健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

コムギ [英]Wheat [学名]Triticum aestivum L.ssp. vulgare (Vill.) Thell.

概要

コムギは作物中ではもっとも古くから栽培されている植物で、その種子の粉は世界中で主食として利用されている。古くから民間的に消炎や止血など、薬用にも利用されていた。現代では食物繊維源としてのコムギの外皮(ふすま)が注目され、さまざまな食品に添加される。俗に、「腸の健康によい」「免疫機能を維持する」「乳がんのリスクを減らす」などと言われているが、ヒトでの有効性については、コムギふすまの摂取は便秘の改善やおなかの機能の回復、血圧低下に有効性が示唆されているが、糖尿病や大腸がんリスク低減には効果がないことが示唆されている。安全性については、コムギふすまを食品として適切に摂取する場合、おそらく安全である。小麦製品の摂取により蕁麻疹やアナフィラキシーショックなどのアレルギーを起こした報告がある。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・茎、でん粉、葉、胚芽、胚芽油、ふすまは、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・コムギふすまを関与成分とし「おなかの調子を整える」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。
・コムギアルブミンを関与成分とし、「血糖値が気になる方に適する」などの保健用途が表示できる特定保健用食品が許可されている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・種子はデキストロース、サッカロースなどを含む。種子の外皮は主に不溶性食物繊維からなる。
・薬用部分は果実(小麦<ショウバク>)。5〜6月に採取した成熟果実をそのままか、挽いて粉にして使用。人類最古の作物で、世界で広く栽培される1-2年草。高さ60 cm〜1 m。春蒔きと秋蒔きがあり、花期は4〜5月。

分析法

・アルブミン、グリアジンが紫外可視検出器 (検出波長210、214 nm) を装着したHPLC (PMID:15212451) 、キャピラリー電気泳動 (PMID:15212451) (101) により分析されている。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・コムギふすまの摂取は高血圧に対して有効性が示唆されている (94) 。


消化系・肝臓

一般情報
・コムギふすまの摂取は、便秘、痔核、過敏性腸症候群に対し、有効性が示唆されている (94) 。
・コムギふすまを関与成分とし「おなかの調子を整える」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。
RCT
・健康な成人63名 (平均42±17歳、ベルギー) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コムギふすま抽出物を3 g/日または10 g/日、3週間摂取させたところ、10 g/日摂取においてのみ、尿中p-クレゾール排泄量、糞便pHの低下、糞便中ビフィドバクテリウム属、短鎖脂肪酸量の増加が認められたが、鼓脹頻度とその悩みが軽度に増加した (PMID:22370444)
・健康な小児28名 (平均9.82±1.31歳、ベルギー) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コムギふすま抽出物5 g/日を3週間摂取させたところ、糞便中の全細菌に対するビフィドバクテリウム属の割合が増加し、臭いの成分 (イソ酪酸、イソ吉草酸) 量が減少したが、排便回数や便の性状に影響は認められなかった (PMID:24368315)
・慢性便秘症患者24名を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、コムギふすま20 g/日を4週間摂取させたところ、排便回数、肛門通過時間の改善が認められた (PMID:7851201)

糖尿病・
内分泌

一般情報
・コムギアルブミンを関与成分とし、「血糖値が気になる方に適する」などの保健用途が表示できる特定保健用食品が許可されている。
・コムギふすまは糖尿病に対しては効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・軽症糖尿病患者18例 (日本) の二重盲検プラセボ対照比較試験において、コムギアルブミン125 mg/食、2〜3ヶ月間の摂取により、HbA1c7.0以上8.0以下の軽症糖尿病患者での有意な改善を認めた (2000111672) 。
・II型糖尿病患者121名 (平均57.1歳、トルコ) を対象としたクロスオーバー無作為化比較試験において、全粒粉パン、コムギふすまパン、ライ麦パンのいずれかを100 g摂取させたところ、精白小麦パン摂取時と比較して、摂取後2時間までの血糖値やインスリン濃度に違いは認められなかった (PMID:18367284)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・大腸がんのリスクを低減するのにコムギふすま食は効果がないことが示唆されている(94) 。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・肥満の男性10名 (平均39.80±9.59歳、イギリス) を対象としたクロスオーバー無作為化比較試験において、小麦由来食物繊維またはイヌリン15 g/日含有パンを4週間摂取させたところ、糖代謝指標 (空腹時血糖値、インスリン濃度、HOMA-IR、HOMA-β、経口糖負荷試験) 、血漿脂質 (トリグリセリド、総コレステロール、HDLコレステロール、遊離脂肪酸) 、体組成 (体重、体脂肪率、ウエスト径) 、血圧、脈波伝播速度に影響は認められなかった (PMID:24919604)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・小麦ふすまは適切に摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
・摂取した場合、初めのうちコムギふすまはガスや、胃腸の不快感の原因になる可能性がある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の小麦ふすまの摂取は、おそらく安全である (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<被害事例>
小麦製品摂取によるアナフィラキシーが多数報告されている。
・小麦製品の摂取により蕁麻疹やアナフィラキシーショックなどのアレルギーの報告がある (2000111672) (2004099098) (2002145991) 。
・24歳女性 (日本) が小麦を摂取したところ、胃腸炎を発症し、小麦アレルゲンが原因の好酸球性胃腸炎と診断された (2007034910) 。
・47歳女性 (日本) が焼きそばなどの小麦製品摂取後、蕁麻疹や意識不明などのアナフィラキシーを発症し、小麦アレルギーと診断された (2006318084) 。
・8歳男児と42歳男性 (日本) が小麦摂取後、蕁麻疹や喘鳴、意識消失などのアナフィラキシーを発症し、小麦による食物依存性運動誘発性アナフィラキシー (FDEIA) と診断された (2006237896) 。
・58歳男性 (日本) が朝食に食パンを摂取し運動 (出勤時の歩行) 後、アナフィラキシーを発症し、小麦によるアレルギーと診断された (2006223926) 。
・12歳男児 (日本) がフランスパンとミルクを摂取し運動 (登校のための歩行) 後、アナフィラキシーを発症し、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された (2006222563) 。
・42歳男性 (日本) が運動後にパンを摂食したところ蕁麻疹が出現し、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーと診断された (2006209880) 。
・糖尿病の既往症のある51歳男性 (日本) が、麺類を食べた後に気分不快などの症状を発症し、小麦とソバにおる食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された (2006199881) 。
・突発性発疹やうどんによる蕁麻疹などの既往症のある11ヶ月の男児 (日本) が酒饅頭の皮を少量摂取したところ、蕁麻疹と意識消失などのアナフィラキシーを発症し、小麦アレルギーと診断された (2006167578) 。
・40歳男性 (日本) が小麦を使用した食品 (お好み焼き) を摂取して運動後、全身の蕁麻疹・呼吸困難・意識消失をきたし、その後の小麦を用いた誘発試験で小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーと診断された (2006077758) 。
・23歳女性 (日本) が小麦食品 (ラーメンやスパゲティ、パン) を摂取して歩行したところ、蕁麻疹,呼吸困難や意識消失が出現し、また、少量の小麦を摂取後、アスピリンを内服したところ、同様の症状を発症したため、運動やアスピリンが増悪因子となった小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーと診断された (2006013312) 。
・6ヶ月齢から小麦アレルギーがあり、経口免疫療法にて脱感作が成功した7歳男児 (日本) が、給食で小麦を含む食品を摂取した後サッカーをしたところ、アナフィラキシーを発症し、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された (PMID:25345309)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・ジゴキシンと併用すると吸収を阻害する可能性がある (94) 。
・コムギふすまは食品中の鉄分の吸収を阻害する可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・小麦ふすまは適切に摂取する場合、おそらく安全である。
・小麦製品の摂取により蕁麻疹やアナフィラキシーショックなどのアレルギーの報告がある。
・特定保健用食品では、個別に製品ごとの安全性が評価されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・有効性が示唆されているのは、1) 血圧調節、2) 便秘改善や消化器系の機能回復および疾病予防、3) 痔核のリスク軽減
・コムギふすまは糖尿病、大腸がんのリスクの低減に対して有効でないことが示唆されている。
・特定保健用食品では、個別に製品ごとの有効性が評価されている。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(101) Chromatographia. 2000; 51(Suppl): S130-4.
(102) 日本栄養・食糧学会誌52:285-291,1999
(2000111672) 薬理と治療. 1999;27(11):1757-63.
(2004099098) 皮膚科の臨床 2003;45(10):1213-1216.
(2002145991) 皮膚 2001;43(Suppl):5-9.
(PMID:15212451) J Agric Food Chem. 2004; 52(13): 4080-9.
(PMID:8549508) Eur J Clin Nutr. 1995 Oct;49 Suppl 3:S123-8.
(PMID:7851201) Dig Dis Sci. 1995 Feb;40(2):349-56.
(PMID:11159879) Gastroenterology. 2001 Feb;120(2):387-91.
(2007034910) Gastroenterological Endoscopy.2006; 48(Suppl.2):2129
(2006318084) 西日本皮膚科.2006;68(4):454
(2006237896) 日本皮膚科学会雑誌.2006; 116(4):471
(2006223926) 日本皮膚科学会雑誌.2006; 116(5):773
(2006222563) アレルギー.2006;55(3-4):472
(2006209880) 皮膚の科学.2006;5(1):96-7
(2006199881) 糖尿病.2006;49(4):314
(2006167578) 竹林.2005;26(1):96-8
(2006077758) 皮膚臨床.2005;47(12):1725-7
(2006013312) アレルギー.2005;54(10)1203-7
(PMID:18367284) Diabetes Res Clin Pract. 2008 Jul;81(1):68-71.
(PMID:22370444) Br J Nutr. 2012 Dec 28;108(12):2229-42.
(PMID:24368315) J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2014 May;58(5):647-53.
(PMID:25345309) J Investig Allergol Clin Immunol. 2014;24(5):358-9.
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(94) Natural Medicines
(PMID:24919604) J Hum Nutr Diet. 2015 Oct;28(5):476-85.

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.