注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
ケール 、ハゴロモカンラン [英]Kale [学名]Brassica oleracea L. var. acephala DC.
概要
ケールは、地中海原産とされるアブラナ科の野菜で、緑葉カンラン、羽衣カンランなどの異名もある。家庭でも栽培されるが、農作物としては若い葉が「青汁」などに使用されている。青汁には、ビタミン群、ミネラル類、酵素類、葉緑素、各種フラボノイドを多く含んでいる。ケールの中国語名は「葉牡丹」である。 ●有効性 俗に、「生活習慣病の予防に効果がある」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。 ●安全性 食品として摂取する場合はおそらく安全である。妊婦・授乳婦のサプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関しては、信頼できる十分な情報が見当たらない。 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 ・ケール (ハゴロモカンラン) 全草:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・たんぱく質、脂質、炭水化物、カルシウム、リン、ビタミンA、B1、B2、Cなどがキャベツに比べて豊富で食物繊維も多いが、ケール独特の成分は知られていない。
分析法
・アブラナ科野菜 (キャベツ類) の機能成分としてグルコシノレート、主にはシニグリン、グルコブラッシシンなどが注目されており酵素法による測定法が報告されている (PMID:10564014) (101) が、グルコシノレートはアブラナ科野菜に広く分布しており、ケール独特の成分は知られていない。 ・キャベツ特異的DNAマーカーにより、ケールとキャベツを区別する同定法を検討した報告がある (2005086848) 。 ・市販青汁製品中のビタミンKを、蛍光検出器を装着したHPLCで測定した報告がある (PMID:16729670) 。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に見当たらない。
消化系・肝臓
糖尿病・内分泌
メタ分析 ・食後血糖値が高めの成人19名 (平均45.5±15.4歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、米飯300 gとともにケール青汁粉末14 gを単回摂取させたところ、糖代謝マーカー (食後60分の血糖、血糖Cmax) 上昇の抑制が認められた。一方、糖代謝マーカー (食後30分、90分、120分の血糖、血糖AUC、食後30分、60分、90分、120分のインスリン) に影響は認められなかった (2015358739) 。
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
RCT ・非滲出型(ドライタイプ)加齢黄斑変性患者20名 (試験群10名、平均67±9歳、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ケール油抽出物含有飲料50 mL/日 (ルテイン10 mg+ゼアキサンチン3 mg含有) を4週間摂取させたところ、黄斑色素キサントフィル光学密度が増加した (PMID:24103519) 。
免疫・がん・炎症
一般情報 ・ケールやブロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科の野菜を豊富に摂取している人は、肺がん、胃がん、直腸がんなどを発症するリスクが低いという科学的根拠が報告されているが、さらなる実証が必要である (94) 。
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
RCT 【機能性表示食品】 乾燥肌の成人61名 (試験群30名、平均43.9±8.8歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ケール粉末青汁8 g (グルコラファニン20 mg含有) /日を12週間摂取させたところ、頬の皮膚水分量、経表皮水分蒸散量に影響は認められなかった (2019209060) 。
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
<一般> ・食品として摂取する場合はおそらく安全である (94) 。 <妊婦・授乳婦> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <被害事例> ・市販青汁製品の摂取者 (日本) の2.4%で便秘や軟便などの有害事象が起こったというアンケート結果が報告されている (2009027815) 。 ・53歳男性 (日本) がアキウコンと青汁 (ケール) を約1ヶ月間摂取し (摂取量不明) 、肝機能障害を発症、DLSTを行ったところ、青汁で陽性が認められたため、薬物性肝機能障害と診断された (2009006122) 。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
<動物・試験管内> ・動物実験 (ラット) において、ケール2,000 mg/kgを1週間経口摂取させたところ、CYP2E1、CYP2C9に影響は与えなかったが、CYP3A4、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C19の遺伝子発現に影響を与えずに活性を阻害した (PMID:22975634) 。 <理論的に考えられる相互作用> ・アセトアミノフェン (解熱鎮痛薬) やオキサゼパムと併用すると、同薬剤の代謝を早め、血中濃度を下げることがある (PMID:6692645) 。
動物他での 毒性試験
AHPAクラス分類 及び勧告
・参考文献中に記載なし (22) 。
総合評価
・十分なデータが見当たらない。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・十分なデータが見当たらない。
参考文献
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について) (101) Soil Sci. Plant Nutr. 2003 49(3):337-346. (PMID:10564014) J Agric Food Chem. 1999 Apr;47(4):1541-8. (PMID:6692645) Clin Pharmacol Ther. 1984;35(2):161-9. (2005086848) Journal of Nutritional Science and Vitaminology. 2003; 49(5):357-64 (PMID:16729670) Shokuhin Eiseigaku Zasshi. 2006; 47(2): 85-8. (2009027815) 医療薬学. 2008: 34(7);644-50. (PMID:22975634) Biomed Res. 2012;33(4):235-42. (PMID:24103519) Nutrition. 2013 Nov-Dec;29(11-12):1412-7. (22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳 (94) Natural Medicines (2009006122) 日本農村医学会雑誌. 2008; 57(3):529. (2015358739) 薬理と治療. 2015;43(8):1157-63. (2019209060) 薬理と治療. 2018;46(11):1883-93.