健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

オリーブ葉抽出物 [英]Olive leaf extract [学名]Olea europaea L. 、Olea sativa Hoffmanns. Et Link

概要

オリーブ葉抽出物は、オリーブの葉の抽出物であり、健康食品の素材として利用されている。


●有効性
俗に、「コロナウイルス感染症を予防する」「風邪やインフルエンザを予防する」「生活習慣病のリスクを低減させる」などと言われているが、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは十分ではない


●安全性
適切に摂取する場合、安全性が示唆されている。妊娠中・授乳中・小児においては、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。


オリーブ、オレイフの情報はこちらを参照

▼他の素材はこちら



法規・制度

■食薬区分
・葉、花、果肉油:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

■食品添加物
・一般飲食物添加物
 オリーブ茶:着色料、苦味料等

成分の特性・品質

主な成分・性質

・オレウロペイン、ルテオリン、ケルセチン、ヒドロキシオレウオペイン、ヒドロキシチロソールなどのフェノール化合物を含む (PMID:31137706)

分析法

・フェノール化合物を、HPLC ESI/MS-TOにより分析した報告がある (PMID:31137706)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・血圧が高めの男性60名 (平均45.3±12.7歳、ニュージーランド) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物10 mL×2回/日を6週間摂取させたところ、24時間および昼間血圧 (収縮期、拡張期) 、血中脂質 (TC、LDL-C、TG) の低下が認められた。一方、夜間血圧、HDL-C、PWV、糖代謝マーカー (空腹時血糖、インスリン、HOMA-IR、QUICKI、フルクトサミン) 、炎症マーカー (酸化LDL、CRP、ICAM、VCAM、P-セレクチン、E-セレクチン、アディポネクチン) に影響は認められなかった (PMID:26951205)
・血圧が高めの成人37名 (平均58.5±10.7歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物500 mg+グリーンコーヒー豆抽出物100 mg+サトウダイコン粉末150 mg含有タブレット2錠/日を6週間摂取させたところ、BMI、血圧 (診察室血圧、24時間血圧、昼間血圧、夜間血圧) 、心拍数、動脈伸展性、糖代謝マーカー (空腹時血糖、インスリン、HOMA-IR) 、血中脂質 (TG、HDL-C、LDL-C、TC、TC/HDL-C比) に影響は認められなかった (PMID:25379688)
・健康な成人18名 (19〜40歳、イギリス) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物1,600 mgを単回摂取させたところ、摂取後30分〜8時間の血管硬化度、摂取0、1、3、6時間後の炎症マーカー (IL-8) 低下が認められた。一方、炎症マーカー (IL-1β、IL-6、TNF-α、IL-10) に影響は認められなかった (PMID:26051429)
・運動選手の高校生29名 (試験群17名、平均16.5±0.5歳、ニュージーランド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、通常のトレーニングと食事とともに、オリーブ葉抽出物サプリメント (オリーブ葉20g相当、オレウロペイン100 mg含有) を1錠/日、2ヶ月間摂取させたところ、上気道疾患罹患日数の減少が認められた。一方、上気道疾患罹患率に影響は認められなかった (PMID:30744092)
・健康な成人13名 (22〜37歳、スペイン) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、高ヒドロキシチロソール含有ビスケット30 g (ヒドロキシチロソール5.25 mg含有) を単回摂取させたところ、摂取30分後と4時間後の酸化LDLの低下が認められた。一方、抗酸化マーカー (FRAP、ORAC、ABTS) に影響は認められなかった (PMID:27006237)
・コレステロール値が高めの過体重または肥満の成人77名 (試験群39名、平均56±11歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、朝食前にオリーブ葉抽出物500 mg/日を、8週間摂取させたところ、血中脂質 (TC、HDL-C、LDL-C、TG) に影響は認められなかった (PMID:33034707)
(PMID:33034707) Eur J Nutr. 2021 Jun;60(4):2111-2120.


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

RCT
・過体重の中年男性46名 (平均46.4±5.5歳、ニュージーランド) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物4カプセル/日 (オレウロペイン51.1 mg、ヒドロキシチロソール 9.7 mg含有) を12週間摂取させたところ、糖代謝マーカー (インスリン感受性、膵β細胞反応) の増加、糖代謝マーカー (糖負荷試験後30分、60分の血糖、糖負荷試験後60分のインスリン) 上昇の抑制、IGF-1結合タンパク-1、IGF-1結合タンパク-2、IL-6の増加が認められた。一方、炎症マーカー (IL-8、TNF-α、高感度CRP) 、血中脂質、血圧、体組成、頸動脈内膜中膜厚に影響は認められなかった (PMID:23516412)
・健康な成人女性11名 (平均20.4±1.29歳、イギリス) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物250 mg (オレウロペイン50 mg相当含有) ×3回/日を3週間摂取させたところ、糖負荷試験 (25 g/100 mL) における、試験後60分の糖代謝マーカー (血糖) の低下抑制が認められた。一方、糖代謝マーカー (最大血糖、血糖iAUC、空腹時血糖) に影響は認められなかった (PMID:31266155)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

RCT
・化学療法を受けているがん患者25名 (平均20.5±9.0歳、イラク) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物333 mg/mL含有口内洗浄液を3〜4回/日、14日間使用させたところ、口腔粘膜炎スケールの低下が認められた (PMID:24371380)
・高血圧患者60名 (試験群30名、平均53.8±8.0歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、オリーブ葉抽出物250 mg (ルテオリン0.62 mg、16%オレウロペイン含有) ×2回/日を12週間摂取させたところ、炎症マーカー (IL-6、IL-8、TNF-α) の低下が認められた。一方、糖代謝マーカー (空腹時血糖、インスリン、HOMA−IR、HOMA−β、QUICKI) 、肝機能マーカー (AST、ALT、ALP) 、腎機能マーカー (総タンパク質、アルブミン、尿酸、BUN、クレアチニン) 、炎症マーカー (オメンチン) に影響は認められなかった (PMID:31930845)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。



安全性

危険情報

<一般>
・運動選手の高校生29名 (試験群17名、平均16.5±0.5歳、ニュージーランド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、通常のトレーニングと食事とともに、オリーブ葉抽出物配合サプリメント (オリーブ葉20g中オレウロペイン100 mg含有) を1錠、2ヶ月間摂取させたところ、胃痛、頭痛、皮膚症状とにきびの悪化が認められた (PMID:30744092)
<妊婦・授乳婦>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。

<被害事例>
・消化性潰瘍による開腹術歴のある63歳男性 (シリア) が、糖尿病の治療目的でゆでたオリーブ葉を摂取したところ (摂取量、期間不明) 、植物胃石を生じ、小腸閉塞を起こした (PMID:24964455)
・花粉症の67歳女性 (ニュージーランド) が、2年前から摂取しているオリーブ葉抽出物サプリメント500 mg/日とともに、オリーブ乾燥葉5 g/日、ホースラディッシュ根、アイブライト含有サプリメントの摂取を開始したところ、気分の浮き沈みが激しく、涙もろい、怒りっぽい等、感情のコントロールができなくなり、摂取中止により改善した (PMID:27356258)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト症例>
・糖尿病モデル動物 (ラット) において、オリーブ葉抽出物とグリブリド (糖尿病治療薬:CYP2C9、CYP3A4基質) の8週間の併用は、グリブリドによる糖代謝マーカー (空腹時血糖、HbA1c、インスリン) 改善作用を増強させた (PMID:31885478)

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・葉80%エタノール抽出物を投与:ヒト経口 (間欠的) 800.8 mg/kg/8週、ラット経口 (間欠的) 1,500 mg/kg/30日 (91) 。
・Olea europaea L var. europaea葉浸出液を投与:マウス経口 (連続的) 29.4 g/kg/14週、58.8 g/kg/14週、88.2 g/kg/14週 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・適切に摂取する場合、安全性が示唆されている。
・妊娠中・授乳中・小児においては、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは十分ではない。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第1版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(29) 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(108) 学名でひく食薬区分リスト 薬事日報社 佐竹元吉 監修
(PMID:23516412) PLoS One. 2013;8(3):e57622.
(PMID:24371380) Saudi Dent J. 2013 Oct;25(4):141-7.
(PMID:24964455) J Surg Case Rep. 2013 Jul 23;2013(7).
(PMID:25379688) Nutrients. 2014 Nov 5;6(11):4881-94.
(PMID:27356258) N Z Med J. 2016 Apr 1;129(1432):86-7.
(PMID:26951205) Eur J Nutr. 2017 Jun;56(4):1421-1432.
(PMID:31137706) Molecules. 2019 May 24;24(10). Pii:E 1998.
(PMID:31930845) Pak J Biol Sci. 2019 Jan;22(7):342-8.
(PMID:26051429) Br J Nutr. 2015 Jil 14;114(1):75-83.
(PMID:31266155) Nutrients. 2019 Jul 1;11(7). Pii E 1505.
(PMID:30744092) Nutrients. 2019 Feb 9;11(2):358.
(PMID:27006237) Food Chem. 2016 Aug 15;205:248-56.
(PMID:31885478) Saudi Pharm J. 2019 Dec;27(8):1182-1195.
(PMID:33034707) Eur J Nutr. 2021 Jun;60(4):2111-2120.

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