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有効性
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ヒ
ト
で
の
評
価
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循環器・ 呼吸器

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メタ分析
・2012年11月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験50報について検討したメタ分析において、ビタミンや抗酸化物質 (ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、β-カロテン、セレン) のサプリメント摂取は心血管疾患 (心筋梗塞、狭心症、脳卒中、一過性虚血発作) の発症および心血管関連死、心突然死のリスクとの関連は認められなかった (PMID:23335472) 。
RCT
・HIV感染者を含む肺結核患者154名 (試験群77名、平均30歳、南アフリカ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、レチニルパルミテート (パルミチン酸レチノール) 200,000 IU/日と亜鉛15 mg/日を8週間摂取させたところ、治療成績や体重増加に影響は認められなかった (PMID:21068353) 。

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消化系・肝臓
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メタ分析
・2011年1月までを対象に、6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、肝臓病患者によるβ-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質の摂取は、全死亡率や肝臓疾患による死亡率との関連は認められなかった (PMID:21412909) 。
RCT
・潰瘍性大腸炎患者143名 (試験群72名、平均39.07±12.47歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、通常の治療とともにビタミンAサプリメント25,000 IU/日を2ヶ月間摂取させたところ、症状の重症度指標 (Mayo score) の改善が認められた (PMID:30477842) 。
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糖尿病・ 内分泌
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調べた文献の中に見当たらない。
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生殖・泌尿器
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メタ分析
・2011年6月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験17報について検討したメタ分析において、妊娠中のビタミンAまたはβ-カロテンの摂取は、妊娠中の貧血リスク低下 (6報) と関連が認められたが、胎内発育遅延児 (2報) 、低出生体重児 (5報) 、極低出生体重児 (2報) 、早産 (34週未満:2報、37週未満:7報) 、母体死亡 (3報) 、新生児死亡 (4報)、乳児および新生児死亡 (5報) 、HIV母子感染 (3報) のリスクとの関連は認められなかった (PMID:22742601) 。
RCT
・栄養失調の妊娠の可能性のある女性44,646名 (12〜45歳、試験群29,841名、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、妊娠前からレチノール7000μg等量/週のビタミンA (レチニル酢酸23,300IU/週) またはβ-カロテン (42 mg/週) を約3年間摂取させたところ、いずれの群において妊娠による母体の死亡率 (PMID:10037634) 、産後の下痢と発熱の発症率 (PMID:11053506) の低下が認められたが、胎児や24週齢までの乳児の死亡率に影響は認められず (PMID:10837300) 、ビタミンA摂取群でのみ、妊娠中の夜盲症の発症率の低下(PMID:9732305)、子どもの9〜13歳時における肺活量 (FEV(1)、FVC) の増大 (PMID:20463338) が認められた。
・栄養失調の妊娠中の女性59,666名 (13〜45歳、試験群39,804名、バングラデシュ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、妊娠中から出産後12週まで、レチノール7,000μg/週またはβ-カロテン42 mg/週を摂取させたところ、母体、胎児、乳児の死亡率に影響は認められなかった (PMID:21586714) 。
その他
・1,228名 (症例535名) を対象とした症例対照研究において、母親の妊娠初期のビタミンA摂取量が多い (1,257μg/日以上) 群では少ない群 (32.0〜833.5μg/日) よりも、口唇裂の発症リスクが低かった (PMID:18343877) 。
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脳・神経・ 感覚器
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メタ分析
・2013年4月までを対象に2つのデータベースで検索できた疫学研究8報について検討したメタ分析において、ビタミンA (3報) 、α-カロテン (2報) 、β-カロテン (6報) 、β-クリプトキサンチン (3報) 、ルテイン (4報) 、リコピン (3報) の摂取量はパーキンソン病リスクとの関連は認められなかった (PMID:24356061) 。
・2007年2月までを対象に7つのデータベースで検索出来た無作為化臨床試験 (RCT) および前向きコホート試験12報についてのメタアナリシスにおいて、抗酸化物質 (ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン) の食事摂取量と早期加齢性黄斑変性症の発症との関連は認められなかった (PMID:17923720) 。
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免疫・がん・ 炎症
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<がん>
・がんの発生率や死亡率との関連についての報告があるが、現時点ではポジティブな (有効性があるとする) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。個々の情報は以下の通り。
≪がんの発生率や死亡率の抑制効果との関連が示唆されたという報告≫
RCT
・内視鏡ポリープ切除術を受けた患者330名 (試験群164名、中央値57.5歳、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、セレン200μg/日、亜鉛30 mg/日、ビタミンA 2 mg/日、ビタミンC 180 mg/日、ビタミンE 30 mg/日を5年間摂取させたところ、中央値4年後までの腺腫再発率の低下が認められた (PMID:23065023) 。
その他
・2,030名 (症例966名、平均64.9歳、イギリス、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン) を対象としたコホート内症例対照研究において、前立腺がん診断の平均約4年前の血漿中のカロテノイド、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール濃度と発症率との間に相関は見られなかったが、リコピンおよび総カロテノイドが高いと進行疾患リスクは低かった (PMID:17823432) 。
≪がんの発生率や死亡率への影響は限定的であったという報告≫
メタ分析
・2013年1月までを対象に3つのデータベースで検索できた前向きコホート研究24報について検討したメタ分析において、カルシウム(8報) 、ビタミンA (2報) サプリメントの摂取は結腸直腸がんのリスク低下と関連が認められたが、ビタミンC (3報) 、ビタミンE (5報) 、ビタミンD (5報) 、ニンニク (2報) サプリメントの摂取は関連が認められなかった。また、ビタミンE (5報) 、カルシウム (6報) 、葉酸 (3報) サプリメントの摂取量が多いと結腸直腸がんのリスク低下と関連が認められたが、ビタミンA (2報) 、ビタミンC (3報) 、ビタミンD (4報) サプリメントの摂取量との関連は認められなかった (PMID:25335850) 。
≪がんの発生率や死亡率と関連が認められなかったという報告≫
一般情報
・大規模ランダム介入試験ではビタミンA摂取の補給の有無で、患者の生存期間およびevent free survival (= 再発を含む特別な出来事がなく生存していた期間 ) に有意差はなかった。
・悪性黒色腫に対するレチノイド補助療法の有益性は、いくつかの小規模な無作為割付臨床試験 (RCT) からは見出せなかった (25) 。この用途に関するレチノイドの適切な評価は行われていない (25) 。
メタ分析
・2016年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、ビタミンAサプリメントの摂取は膀胱がんリスクとの関連は認められなかったが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:28244289) 。
・2014年4月までを対象に1つのデータベースで検索できたコホート研究47報について検討したメタ分析において、葉酸 (22報) 、ビタミンD (14報) 、ビタミンB6 (11報) 、ビタミンB2 (5報) の摂取は結腸直腸がんのリスク低下と関連が認められたが、ビタミンA (6報) 、ビタミンC (9報) 、ビタミンE (10報) 、ビタミンB12 (5報) の摂取は結腸直腸がんのリスクとの関連は認められなかった (PMID:25491145) 。
・2009年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験11報 (10試験) について検討したメタ分析において、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、isotretinoin、acitrein などのビタミン類の単独摂取または数種の併用は皮膚がんの発症率や再発率との関連は認められなかった (PMID:21846961) 。
・2007年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験31報 (22試験) について検討したメタ分析において、抗酸化サプリメント (β-カロテン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、セレン) の摂取はがんの発症もしくは再発率に影響を与えず、サブグループの分析 (4試験) においては膀胱がんのリスク増加を示した (PMID:19622597) 。
・2015年3月までを対象に3つのデータベースで検索できた症例対照研究17報、無作為化比較試験5報、コホート研究12報について検討したメタ分析において、ビタミンAの摂取 (前向き研究2報、後ろ向き研究12報) はすい臓がんリスクとの関連は認められなかった (PMID:29595633) 。
<免疫・炎症>
RCT
・アフタ口内炎の経験者160名 (試験群83名、平均35.7歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシン、パントテン酸、葉酸を米国の食事摂取基準値の100%量含有するマルチビタミンを1年間摂取させたところ、アフタ口内炎発生数、症状の持続期間、口内の痛みなどに影響は認められなかった (PMID:22467697) 。
その他
・麻疹患者78名 (試験群32名、日本) を対象とし、ビタミンA (3,000〜10,000 IUを3〜5日) を第4病日以前から投与したところ、症状の重症化 (38℃以上の高熱持続日数、眼球結膜充血ならびに眼脂の持続日数、胸部レントゲンで肺炎像を認めた率など) に対する予防効果が認められた (2003075551) 。
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骨・筋肉
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一般情報
・大量摂取により、閉経後女性の骨粗鬆症および骨折の発症率を増加させる可能性がある (PMID:11754708) (PMID:10439632) 。
メタ分析
・2017年1月までを対象に6つのデータベースで検索できた観察研究8報について検討したメタ分析において、総ビタミンA (3報) 摂取量が多いと全骨折リスクが低下したが、レチノール (5報) 、β-カロテン (2報) 摂取量との関連は認められなかった。総ビタミンA (3報) 、レチノール (4報) 摂取量が多いと臀部骨折リスクが上昇し、β-カロテン (2報) 摂取量との関連は認められなかった (PMID:28891953) 。
・2019年10月までを対象に3つのデータベースで検索できたコホート研究13報について検討したメタ分析 において、ビタミンA (9報) 、ビタミンC (4報) の摂取量は、骨折リスクに影響を与えなかった (PMID:32871858) 。
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発育・成長
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メタ分析
・2010年4月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験について検討したメタ分析において、6ヶ月齢〜5歳の小児におけるビタミンAの摂取は、全死亡率、下痢、はしか、夜盲症、眼球乾燥症のリスクの低下、摂取48時間以内の嘔吐リスクの増加と関連が認められた (PMID:21868478) 。
RCT
・新生児44,984名 (試験群22,493名、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、生後72時間以内にビタミンE 9.5〜12.6 IUとともに、ビタミンA 50,000 IUを摂取させたところ、生後4週、6ヶ月、12ヶ月までの死亡率および生後6ヶ月までの入院率に影響は認められず、泉門膨隆のリスク上昇が認められた (PMID:25499546) 。
・新生児22,955名 (試験群11,474名、ガーナ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、生後72時間以内にビタミンE 9.5〜12.6 IUとともに、ビタミンA 50,000 IUを摂取させたところ、生後4週、6ヶ月、12ヶ月までの死亡率および生後6ヶ月までの入院率に影響は認められなかった (PMID:25499545) 。
・新生児31,999名 (試験群15,995名、タンザニア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、生後72時間以内にビタミンE 9.5〜12.6 IUとともに、ビタミンA 50,000 IUを摂取させたところ、生後4週、6ヶ月、12ヶ月までの死亡率および生後6ヶ月までの入院率に影響は認められなかった (PMID:25499543) 。
・新生児31,999名 (試験群15,995名、生後15.5±12時間、タンザニア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、生後3日以内にビタミンA 50,000 IUを単回摂取させたところ、乳児の死亡率、入院率、一般的な疾患の罹患率に影響は認められなかった (PMID:27789674) 。
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肥満
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調べた文献の中に見当たらない。
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その他
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一般情報
・システマティック・レビューは見つからなかったが、複数の無作為割付臨床試験 (RCT) によれば、局所レチノイド (tanzarotene) 摂取はプラセボと比較して、短期間では慢性尋常性乾癬を改善することが見つかった (25) 。
・経口レチノイドにより、少数の尋常性乾癬患者において乾癬が消失したという限定的なエビデンスが見出された (25) 。維持療法としてのレチノイドの効果については、良好なエビデンスは見出されなかった。体調不良および催奇形性のリスクのため、レチノイドは一部の患者には受け入れられていない (25) 。
メタ分析
・2016年8月までを対象に、5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報について検討したメタ分析において、ビタミンAサプリメントの摂取は、総死亡率 (6報) 、心血管疾患死亡率 (2報) 、がん死亡率 (3報) に影響を与えず、がん発症リスク (2報) 上昇と関連が認められた (PMID:28096125) 。
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参
考
情
報
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試験管内・
動物他での 評価
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・免疫機構に関わる (13) 。
・欠乏すると免疫能低下を起こす (15) 。
・生殖機能の維持にかかわる (13) (55) 。
・精子形成にかかわる (13) 。
・上皮組織の維持に関わる (13)。
・欠乏すると上皮の角化を亢進する (13) (55) 。
・欠乏すると乾皮症を招く (55) 。
・ロドプシンの一部を構成し、視覚機能に関わる (3) (13) (55) 。
・味覚の維持にかかわり、欠乏すると味覚異常を招く (13) 。
・細胞の増殖・分化に関わる (3) (13) 。
・成長作用がある (13) 。
・形態形成に関わる (13) 。
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安全性
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危険情報
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<一般>
・日本人のビタミンA摂取については「日本人の食事摂取基準」の推奨量や目安量、耐容上限量を参照 (詳細は「ビタミンA解説」) 。
・2005年10月までを対象に、4つのデータベースで検索可能な無作為化比較試験68報について検討したシステマティックレビューにおいて、成人に対するβ-カロテン、ビタミンA、ビタミンEの投与は、死亡リスクを増加させる可能性がある (PMID:17327526) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊婦に関しては過剰症で胎児の催奇形性の危険があるため、日本では上限量が3,000μgRE*/日と定められている (3) 。*RE=レチノール当量
・一日10,000 IU以上の摂取で、胎児が先天性異常を起こす場合がある。妊娠前期は、頭蓋および顔面異常や中枢神経系の異常のような、ビタミンAによる催奇形性の感受性が高い期間である。妊娠中の女性はすべてのビタミンA源からのビタミンA摂取量をモニターすべきである。
<小児>
・日本人のビタミンA摂取については「日本人の食事摂取基準」の推奨量や目安量、耐容上限量を参照 (詳細は「ビタミンA解説」) 。
・ヒトでの急性毒性では、1ヶ月齢の男児が11日間に1,000,000 IUのビタミンAを投与された後死亡した一例が報告されている 。脳脊髄圧上昇 (3) (13) をおこす。
・より一般的な慢性毒性は、小児の場合一日12,000〜600,000 IU (2,000〜60,000 IU/kg/日) 、成人で一日50,000〜1,000,000 IU (700 IU〜15,000 IU/Kg/日) を連日摂取した場合に報告されている。その症状は頭痛 (28) 、頭蓋内亢進 (3)、唇のひび割れ (27) 、皮膚の乾燥とかゆみ (27) (3) 、脱毛 (3) 、肝臓肥大 (27) 、骨と関節の痛み (27) 、筋肉痛 (3) (13) など。
<被害事例>
・妊娠前と妊娠前期(2〜3ヶ月) に母親 (日本) がトレチノイン (ビタミンA誘導体0.025%) 局所製剤を顔と背中に塗布し、また妊娠中に妊婦用ビタミンを摂取し、さらに父親も妊娠前にイソトレチノイン (にきび治療薬) を服用していたところ、妊娠41週で出生した男児 (体重4,090 g) の耳と中枢神経系に奇形を認めた (PMID:10838106) 。
・17歳女性 (イギリス) が、ビタミンAを2,400μg含むマルチビタミンサプリメントとともに複数のサプリメントを約2ヶ月間摂取したところ、頭痛、視力低下、視野狭窄を呈し、偽脳腫瘍と診断された (PMID:25146922) 。
・27歳男性 (日本) がアラスカメヌケの肝臓を800 g摂取した直後に痺れを生じ、翌日に潮紅、頭痛、吐き気、関節痛のため医療機関を受診。血清レチノール濃度が高値であったため急性ビタミンA中毒と診断され経過観察を行ったところ、摂取4日後に顔面皮膚剥離を生じたが、それ以外の症状は改善した (PMID:25850632) 。
・母親 (アメリカ) が妊娠中から授乳中にかけてビタミンAを4,000 IU/日、摂取し続けていたところ、母乳哺育の女児が10ヶ月齢時に二度、嘔吐し、さらに5日間、断続的な内斜視を生じて受診。ビタミンAの過剰による偽脳腫瘍と診断された (PMID:26656927) 。
・先天性魚鱗様紅斑のため副腎皮質ホルモンとともにビタミンAを摂取し、12歳時にビタミンA過剰摂取による肝硬変を診断されて摂取を中止した男性 (スペイン) が、その後も症状が悪化し、門脈圧亢進症による食道静脈瘤、脾臓肥大、肝性脳症などを生じて複数回の入院治療を受け、肝不全症状の悪化に伴い48歳時に肝移植を受けた (PMID:30655144) 。
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禁忌対象者
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調べた文献の中に見当たらない。
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医薬品等との
相互作用
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<ヒト症例>
・59歳男性 (アメリカ) が対面販売で購入した複数のマルチビタミンサプリメント (ビタミンAを計13,000μg含む) を2年間摂取していたところ、最近6ヶ月間体重増加と腹水が出現し、ビタミンA毒性による慢性肝炎と疑われ、ビタミンサプリメントの摂取中止により、腹水と肝機能が改善した (PMID:18755329) 。
<理論的に考えられる相互作用>
・吸収や血中レベルに影響を与えるハーブやサプリメント、食品、医薬品が以下のようにいくつか知られている。
吸収を促進するもの:ビタミンAサプリメント、食事中の脂肪 (101) (102) 。吸収を低下させるもの:鉱油、ネオマイシン、コレスチラミン、オーリスタット (PMID:3881283)(PMID:12996478) (PMID:3673974) (PMID:176876) (PMID:7627696) (PMID:7354970) (PMID:8660081) (PMID:4365953) (PMID:3965864) (PMID:6361299) (PMID: 8844448) (PMID:12126214) (PMID: 9918478) (PMID:9683204) 。血中レベルを低下させるもの:慢性の過剰なアルコール摂取 (PMID:10357725) (PMID:11208727) (102) 。
・消化管感染症や寄生虫によって、摂取したビタミンAの吸収が低下することがある (102) 。
・良性頭蓋内圧亢進症がテトラサイクリン (抗生物質) とビタミンA中毒で起こりうるとの報告があり、テトラサイクリンを服用している患者は多量のビタミンAを摂取するべきではない (PMID:2197848) (PMID:6449976) (PMID:6780129) 。
・ビタミンAの毒性はビタミンKとの拮抗作用によって、出血傾向や低プロトロンビン血症と関連があるので、大量のビタミンAの摂取はワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4) のリスクを高める危険性がある (104) 。
・経口避妊薬を服用している患者では、服用していないヒトに比べ血清中ビタミンAの濃度の上昇が見られ、安全に用いるためのデータは十分でない (PMID:1764944) (PMID:6481708) (PMID:1130320) (PMID: 7400487) 。
・亜鉛欠乏したヒトでは、ビタミンA不足になる可能性がある。また、亜鉛とビタミンAを併用すると、それぞれ単独で用いるよりも効果が高い (PMID:11382658) (PMID:11756065) 。
・エトレチナート (角化症治療薬) 、イソトレチノイン (にきび治療薬) 、アシトレチン (乾癬治療薬) 、タザロテン (にきび治療薬) 、トレチノイン (抗がん剤) 、ベキサロテン (抗がん剤:CYP3A基質) などのレチノイド (ビタミンA誘導体) 系医薬品は、ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こす (PMID:7752598) (PMID:1617858) (PMID:363444) 。そのためこれらの医薬品とビタミンA含有サプリメントを併用した場合にも、類似した副作用症状の発現が危惧される。
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動物他での
毒性試験
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・妊娠中の雌性ラットに、1 mg/kgおよび0.1 mg/kgのビタミンAを、妊娠20日に1回または妊娠19日と20日に2回投与し、胎仔の出生後動脈管の剖見をしたところ、0.1 mg/kg、1回の低投与量においても動脈管収縮促進作用が認められた (2000274771) 。
・妊娠中の雌性マウスにレチン酸80 mg/kgを投与したところ、胎児の口蓋裂の形成が認められ、TUNEL法による検討では、アポトーシス (細胞死) を起こした間質細胞数が多かった (PMID:11915360) 。
・雌性マウスにビタミンA添加食 (ビタミンA.950 IU/5 g食) 、700 mg粗肝臓ホモジネート添加食 (ビタミンA.1,029 IU/5 g食) 、その親油性成分添加食 (V.A.950 IU/5 g食) を交尾1週間前から妊娠18日まで25日間させたところ、胎児の外形異常が見られた (PMID:12673043) 。
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AHPAクラス分類
及び勧告
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総合評価
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安全性
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・一般的な慢性毒性は、小児の場合1日12,000〜600,000 IU、成人で一日50,000〜1,000,000 IUを連日摂取した場合に報告されている。
・小児、成人、妊娠中および授乳中に適切に使用する場合、おそらく安全である。
・妊婦に関しては、過剰症で胎児の催奇形性の危険があるため、日本では許容上限摂取量が一日5,000 IUと定められている。妊娠中に過剰に摂取した場合、危険性が示唆されている。一日10,000 IU以上の継続摂取で、胎児が先天性異常を起こす場合がある。
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有効性
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(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ビタミンA欠乏症の予防と治療に有効と判断されている。
・有効性が示唆されているのは、
1) 3歳以下の小児のマラリア症状の緩和、
2) ビタミンA欠乏症の小児が補助剤として摂取したときのHIVおよび下痢による死亡率の減少、
3) 栄養失調の女性の妊娠に関連した夜盲症や死亡率、産後の下痢や発熱の減少、
4) 核白内障の発生の減少
である。
・効果がないことが示唆されているのは、
1) 栄養失調の女性の胎児や乳幼児の死亡率の減少、
2) 栄養失調の妊娠中の女性における血中のヘモグロビンとエリスロポエチンの増加、
3) 妊娠中の胎児および初期の授乳期間中の新生児へのHIVの母子感染リスクの減少
である。
・頭部や頸部、肺がんの患者における2次がんや腫瘍の再発リスクの減少にはおそらく効果がない。
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参考文献
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(3) 日本人の食事摂取基準 (2020年版) 文部科学省
(27) 最新栄養学 第8版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(28) 最新栄養学 第9版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(13) ビタミンの事典 朝倉書店 日本ビタミン学会 編
(25) クリニカル・エビデンス ISSUE9 日本語版 日経BP社 日本クリニカル・エビデンス編集委員会
(55) Harper's Biochem 23th.ed.
(101) Drug Interactions Analysis and Management. Vancouver, WA: Applied Therapeutics Inc., 1997 and updates.,
(103) AHFS Drug Information. Bethesda, MD: American Society of Health-System Pharmacists, 1998.
(104) Goodman and Gillman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th ed. New York, NY: McGraw-Hill, 1996.
(105) 日本食品成分表 2015年版 (七訂) 分析マニュアル・解説 建帛社
(PMID:3881283) Fed Proc 1985;44:124-9.
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