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安全性
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危険情報
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<一般>
・適切に用いれば、カリウム総摂取量 (食品およびサプリメント) として80〜90 mEq/日以下ならばおそらく安全である(94)。大量摂取した場合は高カリウム血症を起こすおそれがある (94) 。血中濃度が6 mEq/L以上になるような摂取は危険である。死に至ることがある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・カリウム総摂取量 (食品およびサプリメント) として40〜80 mEq/日以下ならば、おそらく安全である (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・経口摂取ではまれに、経腸投与で心停止の危険がある (55) 。
・十二指腸潰瘍のおそれがある (55) 。
・経口摂取および静注の有害事象としては、胃腸の不調、吐き気、下痢、嘔吐、げっぷ、鼓腸、潰瘍があげられる (25) (PMID:9168293) 。血中カリウム濃度が5 mEq/L以上になる高カリウム血症は感覚異常、虚弱、弛緩症、無気力、めまい、精神錯乱、低血圧、血便、不整脈、心ブロック、死の原因となりうる (PMID:9168293) 。
・2014年10月までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験22報 (検索条件:期間≧2週間) について検討したメタ分析において、18歳以上の健康な人におけるカリウムサプリメントの摂取は、心拍数に影響を与えなかった (PMID:27289164) 。
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禁忌対象者
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・カリウムカプセルおよびカリウム錠は、腸管運動亢進症の人には使用禁忌である (94) 。
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医薬品等との
相互作用
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<理論的に考えられる相互作用>
・巨赤芽球性貧血を経管的にビタミンB12で治療している場合、一過性の低カリウム血症となることがある。低カリウム血症は一時的なもので、ホメオスタシスで回復する。低カリウム血症リスクの高い人は血中濃度をモニターすること (94) 。
・ACE (アンジオテンシン変換酵素) 阻害剤、アンジオテンシン受容体ブロッカー、カリウム保持性利尿剤との併用は、カリウム濃度を上昇させ高カリウム血症を起こす可能性がある (94) 。また、ループ利尿剤、サイアザイド系利尿剤、峻下剤、アミノ配糖体などの抗生物質、アンホテリシンB、フルコナゾール (抗真菌薬) 、ステロイド剤、レボドパ (パーキンソン病治療薬) などの医薬品もカリウム濃度に影響を与えることがある (PMID:7828395) (PMID:6373278)(PMID:1554972) 。
・β-2作動薬は細胞内へのカリウムの取り込みを促進するので、低カリウム血症を起こすことがある (PMID:9186877) (PMID:3168573) 。特にβ-2作動薬を急速に高濃度で用いた際に血中カリウム濃度が低下することが報告されている (PMID:2545455) (PMID:2898368)(PMID:8681661) (PMID:9186877) (PMID:3168573) (PMID:1623802) (PMID:2178522)(PMID:6364906) (PMID:3948547) 。β-2作動薬を用いる時は血中カリウム濃度をモニターすること。他の低カリウム血症リスクがある人は、症状が出たらサプリメントでカリウムを補う必要があると思われる (PMID:9186877) 。
・カリウムの排出はほとんど腎臓に限られているため、腎機能が低下している場合は高濃度のカリウム摂取は問題がある (28) (2) 。腎機能が低下している場合は、カリウム含有量が多い食品 (果物、シリアル、豆類、牛乳、野菜など) との同時摂取も注意が必要である (94) 。
・抗真菌剤であるアムホテリシンB、フルコナゾール (抗真菌薬) は腎毒性により尿中カリウム排泄を増加させることがあるので、カリウムレベルをモニターし、必要であればサプリメントで補給する (PMID:1554972) 。
・高用量のβ-2作用薬、テオフィリン (喘息治療薬:CYP1A2基質) や関連の薬物を急性に服用した場合に、カリウムレベルが低下するおそれがあるので、カリウムレベルをモニターする (PMID:2898368) (PMID:9186877) (PMID:1623802) (PMID:2178522) (PMID:2472535) (PMID:2879708)(PMID:3168573) 。
・臨床検査値で血圧に影響を与えることが考えられる (PMID:9168293) 。
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動物他での
毒性試験
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調べた文献の中に見当たらない。
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AHPAクラス分類
及び勧告
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総合評価
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安全性
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・腎機能が正常な人が適切に用いればカリウム総摂取量 (食品およびサプリメント) として80〜90 mEq/日以下ならばおそらく安全である。妊娠中・授乳中も腎機能が正常であれば、カリウム総摂取量(食品およびサプリメント)として40〜80 mEq/日以下なら、おそらく安全である。しかし、カリウムの排出はほとんど腎臓に限られているため、腎機能が低下している場合は、過剰摂取は問題がある。経口摂取および静注の副作用としては、胃腸の不調、吐き気、下痢、嘔吐、げっぷ、鼓腸、潰瘍がある。
・使用禁忌として腸管運動亢進症の人、また、電解質バランスが正常でない人におけるカリウムカプセルおよびカリウム錠の摂取。
・心臓および腎臓に疾患のある人、腸管出血の恐れのある人、鎌状血球症の人には注意を要する。
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有効性
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(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で低カリウム血症の治療と予防に有効である。
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1) 高血圧の予防と治療、2) 脳卒中の予防、3) 高カルシウム血症。
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参考文献
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(28) 最新栄養学 第9版 (建帛社)木村修一ら 翻訳監修
(19) ミネラル事典 朝倉書店 糸川嘉則編
(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(25) クリニカル・エビデンス日本語版 日経BP社 日本クリニカル・エビデンス編集委員会
(55) Harper's Biochem 23th ed
(15) 五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説 財団法人日本食品分析センター編集 (中央法規) ISBN 4-8058-4348-9
(102) 食品衛生検査指針 理化学編 厚生省生活衛生局監修 (社団法人日本食品衛生協会)
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