健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

シナモン [英]Cinnamon [学名]Cinnamomum cassia、Cinnamomum aromaticum 、Cinnamomum sieboldii、Cinnamomum verum、Cinnamomum zeylanicum

概要

シナモンはクスノキ科の常緑樹である。主に、スリランカや南インドなど熱帯地方原産のセイロンニッケイ (Cinnamomum verumCinnamomum zeylanicum) 、中国やインドシナ原産のカシア (Cinnamomum cassiaCinnamomum aromaticum) 、ニッキ (Cinnamomum sieboldii) を示す。いずれも、樹皮をナイフではぎ取り、発酵・乾燥をして用いる。独特の甘味で清涼感のある強い芳香をもち、辛味があり、古くからスパイスのひとつとしても親しまれている。日本薬局方ではCinnamomum cassia Blumeの樹皮または周皮の一部を除いたものが生薬のケイヒ、Cinnamomum cassia Blumeの葉と小枝もしくは樹皮またはCinnamomum zeylanicum Neesの樹皮から得た精油がケイヒ油として利用されている。俗に、「糖尿病を改善する」「血行をよくする」「ダイエットによい」と言われているが、Cinnamomum cassiaにおいて糖尿病に対し有効性が示唆されているものの、その他のヒトでの有効性については信頼できる十分な情報が見当たらない。安全性については、Cinnamomic cassiaの適切な摂取はおそらく安全であるが、多量の長期間にわたる摂取は危険性が示唆されており、妊娠中・授乳中の大量摂取に関しては十分なデータが見当たらないため、使用を避ける。Cinnamomum verumCinnamomum sieboldiiなどをサプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・ケイヒ (ケイ、シナニッケイ、ニッケイ) 根皮・樹皮が「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。
Cinnamomum cassiaは、米国ではGRAS (一般的に安全と見なされた物質) 認定 (94) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・芳香成分として、シンナムアルデヒド、オイゲノール、ベンズアルデヒドなどを含む (105) 。
Cinnamomum cassiaは0.004〜1.2%のクマリンを含む (94) 。
・ドイツで市販されているシナモンパウダーおよびシナモンスティック91製品をHPLC法により分析したところ、クマリン含量は検出限界以下〜約10,000 mg/kgと製品により大きく異なり、スティック製品では同一パッケージ内でもスティックにより130〜10,900 mg/kgとばらつきが大きかった。また、インドネシア産のケイヒ (原木) 5本の樹皮を分析したところ、クマリン含量は、同一樹木中でも部位により大きく異なった (PMID:20853872)

分析法

Cinnamomum cassiaCinnamomum zeylanicumのシンナムアルデヒド類を紫外可視検出器 (検出波長254、275、280 nm) を装着したHPLCにより分析した報告がある (PMID:3693489) (101) (102) 。

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2018年8月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、Cinnamomum zeylanicumの摂取は、CRPの低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:30670254)
・2015年7月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験13報について検討したメタ分析において、シナモンの摂取は、TC (13報) 、TG (13報) の低下と関連が認められた。一方、LDL-C (13報) 、HDL-C (12報) との関連は認められなかった (PMID:28887086)


消化系・肝臓

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、Cinnamomum cassiaCinnamomum verumにおいて食欲不振、消化管の軽度けいれんといった消化不良、腹部膨満、鼓腸への使用が承認されている (58) 。
RCT
・非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) 患者45名 (試験群:男性10名 平均39.6±1.0歳、女性13名 平均44.8±8.5歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、栄養・運動指導とともにシナモン1,500 mg/日を12週間摂取させたところ、糖代謝 (空腹時血糖値、QUICKI、HOMA-IR) 、血清脂質 (TC、LDL-C、TG) 、肝酵素 (ALT、AST、γ-GTP) 、高感度CRPの改善が認められた。一方、BMI、ウエスト径、HDL-Cに影響は認められなかった (PMID:24461315)

糖尿病・
内分泌

・シナモンの摂取と空腹時血糖値や血中脂質等との関連についての報告があるが、現時点ではポジティブな (有効性があるとする) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。個々の情報は以下の通り。

≪空腹時血糖値や血中脂質等との関連が示唆されたという報告≫
一般情報
Cinnamomum cassiaは、糖尿病に対して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2011年8月までを対象に13個のデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、2型糖尿病患者によるCinnamomum cassiaの摂取は空腹時血糖 (5報) とHbA1c値 (5報) の低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:22579946)
・2010年5月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験8報について検討したメタ分析において、シナモンまたはシナモン抽出物の摂取は空腹時血糖の低下と関連が認められた (PMID:21480806)

≪空腹時血糖値や血中脂質等への影響は限定的であったという報告≫
メタ分析
・2012年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験10報について検討したメタ分析において、2型糖尿病患者によるシナモンの摂取は、空腹時血糖 (9報) 、TC (9報) 、LDL-C (8報) 、TG (9報) の低下とHDL-C (8報) の上昇と関連が認められたが、空腹時血糖、TC、LDL-C、TGにおいては試験によるばらつきが大きかった。一方、HbA1c (8報) との関連は認められなかった (PMID:24019277)
RCT
・多嚢胞性卵巣症候群の女性59名 (試験群29名、平均28.62±5.74歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、シナモン500 mg×3回/日を12週間摂取させたところ、インスリン濃度、HOMA-IR、血中LDL-Cの低下が認められた。一方、体重、BMI、ウエスト径、空腹時および食後血糖値、HbA1c値、TG、TC、血中ホルモン濃度 (テストステロン、DHEAS) に影響は認められなかった (PMID:29250843)
・2型糖尿病患者65名 (試験群33名、平均62.8±8.37歳、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、Cinnamomum cassia 1 g×3回/日を4ヶ月摂取させたところ、空腹時血糖の低下が認められた。一方、HbA1c値、LDL、HDL、TC、TGに影響は認められなかった (PMID:16634838)
・2型糖尿病患者99名 (試験群49名、平均57.2±1.1歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、シナモン500 mg×3回/日を60日間摂取させたところ、HbA1c値、収縮期血圧、拡張期血圧、血糖値、クレアチニン値、TGの低下とHDL-C、eGFRの増加が認められ、TCの増加を抑制した。一方、LDL-Cの変化量に影響は認められなかった (PMID:30603255)
≪空腹時血糖値や血中脂質等と関連が認められなかったという報告≫
メタ分析
・2011年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験3報について検討したメタ分析において、2型糖尿病患者によるCinnamomum cassiaの摂取はHbA1c値、空腹時血糖との関連は認められなかった (PMID:21843614)
・2007年4月までを対象に、4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、糖尿病患者によるCinnamomum cassiaの摂取はHbA1c値 (4報) 、空腹時血糖値 (4報) 、TC (4報) 、LDL-C (4報) 、HDL-C (3報) 、TG (4報) との関連は認められなかった (PMID:17909085)
RCT
・1型糖尿病患者72名 (試験群28名、平均14.7±1.4歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、シナモン1 g/日を3ヶ月間摂取させたところ、HbA1c値、インスリン抵抗性、インスリン必要量に影響は認められなかった (PMID:17392542)
・閉経後の2型糖尿病患者25名 (試験群12名、平均62±2歳、オランダ) を対象とした二重盲検プラセボ比較試験において、Cinnamomum cassia1.5 g/日を6週間摂取させたところ、血糖値、インスリン濃度、HbA1c値、HOMA-IR、インスリン感受性、インスリン抵抗性、TC、LDL-C、HDL-C、TGに影響は認められなかった (PMID:16549460)
・2型糖尿病患者71名 (試験群35名、平均53.7±9.7歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、通常の治療とともにCinnamomum cassiaを500 mg×2/日、60日間摂取させたところ、空腹時血糖値、HbA1c値に影響は認められなかった (PMID:24716174)
・2型糖尿病患者39名 (試験群20名、平均58.90±7.93歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、通常の治療とともに、シナモン1,000 mg×3回/日を8週間摂取させたところ、空腹時血糖値、インスリン濃度、HOMA-IR、HbA1c値、血漿カルボキシメチルリジン (終末糖化産物) 濃度、総抗酸化能、マロンジアルデヒド濃度に影響は認められなかった (PMID:28885566)
・健康な成人男女18名 (平均29.9±1.8歳、フランス) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、Cinnamomum verum 1 g摂取後にパン103 gを摂取させたところ、食後120分までの血糖値 (AUC) 、食後120分の血糖値、インスリン濃度に影響は認められなかった (PMID:25249234)

生殖・泌尿器

メタ分析
・2015年3月までを対象に8つのデータベースで検索できた無作為化比較試験27報について検討したメタ分析において、ディル (1報) 、ウイキョウ (1報) 、コロハ (1報) 、ショウガ (3報) 、グアバ (1報) 、バレリアン (1報) 、カミツレ (1報) 、Cinnamomum zeylanicum (1報) などのハーブの月経困難症の痛みに対する効果は、報告数が少なく試験の質が低いため、結論づけることができなかった (PMID:27000311)
RCT
・原発性月経困難症患者58名 (試験群30名、平均22.2±2.2歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、シナモン1,000 mg×3回/日を月経開始から72時間、2月経周期摂取させたところ、主観的な月経痛が減少した (PMID:30396627)

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・メタボリックシンドロームの成人男女116名 (試験群58名、平均44.3±7.2歳、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、シナモン500 mg×6カプセル/日を16週間摂取させたところ、ウエストヒップ比、収縮期・拡張期血圧、空腹時血糖、HbA1c、LDL-C、TC、TGの低下とHDL-Cの上昇が認められた。一方、胴囲、体脂肪率、食後血糖値に影響は認められなかった (PMID:28606084)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
Cinnamomum cassiaの適切な摂取は、おそらく安全である (94) 。
・多量のCinnamomum cassiaの長期間にわたる摂取は、危険性が示唆されている (94) 。
・その他のシナモン (Cinnamomum verumCinnamomum sieboldiiなど) をサプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
Cinnamomum cassiaを含む製品の中には、クマリンを多く含むものがあり、肝機能障害が起こる可能性がある (94) 。
・東京都は、平成19年度に市販のシナモンスパイスやシナモンを含む食品中のクマリン量を調査し、スパイスや食品として摂取する条件ではクマリンは健康被害が生ずる量にはならないが、サプリメントから摂取すると耐容一日摂取量を超える可能性を指摘した (104) 。
・ドイツBfRがシナモンの多量摂取は健康リスクを否定できないとして注意喚起している (106) 。
Cinnamomum cassiaCinnamomum verumは有害事象として、皮膚や粘膜にアレルギー反応を起こす可能性がある (94) (58) 。
<妊婦・授乳婦>
Cinnamomum cassiaの妊娠中・授乳中における多量摂取に関する安全性については、十分なデータがないため使用を避ける (22) (94) 。ただし、香辛料として使用されている量の摂取はおそらく安全である (22) 。
<小児>
Cinnamomum cassiaの適切な摂取は、安全性が示唆されている (94) 。
<病者>
・2型糖尿病患者は、Cinnamomum cassiaにより低血糖を引き起こす可能性がある(94) 。
・肝疾患の患者は、多量のCinnamomum cassiaにより肝毒性を起こす可能性がある。また、少量のCinnamomum cassiaにより症状が悪化する可能性がある (94) 。
Cinnamomum cassiaは、血糖値に影響をおよぼす可能性があるため、外科的手術の2週間前までに摂取を中止した方がよい(94) 。
<被害事例>
・ケイヒを含む漢方薬製剤の服用中に皮疹の出た4症例 (71歳男性、62歳女性、48歳女性、53歳女性、日本) において、皮膚試験で桂皮の主成分であるcinnamic aldehydeにいずれも陽性を示した (1996140650) 。
・高血圧や2型糖尿病、軽度の酒さ (顔面、特に鼻や頬に対称的に生ずる慢性の炎症) などの既往歴のある68歳白人女性 (アメリカ) がシナモン油の錠剤500 mg/日を2週間摂取したところ、酒さの急激な悪化がみられた (PMID:18561592)
・漢方薬内服により蕁麻疹が出現した経験のある37歳女性 (日本) が、頭痛のためにケイヒを含む総合感冒薬を1包内服したとろ、直後より咽頭部の違和感、顔面の腫脹、全身の発赤、呼吸困難感が生じたため医療機関を受診。また、入院中にシナモンパンを摂取したところ、数時間後に体幹部に紅斑が出現した。内服した総合感冒薬に含まれる成分を用いてプリックテストを行ったところ、ケイヒのみが陽性であったため、ケイヒによるアナフィラキシーと診断された (2008184374) 。
・46歳女性 (日本) が肩こり、手足の冷え、後鼻漏、右側耳閉感、月経遅延のため桂枝茯苓丸と当帰四逆加呉茱萸生姜湯を6週間服用したところ、両太腿内側に強い痒感と微細な落宵を載せた紅斑面を生じた。休薬により改善したが、肩こりのため再び桂枝茯苓丸を服用したところ、痒感が再発したため当帰四逆加呉茱萸生姜湯に変更したが、症状の悪化がみられたため、両薬に共通するケイヒによる発疹と診断された (1997047298) 。
・左肩関節周囲炎の65歳男性 (日本) が左上腕の疼痛のため葛根加朮附湯を9週間服用したところ、軽度の肝機能障害が認められた。服用の中止により改善し、葛根加朮附湯去桂皮に変更したところ、肝機能障害は認められなかったため、ケイヒによる肝機能障害と考えられた (2017260518) 。
・25歳女性 (アメリカ) が、シナモンフレーバーのガムほぼ1パック (12粒) を数日間摂取したところ、接触口内炎を起こした (PMID:23431870)
・2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症の既往歴がある57歳女性 (日本) が、血糖値降下を期待してシナモンパウダーをティースプーン2杯 (約2 g) /日、1ヶ月半程度摂取したところ、健康診断にて血中肝酵素値の上昇が認められ、医療機関を受診。シナモンの摂取中止により回復したため、シナモンによる急性肝機能障害と診断された (2013159313) 。
・高血圧、糖尿病、うつ病、脂質異常症、逆流性食道炎、慢性腰痛、冠動脈疾患、ステント留置術の既往歴があり、ロスバスタチン、パロキセチン、アムロジピン (カルシウム拮抗薬) 、アスピリン (抗血小板薬) 、クロピドグレル (抗血小板薬) 、インスリン、ロサルタン (アンジオテンシンII受容体拮抗薬) 、メトプロロール (β遮断薬) 、パントプラゾール (消化性潰瘍治療薬) を服用中の73歳女性 (アメリカ) が、糖尿病の治療目的でシナモンサプリメントを1週間摂取したところ、嘔吐、下痢、右上腹部痛、胸痛、心窩部痛を生じ受診、Naranjo algorithm (有害事象と薬物の因果関係評価指標) は6 (probable) であったため、シナモンサプリメントが原因と考えられる急性肝炎と診断された (PMID:25923145)
・4年間、瞼の発疹を繰り返してきた58歳女性 (アメリカ) が、シナモン摂取を中止したところ改善した。数ヶ月後にシナモンを摂取した際に再発した (PMID:26172489)
・線維筋痛症の既往歴がある62歳女性 (カナダ) が、習慣的にシナモン漬けリンゴを夜食として摂取していたところ、2年間にわたって舌の灼熱感を経験し、先端部に紅斑、裏側の舌乳頭に萎縮が認められた。パッチテストでシナモンに含まれるシンナムアルデヒドに陽性を示し、夜食を中止したところ改善した (PMID:25984687)
・扁桃摘出術の既往歴がある24歳女性 (アメリカ) が、シュガーレスシナモンガム5パックを毎日噛んでいたところ、可動部の右外側辺縁に2ヶ月間治癒しない痛みを伴う潰瘍と白板症斑が出現し受診。扁平上皮癌と診断され、局所切除術により回復した (PMID:9663672)
・39歳女性 (ギリシャ) がシナモンパウダーを含む食品を摂取したところ、歯肉潰瘍と舌のチクチク感を感じ受診。パッチテストで陽性が示され、シナモンによるアレルギーと診断された (PMID:28960274)
・アトピーの既往歴とシャワージェル、ヘアームースで皮膚炎の経験がある26歳女性 (ベルギー) が、ハーブティーを飲んだところ、腹部から腕、胸、足、太腿にかけて黄斑丘疹性発疹が出現し受診。パッチテストにより、フレグランスミックス、シンナミルアルコール、シンナマールが陽性であったため、大量のシンナマール含有ハーブティー摂取による全身性アレルギー性皮膚炎と診断された (PMID:28872206)

禁忌対象者

・妊娠中は、医療従事者監督下以外での多量のCinnamomum cassiaCinnamomum verumが使用禁忌 (22) 。
・シナモンもしくはペルーバルサムのアレルギーの人のはCinnamomum cassiaCinnamomum verum使用禁忌 (58) 。

医薬品等との
相互作用

<動物・試験管内>
・動物実験 (ラビット、ラット) において、ケイヒの摂取はピオグリタゾン (血糖降下薬:CYP2C8、2C9、3A4基質) の血中濃度 (AUC) を増加させた (PMID:28176623)
・in vitro試験 (ラット肝ミクロソーム、ヒト肝ミクロソーム) において、ケイヒより抽出したo-methoxycinnamaldehyde (OMCA) は、CYP1A2、CYP2E1活性を阻害した (2003034853) 。
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、Cinnamomum cassiaCinnamomum verumがCYP3A4、CYP2C9活性を阻害した (2011238666) 。
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、ケイヒはCYP3A4、CYP2D6活性を阻害した (2004243885) 。
・in vitro試験 (ヒト由来ケラチノサイト細胞) において、Cinnamomum cassia はCYP1A1の活性を阻害した (PMID:27720465)
<理論的に考えられる相互作用>
・多量のCinnamomum cassiaと肝毒性を有するハーブやサプリメント (カバ、コンフリー、DHEAなど) 、肝毒性薬物との併用は肝機能障害を誘発する可能性がある (94) 。
Cinnamomum cassiaと血糖低下作用のあるハーブやサプリメント、糖尿病治療薬との併用は、血糖低下作用を強める可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1. TDLo (最小中毒量)
・シナモン粗抽出物を投与:ラット経口 (間欠的) 352 mL/kg/44日 (91) 。
Cinnamomum cassia樹皮抽出物を投与:マウス経口 (間欠的) 19.6 g/kg/4週 (91) 。
Cinnamomum cassia小枝精油を投与:マウス経口 15 g/kg (91) 。
Cinnamomum zeylanicum樹皮エタノール抽出物を投与:マウス経口 200 mg/kg (91) 。
Cinnamomum zeylanicum水抽出物を投与:マウス経口 (間欠的) 15 g/kg/60日 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

Cinnamomum verum樹皮:クラス2b (22) 。
Cinnamomum cassia樹皮:クラス2b (22) 。
ただし、これらは治療に用いられる場合であって、香辛料としての摂取においては直接当てはまらない (22) 。

総合評価

安全性

Cinnamomum cassiaの適切な摂取はおそらく安全である。
・多量のCinnamomum cassiaの長期間にわたる摂取は、危険性が示唆されている。
・その他のシナモン (Cinnamomum verumCinnamomum sieboldiiなど) をサプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
・シナモンもしくはペルーバルサムのアレルギーの人は使用禁忌。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) は、食欲不振、消化管の軽度けいれんといった消化不良、腹部膨満、鼓腸に対するCinnamomum cassiaCinnamomum verumの使用を承認している。
Cinnamomum cassiaにおいて糖尿病に有効性が示唆されている。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(101) J Chromatogr. 1988; 447(1): 272-6.
(102) 岐阜県衛生研究所報. 1992; 37: 24-30.
(PMID:3693489) J Chromatogr. 1987; 409: 365-70.
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(2003034853) Drug Metabolism and Pharmacokinetics. 2002;17:229-236
(1996140650) 皮膚科の臨床. 1995; 37(5): 715-719
(PMID:17392542) Diabetes Care. 2007 Apr;30(4):813-6.
(PMID:17909085) Diabetes Care.2008 Jan;31(1):41-3.
(PMID:18561592) J Drugs Dermatol. 2008 Jun;7(6):586-7.
(PMID:16549460) J Nutr. 2006 Apr;136(4):977-80.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(PMID:20853872) J Agric Food Chem. 2010 Oct 13;58(19):10568-75.
(PMID:21480806) J Med Food. 2011 Sep;14(9):884-9.
(PMID:21843614) J Ethnopharmacol. 2011 Oct 11; 137(3):1328-33.
(2008184374) 西日本皮膚科.2008;70(2):180-2.
(PMID:22579946) Clin Nutr. 2012 Oct;31(5):609-15.
(2013159313) 医学と薬学.2012;68(4):721-6.
(PMID:23431870) Dent Today. 2013 Feb;32(2):82, 84; quiz 86-7.
(PMID:24716174) J Tradit Complement Med. 2013 Jul;3(3):171-4.
(PMID:24461315) Nutr Res. 2014 Feb;34(2):143-8.
(PMID:25923145) Am J Case Rep. 2015 Apr 29;16:250-4.
(94) Natural Medicines
(PMID:26172489) Dermatitis. 2015 Jul-Aug;26(4):189.
(PMID:27000311) Cochrane Database Syst Rev. 2016 Mar 22;3:CD002124.
(PMID:25984687) Dermatitis. 2015 May-Jun;26(3):116-21.
(PMID:28176623) Curr Clin Pharmacol. 2017;12(1):41-49.
(PMID:29250843) Phytother Res 2018 32(2) 276-83
(PMID:28885566) Nutrients. 2017 Sep 8;9(9). pii: E991.
(PMID:30396627) Complement Ther Clin Pract. 2018 Nov;33:56-60.
(58) The Complete German Commission E Monographs
(105) 新版日本食品大事典 医歯薬出版株式会社
(104) シナモン含有食品中のクマリンについて 東京都福祉保健局
(106) Frequently Asked Questions about coumarin in cinnamon and other foods ドイツBfR
(2011238666) Biological & Pharmaceutical Bulletin. 2010;33(12),1977-82
(2017260518) 日本東洋医学雑誌.2017;68巻別冊:411
(PMID:24019277)Ann Fam Med. 2013 Sep-Oct;11(5):452-9
(PMID:30603255) Diabetol Int. 2015 Jul 9;7(2):124-132.
(PMID:16634838) Eur J Clin Invest. 2006 May;36(5):340-4.
(PMID:28606084) Lipids Health Dis. 2017 Jun 12;16(1):113.
(PMID:25249234) BMC Complement Altern Med. 2014 Sep 23;14:351.
(PMID:27720465) J Dermatol Sci. 2017 Jan;85(1):36-43
(2004243885) Journal of Traditional Medicines.2004;21(1):42-50
(1997047298) 神奈川医学会雑誌.1996; 23(2):400

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.