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ヒ
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循環器・ 呼吸器

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一般情報
・心血管疾患の一次予防に対してβ-カロテンは無効ないしは有害である (25) 。また、虚血性心疾患リスクの高い患者の長期管理における役割は不明である (25) 。
・β-カロテン摂取は男性の喫煙者の脳卒中を予防するのには、効果がないことが示唆されている (94) 。男性の喫煙者の集団で合成のβ-カロテンを中央値で6年間摂り続けた場合、脳卒中の総発生率に対し何の効果もみられなかった (94) 。
・心臓病リスクや心臓血管病の死亡率を減少させるのにおそらく効果がない (94) 。心臓血管病歴のない男女に、毎日あるいは一日おきに50 mgのβ-カロテンを投与した結果、心臓血管が原因の死亡率に影響を与えなかった (94) 。
・男性の喫煙者で、食事のβ-カロテンは気管支炎や呼吸困難を予防するのに対して、有効性が示唆されている (94) 。
・β-カロテンの異性体の混合物の摂取で運動により誘導される喘息の予防に対して、有効性が示唆されている (94) 。
・β-カロテンの摂取は慢性閉塞性肺疾患の症状を軽減するのに対して、効果がないことが示唆されている (94) 。慢性閉塞性肺疾患の男性喫煙者の20 mg/日5〜8年間の摂取で、慢性的な咳、粘液、呼吸困難を軽減しなかった (94) 。
メタ分析
・2017年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験179報について検討したメタ分析において、β-カロテンサプリメントの摂取は、心血管疾患 (発症:3報、死亡:4報) 、冠動脈疾患 (2報、1報) 、心筋梗塞 (3報、1報) 、脳卒中 (3報、2報) のリスク、および総死亡率 (6報) との関連は認められなかった (PMID:29852980) 。
・2012年11月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験50報について検討したメタ分析において、ビタミンや抗酸化物質 (ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、β-カロテン、セレン) のサプリメント摂取は心血管疾患 (心筋梗塞、狭心症、脳卒中、一過性虚血発作) の発症および心血管関連死、心突然死のリスクとの関連は認められなかった (PMID:23335472) 。
・2012年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験15報について検討したメタ分析において、抗酸化ビタミンサプリメント (ビタミンE、β-カロテン、ビタミンCのいずれか、または組み合わせ) の摂取は主要心血管イベント (12報) 、心筋梗塞 (12報) 、脳卒中 (10報) の発症および心血管関連死 (13報) 、全死亡リスク (12報) との関連は認められなかった (PMID:23437244) 。
・2006年3月までを対象に、3つのデータベースで検索可能な無作為化比較試験16報をメタ分析したところ、ビタミンE、ビタミンC、β-カロテン、セレンの抗酸化物質および葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12のビタミンB群の投与はアテローム性動脈硬化症の進行との関連は認められなかった (PMID:17023716) 。
RCT
・心血管疾患の既往歴がある、もしくは心臓病リスクを3つ以上持つ40歳以上の女性8,171名 (アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、ビタミンCを1日500 mg、ビタミンEおよびβ-カロテンは1日おきにそれぞれ600 IU、50 mg平均9.4年間摂取させたところ、ビタミンEの摂取群のうち心血管疾患の既往歴がある者のみ、その後の心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血管再生術、心血管系死亡の発生率が低減したが、その他の群においては相対リスクは変化しなかった (PMID:17698683) 。
・健康なボランティア186名 (試験群100名、平均51±6歳、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、抗酸化物質 (1日にビタミンC 120 mg、ビタミンE 30 mg、β-カロテン 6 mg、セレン 100μg、亜鉛 20 mg)を2年間摂取させたところ、尿中の11-dehydro TXB2/2,3 dinor 6 keto PGF1α (血小板活性化の指標で冠状動脈性心疾患リスクと相関する) が低かった (PMID:17914127) 。
・血中ホモシステイン濃度が高めの男性132名 (30〜49歳、試験群99名、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ビタミンB群 (葉酸1 mg/日、ビタミンB6 7.2 mg/日、ビタミンB12 0.02 mg/日) と抗酸化ビタミン(ビタミンC 150 mg/日、ビタミンE 67 mg/日、β-カロテン 9 mg/日) をどちらか、または併用で8週間摂取させたところ、血中の非対称型ジメチルアルギニン (ADMA:内因性一酸化窒素合成酵素阻害物質) やCRPの濃度に影響は認められなかった (PMID:20401662) 。
・男性喫煙者29,133名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験の二次解析において、2型糖尿病患者1,700名 (試験群1,294名、50〜69歳、フィンランド) によるビタミンE (50 mg/日) 、β-カロテン (20 mg/日) の平均約6.1年間の単独摂取または併用は、19年後までの大血管疾患発症リスクや死亡率に影響は認められなかった (PMID:20350251) 。
その他
・38名の運動誘発性喘息患者 (平均16.3歳、イスラエル) を対象とした比較試験において、9-cis型を主とするβ-カロテンを64 mg/日、7日間摂取させたところ、摂取前と比較して20名では7分間トレッドミルで走行後の1秒間努力呼気容量 (FEV1) の低下が抑制されたという予備的な報告があるが、この現象についてはさらなる検証が必要である (PMID:10400482) 。
・HDLコレステロールが40 mg/dl以下で、フィブレートによる投薬治療を行っている24〜65歳の男性患者22人 (試験群11名、平均47.2±3.2歳、イスラエル) を対象とした比較試験において、β-カロテン(all-trans:9-cis=1:1) 60 mg/日、6週間投与したところ、投与前と比較してHDL-Cが上昇し、TGレベルが低下したという予備的な報告がある (PMID:16413556) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。

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消化系・肝臓
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メタ分析
・2011年1月までを対象に、6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、肝臓病患者によるβ-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質の摂取は、全死亡率や肝臓疾患による死亡率との関連は認められなかった (PMID:21412909) 。
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糖尿病・ 内分泌
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その他
・オーストラリアの横断的な疫学研究において、耐糖能異常、2型糖尿病と血清カロテノイド濃度に負の相関が報告されている (PMID:16155284) 。
・糖尿病患者20人と健康な人20人 (イスラエル) を対象とした比較試験においてβ-カロテンを60 mg/日、3週間投与すると、投与前と比較して血清グルタチオン、赤血球のグルタチオンとGPx、血漿β-カロテンの上昇を認めたとの予備的な報告がある (PMID:10970993) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。
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生殖・泌尿器
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一般情報
・栄養失調の女性における産婦死亡率の減少に有効性が示唆されている (94) 。
・栄養失調の女性における妊娠時の夜盲症、下痢、発熱などの発症の減少に有効性が示唆されている (94) 。
・栄養失調の女性の胎児や乳児死亡率を減少させるのに、効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2011年6月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験17報について検討したメタ分析において、妊娠中のビタミンAまたはβ-カロテンの摂取は、妊娠中の貧血リスク低下 (6報) と関連が認められたが、胎内発育遅延児 (2報) 、低出生体重児 (5報) 、極低出生体重児 (2報) 、早産 (34週未満:2報、37週未満:7報) 、母体死亡 (3報) 、新生児死亡 (4報)、乳児および新生児死亡 (5報) 、HIV母子感染 (3報) のリスクとの関連は認められなかった (PMID:22742601) 。
RCT
・栄養失調の妊娠の可能性のある女性44,646名 (12〜45歳、試験群29,841名、ネパール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、妊娠前からレチノール7000μg等量/週のビタミンA (レチニル酢酸23,300IU/週) またはβ-カロテン (42 mg/週) を約3年間摂取させたところ、いずれの群において妊娠による母体の死亡率 (PMID:10037634) 、産後の下痢と発熱の発症率 (PMID:11053506) の低下が認められたが、胎児や24週齢までの乳児の死亡率に影響は認められず (PMID:10837300) 、ビタミンA摂取群でのみ、妊娠中の夜盲症の発症率の低下(PMID:9732305)、子どもの9〜13歳時における肺活量 (FEV(1)、FVC) の増大 (PMID:20463338) が認められた。
・栄養失調の妊娠中の女性59,666名 (13〜45歳、試験群39,804名、バングラデシュ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、妊娠中から出産後12週まで、レチノール7,000μg/週またはβ-カロテン42 mg/週を摂取させたところ、母体、胎児、乳児の死亡率に影響は認められなかった (PMID:21586714) 。
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脳・神経・ 感覚器
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一般情報
・老人性黄斑変性症 (ARMD) を防ぐのに対して、有効性が示唆されている (94) 。β-カロテンに富んだ食事を摂っている人では老人性黄斑変性症になるリスクが低い可能性がある (94) 。また、他の抗酸化ビタミンと亜鉛を組み合わせてβ-カロテンを摂取した場合、老人性黄斑変性症の進行を遅らせるのに対して、有効性が示唆されている (94) 。β-カロテン15 mgとビタミンC 500 mg、ビタミンE 400 IUおよび亜鉛80 mgを毎日摂取すると、中程度および進行した老人性黄斑変性症患者において視力を失うリスクを27%、病状をさらに進行させるリスクを28%減少させた。ただし、それほど進行していない老人性黄斑変性症、またはその予防に対してのこの組み合わせの効果については、十分な証拠が得られていない。また亜鉛を含まない、β-カロテンと抗酸化物のサプリメントではこのような有意な効果はない (94) 。
・他の抗酸化ビタミンと亜鉛を組み合わせてβ-カロテンを摂取した場合、白内障に対して効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2013年4月までを対象に2つのデータベースで検索できた疫学研究8報について検討したメタ分析において、ビタミンA (3報) 、α-カロテン (2報) 、β-カロテン (6報) 、β-クリプトキサンチン (3報) 、ルテイン (4報) 、リコピン (3報) の摂取量はパーキンソン病リスクとの関連は認められなかった (PMID:24356061) 。
・2007年2月までを対象に7つのデータベースで検索出来た無作為化臨床試験 (RCT) および前向きコホート試験12報についてのメタアナリシスにおいて、抗酸化物質 (ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン) の食事摂取量と早期加齢性黄斑変性症の発症との関連は認められなかった (PMID:17923720) 。
RCT
・健康な男性医師22,071名 (40〜84歳、アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、β-カロテンを隔日50 mg摂取させ12年間追跡調査したところ、加齢性黄斑変性の発症率に変化はなかった (PMID:17353403) 。
・健康な成人75名 (試験群50名、平均36.6歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ゼアキサンチン5 mg/日+ルテイン10 mg/日またはβ-カロテン15 mg/日を8週間摂取させたところ、黄斑色素レベル、血清中の炎症マーカー (ICAM-1、VCAM-1、CRP) 、および尿中の酸化マーカー (イソプロスタン) に影響は認められなかった (PMID:22313522) 。
・65歳以上の男性5,956名 (アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、β-カロテン50 mg/日を1日おきに摂取させた結果、平均1年間の短期摂取では認知機能に影響は認められなかったが、平均18年間の長期摂取では認知機能テストの結果が良好であった (PMID:17998490) 。
・健康な高齢女性220名 (平均63歳、試験群111名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ビタミンサプリメント (ビタミンC 150 mg、ビタミンE 36 mg、ビタミンB1 2.4 mg、ビタミンB2 3.2 mg、ビタミンB6 3.4 mg、ビタミンB12 9μg、ナイアシン 34 mg、パントテン酸 16 mg、ビオチン 200μg、葉酸 400μg、カロテン 9 mg、マグネシウム 50 mg、セレン 60μg含有) を6ヶ月間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:15917019) 。
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免疫・がん・ 炎症
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<がん>
一般情報
・がんの発生率や死亡率との関連についての報告があるが、現現時点ではポジティブな (有効性があるとする) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。個々の情報は以下の通り。
≪がんの発生率や死亡率の抑制効果との関連が示唆されたという報告≫
一般情報
・β-カロテンは更年期前の女性の乳がんの予防に対し、有効性が示唆されている (94) 。β-カロテンに富んだ食事は家族歴やアルコール高摂取などの高リスク因子を持つ女性のリスクを減少させるという人での知見がいくつかある (94) 。
・血漿中β-カロテン濃度が153.25 ng/mL以下の男性において、β-カロテンの摂取は前立腺がんリスクの減少に有効性が示唆されている(94) 。
・胃に前がん状態の病変があり、リスクの高い人での胃がんの予防に対して、有効性が示唆されている (94) 。β-カロテン30 mg/日の摂取はハイリスク患者における前がん状態病変の回復度を向上させると考えられる (94) 。
・β-カロテンと他の抗酸化物質の摂取は、ハイリスク患者である栄養失調の人での胃がん予防に対して、有効性が示唆されている (94) 。中国のハイリスク集団で、15 mgのβ-カロテンとビタミンEとセレンの組み合わせは胃がんの発生率を減少させたという知見がある (94) 。
メタ分析
・2011年8月までを対象に11個のデータベースで検索できた前向き研究24報について検討したメタ分析において、血中の総カロテノイド (7報) 、β-カロテン (13報) 、α-カロテン (12報) 、ルテイン (6報) 濃度が高いと乳がんリスクの低下に関連が認められたが、摂取量との関連は、β-カロテンの摂取量 (10報) が多いとわずかに乳がんリスク低下に関連が認められたのみであった (PMID:22760559) 。
≪がんの発生率や死亡率の抑制効果への影響は限定的であったという報告≫
メタ分析
・2014年5月までを対象に、2つのデータベースで検索できた症例対照研究またはコホート研究16報について検討したメタ分析において、α-カロテンの摂取量が多いと口腔咽頭がん (2報) の発症リスクが低かったが、喉頭がん (2報) には影響を与えず、β-カロテンの摂取は口腔咽頭がん (2報) 、喉頭がん (3報) との関連は認められなかった (PMID:25873578) 。
≪がんの発生率や死亡率の抑制効果と関連が認められなかったという報告≫
一般情報
・成人においてがんの発生率や死亡率を減少させるのに、おそらく効果がない (94) 。一日20〜50 mg、あるいは一日おきに50 mgβ-カロテンを摂取した場合、結腸がん、直腸がん、子宮がん、卵巣がん、子宮頸がん、甲状腺がん、膀胱がん、脳腫瘍、膵がん、血液のがんを含む色々ながんの発生率に影響を与えなかった (94) 。喫煙者での肺がんはむしろ増加する (PMID:8127329) 。
・非メラノーマ皮膚がんの予防に対しおそらく効果がない (94) 。一日20〜50 mg、あるいは一日おきに50 mgβ-カロテンを数年間摂取した場合、基底細胞がんや有棘細胞がんを含む非メラノーマ皮膚がんの発生率に影響を与えなかった (94) 。
・欧米での介入試験では喫煙経験者の肺がん発生を増加させた (3) 。
・ヘビースモーカーに対する20 mg/日以上の投与は危険性が示唆されている (54) 。
メタ分析
・2016年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、β-カロテンを含むサプリメントの摂取は膀胱がんリスクとの関連は認められなかったが、β-カロテン単独サプリメントの摂取 (3報) は膀胱がんリスクを増加させた (PMID:28244289) 。
・2013年10月までを対象に5つのデータベースで検索できた症例対照研究13報、コホート研究8報について検討したメタ分析において、β-カロテンまたはα-カロテンの摂取は、症例対照研究 (13報、4報) では胃がんリスク低下と関連が認められたが、コホート研究 (8報、4報) では関連が認められなかった (PMID:25726725) 。
・2009年6月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験11報 (10試験) について検討したメタ分析において、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、isotretinoin、acitrein などのビタミン類の単独摂取または数種の併用は皮膚がんの発症率や再発率との関連は認められなかった (PMID:21846961) 。
・2009年5月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、抗酸化物 (セレン、β-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE) の摂取は、大腸がん、大腸腺腫の発症リスクや死亡率との関連は認められなかった (PMID:24620628) 。
・2009年4月までを対象に1つのデータベースで検索できた9つの無作為化比較試験を含む全13報について検討したシステマティックレビューおよびメタ分析において、β−カロテンの摂取は膵臓がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、皮膚がん、メラノーマの全がん発症率との関連は認められなかったが、喫煙者およびアスベスト労働者の場合には平均20〜30 mg/日の摂取で肺がん、胃がんの発症率を増加させた (PMID:19876916) 。
・2009年3月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、β-カロテンの摂取は全がん発症率や再発率、がんによる死亡率に影響を与えず、尿路上皮がん、特に膀胱がんの発症率を増加させた (PMID:21981610) 。
・2007年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験31報 (22試験) について検討したメタ分析において、抗酸化サプリメント (β-カロテン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、セレン) の摂取はがんの発症もしくは再発率に影響を与えず、サブグループの分析 (4試験) においては膀胱がんのリスク増加を示した (PMID:19622597) 。
・2006年までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化比較試験4報をメタ分析したところ、平均20〜30 mg/日のβ-カロテン摂取は、現喫煙者の肺がんリスクを増加させたが、既喫煙者との関連は認められなかった (PMID:18429004) 。
・2005年8月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報についてのシステマティックレビューにおいて、β-カロテン、セレン、ビタミンEなどの抗酸化物の摂取は、全がん発症率や死亡率との関連は認められなかった (PMID:18173999) 。
・2003年9月までを対象に、4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験25報について検討したシステマティックレビューにおいて、がん患者によるビタミンC、ビタミンA、セレン、β‐カロテンなどの抗酸化物質の摂取と全死亡率との関連は認められなかった (PMID:16849679) 。
RCT
・胃カメラで異常のみられた、胃がんリスクの高い成人1,980名 (試験群990名、35〜69歳、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、ビタミンC (750 mg/日) 、ビタミンE (600 mg/日) 、β-カロテン (18 mg/日) を3年間摂取させたところ、血漿中濃度は上昇したが、前がん性病変の進行や萎縮に影響は認められなかった (PMID:17227997) 。
・35〜60歳の成人13,017名 (男5,141名、女7,879名、フランス) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、ビタミンC (120 mg/日) 、ビタミンE (30 mg/日) 、β-カロテン (6 mg/日) 、セレン (100μg/日) 、亜鉛 (20 mg/日) を平均7.5年間摂取させたところ、女性では皮膚がんのリスクが増加し、男性では影響は認められなかった (PMID:17709449) 。
・健康な女性7,627名 (平均60.4歳、アメリカ) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ビタミンCを毎日500 mg、ビタミンEを1日おきに600 IU、β-カロテンを1日おきに50 mg、単独もしくは併用で約9.4年間摂取させたところ、全がん発症リスクとがんによる死亡率に影響は認められなかった (PMID:19116389) 。
その他
・55〜74歳の男性29,361人 (アメリカ) を対象に、食事とサプリメントの摂取状況と8年後の前立腺がんの発生率を検討した観察研究において、食事およびサプリメントからのビタミンC、ビタミンE、β-カロテンの摂取は前立腺がんの発生率に影響しなかった (PMID:16478743) 。
・2,030名 (試験群966名、平均64.9歳、イスラエル) を対象としたコホート内症例対照研究において、前立腺がん診断の平均約4年前の血漿中のカロテノイド、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール濃度と発症率との間に相関は見られなかったが、リコピンおよび総カロテノイドが高いと進行疾患リスクは低かった (PMID:17823432) 。
<炎症>
一般情報
・変形関節炎の進行を遅らせるのに対して、有効性が示唆されている (94) 。β-カロテンは変形関節炎の発症を予防することはできないが、進行を遅らせるかもしれない (94) 。
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骨・筋肉
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一般情報
・骨髄性プロトポルフィリン症 (erythropoietic protoporphyria) に対しおそらく有効である (94) 。骨髄性プロトポルフィリン症の患者の光過敏症を軽減する可能性がある (94) 。
メタ分析
・2016年5月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究5報 (コホート研究3報、症例対照研究2報) について検討したメタ分析において、食事からのβ-カロテン摂取は股関節骨折リスク低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった。一方、α-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン/ゼアキサンチン、総カロテノイド (各2報) 摂取量との関連は認められなかった (PMID:27911854) 。
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発育・成長
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調べた文献の中に見当たらない。
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肥満
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調べた文献の中に見当たらない。
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その他
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一般情報
・光感受性の人の日焼けを防ぐのに、有効性が示唆されている (94) 。25 mg/日12週間の摂取で、光感受性の人におけるUV照射後の肌の赤らみを防いだ。ただし、光感受性ではない人では効果はないと思われ、また光照射関連の皮膚がんの発生率を下げることはできないと思われる (94) 。
・光過敏症の治療に使用される (54) 。
・白斑 (板) 症患者の症状の寛解に対して、有効性が示唆されている (94) 。β-カロテン摂取をやめた場合、12ヶ月以上では、病状の進行リスクが上昇する (94) 。
メタ分析
・2016年8月までを対象に、5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報について検討したメタ分析において、β-カロテンサプリメントの摂取は、総死亡率 (10報) 、心血管疾患死亡率 (8報) 、心血管疾患発症リスク (5報) 、がん死亡率 (7報) 、がん発症リスク (5報) との関連は認められなかった (PMID:28096125) 。
RCT
・健康な男性60名 (20〜30歳、各群15名、イスラエル) を対象としたマッチングプラセボコントロール比較試験において、all-trans β-カロテンまたは9-cis型を含むβ-カロテン (all-trans 42%, 9-cis 43%) を40 mg/日、14日間摂取させた結果、9-cis型を含むβ-カロテンの摂取群で血清中の共役ジエン生成物 (脂質の酸化指標) の濃度が低かった (PMID:8615356) 。
・健康な成人8,112名 (試験群4,081名、男性52.1±4.7歳、女性47.9±6.5歳、フランス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ビタミンC120 mg/日、ビタミンE30 mg/日、β-カロテン6 mg/日、セレン100μg/日、亜鉛20 mg/日を平均76.0±4.2ヶ月間摂取させたところ、健康関連QOL (HRQOL) に影響は認められなかった (PMID:22158670) 。
・口腔白板症患者46名 (試験群23名、平均64.8±10.0歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、β-カロテン10 mg/日とビタミンC 500 mg/日を1年間併用摂取させたところ、症状の寛解率およびその後5年間の追跡調査における症状の進展に影響は認められなかった (PMID:25156040) 。
<欠乏症・先天異常>
調べた文献の中に見当たらない。
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参
考
情
報
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試験管内・
動物他での 評価
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・免疫賦活化作用があるといわれている (13) 。
・活性酸素 (特に一重項酸素) の消去能をもち (54) 、がんなどの予防に役立つとされる (1) 。
・ラットに9-cis型を47%含むβ-カロテンを0.05%添加した飼料を2週間与えた後、水浸拘束ストレスを負荷した研究において、ストレス潰瘍の抑制と回復促進が見られた (1999010210) 。
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