健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

カルノシン [英]Carnosine [学名]-

概要

カルノシンは、 イミダゾールジペプチドのひとつで、β-アラニンとL-ヒスチジンが結合したジペプチドである。動物の骨格筋などで見られ、鶏肉抽出物を用いた健康食品が販売されている。


●有効性
俗に、「疲労回復によい」「運動パフォーマンス向上によい」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。


●安全性
適切に摂取した場合、安全性が示唆されているが、妊娠中・授乳中の摂取は、信頼できる十分な情報が見当たらないため、自己判断での摂取を控えること。低血圧患者の摂取は、血圧が低くなりすぎる可能性がある。







法規・制度

■食薬区分
「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」にも該当しない。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・分子式C9H14N4O3、分子量226.24 (32) 。

分析法

・ヒト筋肉中のカルノシンをNMRで非侵襲的に分析した報告がある (PMID:15448119)

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2019年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験4報 (検索条件:期間≧2週間) について検討したメタ分析において、カルノシンの摂取は、糖代謝マーカー (HbA1c (2報)) の低下と関連が認められたが、ばらつきが大きかった。一方、糖代謝マーカー (空腹時血糖 (3報) 、HOMA-IR (2報)) 、血中脂質 (TG (4報) 、コレステロール (3報) 、HDL-C (2報)) との関連は認められなかった (PMID:31987255)
RCT
・自閉症スペクトラム障害の子ども36名 (試験群18名、平均8.92±2.74歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、カルノシン500 mg/日を2ヶ月間摂取させたところ、酸化ストレスマーカー (MDA、ヒドロキシノネナール) 、AGEs (メチルグリオキサール、カルボキシメチルリジン、ペントシジン) に影響は認められなかった (PMID:30089410)
・肥満または過体重の成人24名 (試験群13名、平均42±6歳、オーストラリア) を対象とした二重無作為化プラセボ対照試験において、カルノシン1 g×2回/日を12週間摂取させたところ、血中脂質24項目中2項目 (ホスファチジルコリン、遊離コレステロール) の増加、1項目 (トリヘキソシルサーミド) の低下抑制が認められた (PMID:29234057)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

RCT
・肥満または過体重の成人26名 (試験群15名、平均42±7歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、カルノシン1 g×2回/日を12週間摂取させたところ、糖代謝マーカー (空腹時インスリン、HOMA-IR、HOMA -β) 増加の抑制が認められた。一方、糖代謝マーカー (空腹時血糖、OGTT2時間血糖値) 、血中脂質 (TG、TC) 、体重、BMI、ウエスト径、体脂肪率、呼吸商、安静時代謝、収縮期血圧、拡張期血圧、炎症マーカー (アディポネクチン、高感度CRP) 、高脂肪食嗜好スコア、単位時間当たりの歩数に影響は認められなかった (PMID:27040154)

生殖・泌尿器

RCT
・1型糖尿病で糖尿病性腎症の小児患者85名 (9〜18歳、試験群43名、エジプト) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ACE阻害薬とともにL-カルノシン500 mg×2回/日を12週間摂取させたところ、糖代謝マーカー (空腹時血糖、HbA1c) 、血中脂質 (TG、TC) 、腎機能マーカー (尿中アルブミン/クレアチニン比、α1マイクログロブリン) 、酸化ストレスマーカー (MDA) の低下、血中脂質 (HDL-C) 、総抗酸化能の上昇が認められた (PMID:28744992)

脳・神経・
感覚器

RCT
・自閉症スペクトラム障害の小児患者43名 (試験群21名、平均8.59±2.77歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、L-カルノシン500 mg/日を2ヶ月間摂取させたところ、イラン版子どもの睡眠習慣質問票の総睡眠障害スコア、下位8項目中2項目 (睡眠時間、睡眠時随伴症) のスコア低下が認められた。一方、症状の重症度 (ジリアム自閉症評価尺度) 、身長、体重、BMIに影響は認められなかった (PMID:29430839)
・ハミルトンうつ病評価尺度スコアが≧19の大うつ病性障害患者52名 (試験群26名、平均34.76±6.00歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、シタロプラム (うつ病治療薬) による治療とともに、L-カルノシン400 mg×2回/日を6週間摂取させたところ、ハミルトンうつ病評価尺度スコアの低下、寛解率の上昇が認められた (PMID:32063564)
・注意欠如・多動症 (ADHD) の小児患者50名 (試験群25名、平均9.12±2.18歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、メチルフェニデート (うつ病治療薬) による治療とともに、L-カルノシン800 mg/日を8週間摂取させたところ、8週間を通してADHD評価指標 (ADHD-RS) の親による評価の総合スコア、下位2項目中1項目 (不注意症状スコア) の改善が認められた。一方、ADHD-RSの教師による評価に影響は認められなかった (PMID:29469593)
・中程度から重度の強迫性障害患者44名 (試験群22名、平均33.45±13.83歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、メチルフェニデート (うつ病治療薬) による治療とともに、L-カルノシン500 mg×2回/日を10週間摂取させたところ、強迫観念・強迫行為の評価 (Y-BOCS) の総合スコア、下位2項目中1項目 (強迫衝動スコア) の低下が認められた。一方、その他の項目 (強迫観念) に影響は認められなかった (PMID:28485008)
・自閉症スペクトラム障害の子ども42名 (試験群21名、平均8.24±2.22歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、リスペリドン (抗精神病薬) を最大2 mgとともに、L-カルノシン400 mg×2回/日を10週間摂取させたところ、ADHD症状評価 (異常行動チェックリスト-コミュニティ) の5項目中1項目 (多動) の低下が認められた。一方、その他の項目 (興奮性、無気力、常同行動、不適切な言動) に影響は認められなかった (PMID:29027815)
・自閉症スペクトラム障害の小児患者31名 (試験群14名、平均85.69±24.57ヶ月、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、L-カルノシン400 mg×2回/日を8週間摂取させたところ、ADHD症状評価 (ジリアム自閉症評価尺度、Receptive One-Word Picture Vocabularyテスト) スコアの改善が認められた。一方、臨床的総合印象、小児自閉症評定尺度に影響は認められなかった (PMID:12585724)
・統合失調症患者60名 (試験群30名、平均43.67±8.78歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、リスペリドン (抗精神病薬) による治療とともに、L-カルノシンを最初の5日間 500 mg/日、6〜10日目500 mg×2回/日、11日目から8週目まで1,000 mg×2回/日を摂取させたところ、精神状態評価 (PANSS) の総合スコア、陰性尺度スコアの増加が認められた。一方、PANSSの陽性尺度スコア、総合精神病理尺度スコア、その他の症状評価 (錐体外路症状の評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度) に影響は認められなかった (PMID:29427913)
・統合失調症患者70名 (試験群33名、平均46.6±8.5歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、通常の治療とともにL-カルノシンを1週目 500 mg/日、2週目500 mg×2回/日、3週目1,500 mg/日、4〜12週目1,000 mg×2回/日を摂取させたところ、神経認知機能評価 (セットシフティング) 7項目中2項目 (開始模倣反応時間、終了模倣反応時間) の短縮、(戦略的目標検出テスト) 2項目中1項目 (戦略的効率) のスコア上昇が認められた。一方、その他の神経認知機能評価 (タップ速度テスト、単語記憶テスト、ワーキングメモリ、連続パフォーマンステスト、聴覚性数唱テスト) に影響は認められなかった (PMID:23099060)

免疫・がん・
炎症

RCT
・肥満または過体重で坐位が多い成人22名 (平均43.4±8.1歳、試験群13名、オーストラリア) を対象とした二重無作為化プラセボ対照試験において、カルノシン1 g×2回/日を12週間摂取させたところ、炎症マーカー (レジスチン) の低下が認められた。一方、炎症マーカー (アディプシン、レプチン) に影響は認められなかった (PMID:30205427)

骨・筋肉

RCT
・運動選手の男性12名 (平均21.6±2.2歳、ベルギー) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、運動テスト開始35分前にカルノシン20 mg/kg体重を単回摂取させたところ、運動開始前の血中重炭酸濃度の増加が認められた。一方、運動後の血液pH、血中乳酸塩、重炭酸濃度、運動パフォーマンスに影響は認められなかった (PMID:24408989)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

-



安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
・摂取により、発疹、口渇、食欲や体重の変化、足関節の痛み、眠気などを引き起こす可能性がある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・信頼できる十分な情報が見当たらないため、自己判断での摂取を控えること (94) 。
<小児>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
<病者>
・低血圧患者の摂取は、血圧が低くなりすぎる可能性がある (94) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・降圧剤や血圧降下作用のあるハーブやサプリメントとの併用は、低血圧をもたらす可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・カルノシンを投与:マウス経口>14.93 g/kg (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・カルノシンを投与:ラット経口158.4 mg/kg、316.8 mg/kg、 (継続的) 0.84 mg/kg/2週、マウス経口 (継続的) 2.1 g/kg/3週 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている。
・摂取により、発疹、口渇、食欲や体重の変化、足関節の痛み、眠気などを引き起こす可能性がある。
・妊娠中、授乳中の摂取は、信頼できる十分な情報が見当たらないため、自己判断での摂取を控えること。
・低血圧患者の摂取は、血圧が低くなりすぎる可能性がある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・信頼できる十分な情報が見当たらない。

参考文献

(32) 生化学辞典 東京化学同人
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(94) Natural Medicines
(101) 機能性ペプチドの最新応用技術 CMC出版 有原圭三 監修
(102) 生物学辞典 東京化学同人
(PMID:15448119) J Appl Physiol (1985). 2005 Jan;98(1):282-7.
(PMID:24408989) J Appl Physiol (1985). 2014 Mar 1;116(5):553-9.
(PMID:30205427) Nutrients. 2018 Sep 7;10(9):1258.
(PMID:30089410) Ann Clin Biochem. 2019 Jan;56(1):148-154.
(PMID:29430839) Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2018 Jul;123(1):72-77.
(PMID:29234057) Sci Rep. 2017 Dec 12;7(1):17458.
(PMID:27040154) Obesity (Silver Spring). 2016 May;24(5):1027-34.
(PMID:32063564) J Affect Disord. 2020 Apr 15;267:131-136.
(PMID:29469593) J Child Adolesc Psychopharmacol. 2018 Jun;28(5):331-338. Hum Psychopharmacol. 2017 Jul;32(4).
(PMID:28485008) Hum Psychopharmacol. 2017 Jul;32(4).
(PMID:28744992) Pediatr Diabetes. 2018 May;19(3):470-477.
(PMID:29027815) J Child Adolesc Psychopharmacol. 2018 Feb;28(1):74-81.
(PMID:12585724) J Child Neurol. 2002 Nov;17(11):833-7.
(PMID:29420997) Nutr Res. 2018 Jan;49:96-106.
(PMID:29427913) Psychiatry Res. 2018 Apr;262:94-101.
(PMID:23099060) Schizophr Res. 2012 Dec;142(1-3):145-52.
(PMID:31987255) Complement Ther Med. 2020 Jan;48:102241.

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.