健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

チェストツリー 、イタリアニンジンボク、セイヨウニンジンボク [英]Chaste tree、Monk's pepper tree、Indian spice、hemp tree、sage tree、wild pepper [学名]Vitex agnus-castus L.

概要

チェストツリーは南ヨーロッパ、アジア西部原産の落葉低木で、木全体に香気をもつ。種子、果実はコショウの代用、香料として利用されてきた。


●有効性
俗に、「ホルモンのバランスを整える」「バストアップに効果がある」「不妊症に効果がある」などと言われるが、信頼できる十分な情報が見当たらない。月経前症候群 (PMS) と月経前不快気分障害 (PMDD) に対してのみ有効性が示唆されている。


●安全性
果実 (チェストベリー) の抽出物を適切に摂取する場合おそらく安全であるが、妊娠中や授乳中の摂取は危険性が示唆されているため避ける。



▼他の素材はこちら



法規・制度

・全草は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・精油 (pinen、cineol、limonenなど) 、フラボノイド類、イリドイド配糖体、ジテルペンなどを含む (94) 。

分析法

-

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

一般情報
・月経前症候群 (PMS) と月経前不快気分障害 (PMDD) に対して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2016年1月までを対象に10のデータベースで検索できた無作為化比較試験14報について検討したメタ分析において、月経前症候群または月経前不快気分障害の女性によるチェストツリーの摂取は、月経前症候群の症状 (8報) 、抑うつ (5報) 、不安 (2報) の軽減との関連は認められたが、いずれも試験によるばらつきが大きかった (PMID:28237870)
RCT
・月経前症候群の女性128名 (試験群62名、平均30.77±4.37歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、チェストツリー抽出物を40滴/日、月経6日前から月経までの間、6月経周期摂取させたところ、頭痛、落ち込み、胸部の張りなどの症状の自己評価 (VAS) の軽減が認められた (PMID:22359078)
・月経前症候群の女性170名 (試験群86人、平均37±8.4歳、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、チェストツリーの果実エキス剤20 mg/日を3月経周期間摂取させたところ、月経前症候群の10段階自己評価において6項目中5項目で改善が認められたが、1項目 (膨満感など) に影響は認められなかった (PMID:11159568)
・健康な女性29名 (試験群15名、平均39.1±6.8歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ハーブティー (チェストツリー果実、トウツルキンバイ、ハゴロモグサ、アンゼリカ、ラズベリー葉、ウイキョウなどを含む) 250 mL×2回/日を12週間摂取させたところ、症状判定の17項目中2項目 (月経前の食欲不振、便秘) に改善が認められたが、血清ホルモン濃度や血液検査値に影響は認められなかった (2018145806) 。
・更年期症状のある女性351名(試験群76名、平均52.2±2.5歳、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、マルチ植物サプリメント(ブラックコホシュ200 mg、アルファルファ400 mg、チェストツリー200 mg、ザクロ400 mg、トウキ400 mg、Chamaelirium luteum 200 mg、リコリス200 mg、オーツ400 mg、シベリアニンジン400 mg /日を含む) を1年間摂取させたところ、膣症状、月経周期、ホルモン状態に影響は認められなかった (PMID:18257142)
・更年期症状のある閉経後の女性100名 (試験群50名、平均51.9±4.3歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、セントジョーンズワート900 mg/日とチェストツリー1,000 mg/日を16週間摂取させたところ、ホットフラッシュやその他の更年期症状、QOLに影響は認められなかった (PMID:18791483)

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

一般情報
・特定のチェストツリー製品と酸化マグネシウムの併用は、骨折に対して効果がないことが示唆されている (94) 。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

・in vitroで乳がん、卵巣がん、子宮頚がん、胃がん、肺がん、大腸がん細胞の増殖を抑えた(PMID:10523716) (PMID:12520164) (PMID:11975496)



安全性

危険情報

<一般>
・果実の抽出物は、適切に摂取する場合おそらく安全である (94) 。
・摂取により、胃腸の不調、頭痛、下痢、吐き気、痒み、蕁麻疹、発疹、ニキビ、不眠、体重増加、不正出血が起こる可能性がある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中、授乳中の摂取は、危険性が示唆されている。ホルモンに影響を及ぼす可能性があるため、避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<病者>
・ホルモン感受性がんの人は、エストロゲンレベルに影響を与える可能性がある (94) 。
・パーキンソン病、統合失調症の人は、治療を妨げる可能性がある (94) 。
<その他>
・体外受精を行っている女性は、妊娠を妨げる可能性がある (94) 。
<被害事例>
・18歳女性 (アイルランド) が、2年間の稀発月経と9ヶ月の無月経、乳汁漏出を呈したため受診し、高プロラクチン血症が認められた。代替治療の専門家から勧められたチェストツリー製剤 (「Agnolyt」) を毎朝15滴、3ヶ月間摂取したところ、月経再開と血清プロラクチン値は低下したが、MRI検査により下垂体微小腫瘍がみつかった。チェストツリーの摂取は下垂体腫瘍の診断基準である血清プロラクチン値を低下させ、診断を誤らせる可能性が示唆された (PMID:17298863)
・卵管性不妊症の既往歴を持ち、不妊治療中の32歳女性 (イギリス) が、早期卵胞期にチェストツリーを含むハーブ製品を摂取し、体外授精を行ったところ、軽度の卵巣過剰刺激症候群の症状を示した (PMID:7989506)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<動物・試験管内>
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、チェストツリー果実エタノール抽出物はCYP1A1、CYP2C9活性に影響を及ぼさなかった。一方、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害した (PMID:21213356)
<理論的に考えられる相互作用>
・ドパミン拮抗薬、メトクロプラミド (健胃薬) 、統合失調症治療薬との併用は、その作用を弱める可能性がある (94) 。
・ドパミンアゴニスト (パーキンソン病治療薬) との併用は、作用を強める可能性がある (94) 。
・経口避妊薬やエストロゲンとの併用は、作用を減弱させる可能性がある(94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

・果実(液果):クラス1 (22) 。

総合評価

安全性

・果実の抽出物を適切に摂取する場合、おそらく安全である。
・妊娠中、授乳中の摂取は危険性が示唆されているため避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・月経前症候群 (PMS) と月経前不快気分障害 (PMDD) に対して有効性が示唆されている。
・特定のチェストツリー製品と酸化マグネシウムの併用は、骨折に対して効果がないことが示唆されているが、さらなる検証が必要である 。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(58) The Complete German Commission E Monographs
(PMID:11159568) BMJ. 2001; 322:134-7
(PMID:10523716) Oncol Rep. 1999; 6(6):1383-7
(PMID:12520164) Biol Pharm Bull. 2003; 26(1):10-8
(PMID:11975496) J Nat Prod. 2002; 65(4):537-41
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(PMID:18257142) Menopause. 2008; 15(1):51-8
(PMID:18791483) Menopause. 2009; 16(1):156-63
(PMID:22359078) Acta Med Iran. 2012; 50(2):101-6
(94) Natural medicines
(PMID:28237870) Am J Obstet Gynecol. 2017; 217(2):150-166
(PMID:17298863) Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2008; 137(2):257-8
(34) 有用植物和・英・学名便覧 北海道大学図書刊行会 由田宏一
(101) 基原植物事典
(2018145806) 先端医療と健康美容2017; 4(1):22-35
(PMID:7989506) Hum Reprod. 1994; 9(8):1469-70
(PMID:21213356) Phytother Res. 2011 Jul;25(7):983-9.

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.