない (PMID:17438317) 。
・2010年6月までを対象に4つのデータベースで検索できた200名以上を対象とした大規模無作為化比較試験10報について検討したメタ分析において、膝や腰の変形性関節症患者によるグルコサミンやコンドロイチン硫酸の単独もしくは併用摂取は、関節の痛み、関節腔の狭小化との関連は認められなかった (PMID:20847017) 。
RCT
・変形性膝関節症患者158名 (試験群80名、平均65±8歳、スペイン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照において、コンドロイチン硫酸1,200 mg/日とグルコサミン硫酸塩1,500 mg/日を24週間摂取させたところ、痛みの改善が抑制された (PMID:27477804) 。
・50歳以上の膝変形性関節症患者89名 (アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、塩酸グルコサミン1,500 mg/日およびコンドロイチン硫酸1,200 mg/日を6ヶ月摂取させたところ、歩行距離および膝の強度、痛みに影響は認められなかった (PMID:17561418) 。
・膝関節炎患者1,583名 (平均58.6歳、試験群744名) を対象とし、多施設間 (アメリカ) で実施された二重盲検無作為化の、プラセボとセレコキシブ (解熱鎮痛薬) を対照としたグルコサミン・コンドロイチン関節炎介入試験 (GAIT) において、グルコサミン500 mg×3回/日、コンドロイチン硫酸400 mg×3回/日を単独もしくは併用で24週間摂取させたところ、単独でも併用でも痛みに影響は認められなかった (PMID:16495392) 。また、同じ試験において継続して24ヶ月間摂取させた572名 (平均56.9±9.8歳、試験群207名) を対象とした解析では、脛大腿関節腔幅 (JSW) の減少や症状の進行に変化はなく(PMID:18821708)、同じ試験の662名 (平均57歳、試験群389名) を対象とした解析では、WOMACスコア(関節疼痛や機能性の評価指標)に影響は認められなかった (PMID:20525840) 。
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