注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
カフェイン [英]Caffeine、methyltheobromine [学名]-
概要
カフェインは、コーヒー豆、カカオ種子、ガラナ種子、チャ (茶) 葉に含まれるアルカロイドで苦みをもつ。 ●有効性俗に、「記憶力を向上させる」「運動能力を向上させる」「疲労を回復させる」などと言われ、カフェインを配合したエナジードリンクや栄養ドリンクが利用されている。一方、医薬品としてのカフェインの効能は、ねむけ、倦怠感、血管拡張性及び脳圧亢進性頭痛 (片頭痛、高血圧性頭痛、カフェイン禁断性頭痛など) である。食品として流通しているカフェイン製品は一般的に品質・規格が明確でないため、医薬品と同等の有効性が期待できるとは限らない。 ●安全性成人が通常の食事に含まれる量を適切に摂取する場合はおそらく安全であるが、多量の摂取はおそらく危険である。また、カフェインに対する感受性は人によって大きく異なるため、感受性の高い人、小児、妊婦、授乳婦は特に摂取量に注意が必要である。食品に含まれるカフェインの過剰摂取による健康被害が多数報告されており、国内外の公的機関から注意喚起が出されている。 コラム (一般向け) :「エナジードリンクについて」 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。 ■食品添加物 ・既存添加物:苦味料等 ■海外情報 ・米国では、GRASに該当する。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・1,3,7-trimethylxanthine (31) 。 ・分子式:C8H10N4O2、分子量:194.19 (32) 。 ・茶やコーヒーに含まれるプリンアルカロイドで苦味をもつ (31) 。
分析法
・コーヒー中のカフェインをHPLCで分析した報告がある (PMID:28918319) 。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
一般情報 ・低血圧に対して有効性が示唆されている (94) 。 ・術後の心房細動に対して効果がないことが示唆されている (94) 。 ・喘息に対して有効性が示唆されている (94) 。
消化系・肝臓
一般情報 ・胆嚢疾患に対して有効性が示唆されている (94) 。 ・C型肝炎に対して有効性が示唆されている (94) 。
糖尿病・内分泌
一般情報 ・糖尿病に対して有効性が示唆されている (94) 。 メタ分析 ・2017年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験27報 (検索条件:期間>2週間) について検討したメタ分析において、緑茶摂取は空腹時血糖 (11報) の低下と、コーヒー摂取はインスリン (4報) の増加と関連が認められた。一方、カフェイン抜き緑茶 (6報) 、カフェイン抜きコーヒー (2報) との関連は認められなかった (PMID:30591664) 。 ・2016年4月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報について検討したメタ分析において、健康な人における単回または短期間のカフェイン摂取 (静注1報を含む) はインスリン感受性の低下と関連が認められた (PMID:28031026) 。
生殖・泌尿器
メタ分析 ・2013年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた介入研究16報について検討したメタ分析において、健康な成人によるカフェインの摂取は尿量の増加と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:25154702) 。
脳・神経・感覚器
一般情報 ・術後の頭痛、偏頭痛に対して有効である (94) 。 ・注意力の維持に対しておそらく有効である (94) 。 ・加齢による認知機能低下に対して有効性が示唆されている (94) 。 ・記憶力に対して有効性が示唆されている (94) 。 ・カフェインを含む飲料の摂取は、パーキンソン病に対して有効性が示唆されている (94) 。 ・硬膜穿刺後頭痛に対して有効性が示唆されている (94) 。 ・注意欠如・多動症に対して効果がないことが示唆されている (94) 。 メタ分析 ・2013年2月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究7報(前向き研究4報、症例対照研究3報) について検討したメタ分析において、カフェインの摂取はパーキンソン病発症リスク低下と関連が認められた (PMID:23879665) 。 RCT ・健康な男女24名 (試験群12名、平均22.5±3.3歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、50時間の不眠試験中にカフェイン200 mg配合ガムを8回摂取させ、その後9時間の睡眠時間を与えたところ、総覚醒時間の延長とノンレム-レム睡眠サイクル回数の増加が認められた。一方、レム睡眠時間や徐波睡眠に影響は認められなかった (2017055144) 。 ・日常的にカフェインを摂取している健康な男性20名 (平均49.2±5.6歳、オランダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、カフェイン100 mgを摂取させたところ、ワーキングメモリ課題 (letter Sternberg task) 実施時の右背外側前頭前野の活性の上昇が認められた。一方、眠気 (カロリンスカ眠気尺度) 、疲労 (POMS) 、カフェインの影響に関する自己評価、課題実施時の左背外側前頭前野の活性、反応時間に影響は認められず、左視床の活性、ワーキングメモリ課題の正確性の低下が認められた (PMID:22728314) 。 ・健康な成人25名 (平均25.4±4.1歳、試験群12名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、77時間の不眠試験中、カフェイン200 mg配合ガムを2時間おきに4回/日、3日間摂取させたところ、不眠によるリスクテイキング傾向の変化 (Balloon Analog Risk Task、Evaluation of Risks Scale) に影響は認められなかった (PMID:20946437) 。 ・毎日2〜4杯のカフェイン入りコーヒーを摂取している大学生15名 (平均21.1±3.0歳、オランダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、3 mg/kg体重のカフェインを単回摂取させたところ、持続的注意機能検査 (AX-CPT) の反応時間とエラー率に影響は認められなかった (PMID:18782649) 。 ・毎日2〜4杯のカフェイン入りコーヒーを摂取している大学生17名 (平均20.9±2.3歳、オランダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、3 mg/kg体重のカフェインを単回摂取させたところ、反応抑制機能検査 (stop signal task) における選択反応時間と実行信号反応時間の短縮が認められた。一方、停止信号反応時間や誤反応数 (commission error) に影響は認められなかった (PMID:18782649) 。 ・毎日2〜4杯のカフェイン入りコーヒーを摂取している大学生18名 (平均21.6±2.6歳、オランダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、3 mg/kg体重のカフェインを単回摂取させたところ、認知機能検査 (flanker task) の処理速度の上昇が認められた。一方、処理精度に影響は認められなかった (PMID:18782649) 。
免疫・がん・炎症
一般情報 ・非メラノーマ性皮膚がんに対して有効性が示唆されている (94) 。
骨・筋肉
メタ分析 ・2017年4月までを対象に7つのデータベースで検索できたクロスオーバー無作為化比較試験17報について検討したメタ分析において、健康な男女によるカフェインサプリメント摂取は、最大筋肉強度 (9報) 上昇、筋力 (垂直飛び高さ、10報) 上昇との関連が認められた (PMID:29527137) 。 RCT ・運動習慣のある健康な男子大学生48名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、カフェイン200 mg/日 (12名) またはα-グリセリルホスホリルコリン250 mg/日 (12名) 、500 mg/日 (12名) を7日間摂取させたところ、カフェイン群において、等尺性運動負荷時の下肢の最大強度の増加が認められた。一方、上肢の最大強度、跳躍運動の指標に影響は認められなかった。 (PMID:29042830) 。
発育・成長
一般情報 ・新生児の無呼吸に対して有効性が示唆されている (94) 。
肥満
一般情報 ・体重減少に対して有効性が示唆されている (94) 。
その他
一般情報 ・運動能力に対して有効性が示唆されている (94) 。
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
調べた文献の中に見当たらない。
安全性
危険情報
<一般> ・通常の食事に含まれる量を適切に使用した場合、おそらく安全である (94) 。海外の機関では、健康な成人におけるカフェイン摂取量について、400 mg/日までであれば健康上のリスクは上昇しないと提言している (102)(103)(104) 。 ・250〜300 mg/日以上を長期間摂取した場合、頻脈や睡眠障害などの発生リスクが上昇する可能性がある (94) 。 ・多量 (10〜14 g) の摂取はおそらく危険である (94) 。 ・摂取により、不眠症、緊張感、落ち着きのなさ、胃の刺激、吐き気、嘔吐、頻脈、呼吸困難、振戦、せん妄、痙攣、利尿、頭痛、不安、動揺、耳鳴り、低カリウム血症、呼吸性アルカローシス、胸痛、早発性心拍、不整脈、尿路結石を引き起こす可能性がある。また、多量の摂取は、洞頻脈、代謝性アシドーシス、高血糖、ケトーシスを引き起こす可能性がある (94) 。 <妊婦・授乳婦> ・通常の食事に含まれる量の摂取は、安全性が示唆されている (94) 。 ・多量の摂取は危険性が示唆されている (94) 。 ・各国の機関が妊婦および授乳婦における1日当たりのカフェイン摂取量の上限を提言している。詳細は厚生労働省(105) 、農林水産省ウェブページ(106) および食品安全委員会ファクトシート (107)を参照。 <小児> ・通常の食事に含まれる量の摂取は、安全性が示唆されている (94) 。 ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <病者> ・緑内障の人は、眼圧を上げる可能性がある (94) 。 ・切迫性尿失禁の人は、症状を悪化させる可能性がある (94) 。 ・骨粗鬆症の人は、カルシウムの尿排泄増加により骨密度が低下する可能性がある (94) 。 ・糖尿病の人は、インスリン抵抗性を高める可能性がある。また、1型糖尿病の人の低血糖発生リスクを高める可能性がある (94) 。 ・出血性疾患の人は、症状を悪化させる可能性がある (94) 。 ・高血圧の人は、一時的に血圧を上げる可能性がある (94) 。 ・心臓疾患の人は、10 mg/kg/日以上の摂取で不整脈を誘発する可能性がある (94) 。 ・下痢の人は、多量摂取により症状を悪化させる可能性がある (94) 。 ・過敏性腸症候群の人は、多量摂取により下痢を悪化させる可能性がある (94) 。 ・てんかんの人は、多量摂取により発作を誘導させる可能性がある (94) 。 ・双極性障害の人は、多量摂取により症状を悪化させる可能性がある (94) 。 ・不安障害、統合失調症の人は、症状を悪化させる可能性がある (94) 。 ・パーキンソン病の人は、クレアチンとの併用で症状を悪化させる可能性がある (94) 。 <その他> ・2011年4月〜2016年3月までを対象に、264の病院から得られたカフェインの多量摂取 (カフェイン摂取量1.0 g以上) が関連した救急科受診事例101例 (14〜54歳、日本) について検討した報告において、救急搬送時の一般的なバイタルサインとして、多呼吸、頻脈、意識低下、高クレアチンキナーゼ血症、高血糖、低カリウム血症、低リン血症、高乳酸血症、一般的な症状として、吐き気、嘔吐、興奮、洞頻脈であった。特にカフェイン摂取量の多い (カフェイン≧6.0 gまたは血中カフェイン≧200μg/mL) 7例では心停止をきたした。なお、101例中98例は加療により改善したが、3例は死亡した (PMID:29526946) 。 <被害事例> ・カフェイン摂取との関連が疑われる健康被害が多数報告されている。エナジードリンクの摂取による症例はこちらを参照。 ・32歳女性 (ポルトガル) が、運動前に無水カフェインサプリメントを誤って5,000 mg摂取したところ、30分後に気分不快、不安、眩暈、吐き気を生じて救急外来を受診。焦燥性興奮、嘔吐、意識障害、頻脈、代謝性アシデミア、重度の低カリウム血症を呈したが、加療により改善した (PMID:29884665) 。 ・36歳男性 (ポーランド) が、眠気覚ましのために無水カフェイン粉末をテーブルスプーン山盛り2杯 (約30 g) 摂取したところ、1時間後に興奮、腹痛、吐き気、胆汁を含む嘔吐、軟便を生じて搬送され、血圧低下、頻脈、上室性期外収縮、血中クレアチンキナーゼ上昇、脱水およびアルカローシスが認められたが、加療により改善した (PMID:28656354) 。 ・カフェイン乱用の習慣がある27歳男性 (ポーランド) が、運動後に無水カフェイン粉末をテーブルスプーン3杯 (約45 g) 摂取したところ、約1時間後に吐き気、頻回の嘔吐、振戦、頻脈を生じ、痙攣発作の後心停止となり、加療を受けたが死亡した (PMID:28656354) 。 ・27歳女性 (イスラエル) が、コーラ4 L (カフェイン約400〜450 mg含有)を摂取したところ、約2時間後に動悸、胸痛、呼吸困難、頻脈を生じ、カフェイン中毒による高乳酸血症、代謝性アシドーシス、低カリウム血症と診断され、加療により改善した (PMID:27468534) 。 ・マルチビタミン摂取習慣のある軍隊所属の27歳男性 (アメリカ) が、飲食量と睡眠が不十分な状態で連日トレーニングを行い、エネルギー増強のためにカフェイン200 mg含有錠剤を摂取したところ、約30分後より興奮、振戦、不安感を生じ、加療により改善した (PMID:26226540) 。 ・33歳男性 (日本) が、習慣的にアルコールとともにコーラ500 mL/日、コーヒー1杯/日、タブレット菓子 (カフェイン0.7 mg/粒含有) 20粒を摂取していたところ (総カフェイン摂取量160 mg/日以上) 、手術後に動悸、頻脈を呈した。男性の摂取していた量のカフェイン負荷試験で心房頻脈の頻度が上昇し、カフェイン摂取中止により改善した (PMID:22188716) 。 ・39歳男性 (南アフリカ) が、シネフリン40 mg/日、カフェイン400 mg/日、オクトパミン、チラミン、セイヨウオトギリソウなどを含むサプリメントを数年間摂取し、36時間の水分摂取制限と糖質摂取量の増加の後、ボディビル競技を行ったところ、冠攣縮、左冠動脈前下行枝近位部の血栓を原因とする急性心筋梗塞を生じ、加療により改善した (PMID:18637307) 。 ・13歳女児 (日本) が、倦怠感のため眠気予防薬 (カフェイン100 mg/錠含有) を24錠服用したところ、1時間半後より吐き気を生じて救急搬送され、嘔吐、振戦、白血球増多、血糖値上昇、低カリウム血症を呈したが、加療により改善した (2017374626) 。 ・うつ病のためパロキセチン (うつ病治療薬) 、スルピリド、ロチゾラム、リルマザホン、トリアゾラム (催眠薬) 、アルプラゾラム、クロルプロマジン、糖尿病のためシタグリプチンを服用中の39歳女性 (日本) が、コーラ3〜4.5 L (カフェイン約300〜600 mg含有) /日を10年間以上摂取していたところ、頻回の嘔吐、下肢体動困難、手足のしびれを生じた。無水カフェイン600 mg/日の負荷試験で血中カリウム値低下が認められ、コーラ中のカフェインによる低カリウム血症性ミオパチーと診断され、摂取中止と加療により改善した (2014254653) 。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
<ヒト症例> ・16歳男性 (日本) が、上気道症状のため総合感冒薬 (6カプセル中フェニルプロパノールアミン (血管収縮薬) 、アセトアミノフェン (解熱鎮痛薬)、無水カフェイン75 mg含有) とともに栄養ドリンク (100 mL中無水カフェイン50 mg含有) を摂取した翌朝、同感冒薬を再度服用したところ、夕方の運動時に意識消失、心停止となり救急搬送された。蘇生後、痙攣、発汗、発熱、せん妄、頻脈、肝機能障害、代謝性アシドーシスを生じたが加療により改善し、フェニルプロパノールアミンとカフェインの同時摂取と運動による交感神経刺激が原因と診断された (2004149183) 。 ・抗リン脂質抗体症候群でワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4基質) 20 mg/日を服用中の27歳女性 (ブラジル) が、2 L/日以上の高カフェインガラナ飲料を1週あたり6日間摂取したところ (期間不明) 、コントロール不良 (INR 1.3未満) の状態が続いた。ガラナ飲料の摂取中止によりワルファリン7.5 mg/日の服用でINRが目標範囲に達したが、ガラナ飲料再摂取5日後にINRは1.2まで低下した (PMID:21852006) 。 ・てんかんのためフェノバルビタール (抗てんかん薬:CYP3A4基質) を服用中の18歳男性 (ブラジル) が、コーラ1.5 L/日を日常的に摂取し (期間不明) 、抗リン脂質抗体症候群のためワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4基質) 20 mg/日の服用を開始したところ、コントロール不良 (INR1.5未満) の状態が続いた。コーラの摂取量を350mL/日に減量したところ、ワルファリン7.5 mg/日の服用で数年間INRは目標範囲で維持されたが、エスプレッソコーヒー5杯/日の日常的な摂取により再びINRは1.1まで低下したが、エスプレッソコーヒーの摂取量を1杯/日に減量したところ、INRは安定した (PMID:21852006) 。 <ヒト試験> ・健康な成人女性18名 (平均21.0±1.1歳、中国)を対象としたオープンラベル試験において、ゲニステイン1,000 mg/日を14日間摂取させ、14日目にカフェイン (強心薬:CYP1A2基質) 100 mgを同時に摂取させたところカフェインの血中濃度 (AUC、Cmax) および半減期、1,7-ジメチルキサンチン (カフェイン代謝産物) の血中濃度 (Cmax) および半減期に影響は認められなかったが、1,7-ジメチルキサンチンのAUCが低下した(PMID:21222115) 。 <理論的に考えられる相互作用> 【カフェインが医薬品等の代謝、作用に影響】 ・アデノシンとの併用は、アデノシンの効果を減弱させる可能性がある (94) 。 ・抗凝固薬や抗凝固作用を持つハーブやサプリメントとの併用は、出血のリスクを増加させる可能性がある (94) 。 ・β-アドレナリン作動薬と多量のカフェインとの併用は、心筋収縮作用を増強させる可能性がある (94) 。 ・カルバマゼピン (抗てんかん薬:CYP3A4基質) 、エトスクシミド (抗てんかん薬: CYP3A4基質) 、フェルバメート (抗てんかん薬) 、フェノバルビタール (抗てんかん薬:CYP3A4基質) 、フェニトイン (抗てんかん薬:CYP2C9、CYP2C19基質) 、バルプロエイトとの併用は、抗けいれん作用を減少させる可能性がある (94) 。 ・ジピリダモール (狭心症治療薬) との併用は、ジピリダモール依存性血管拡張を阻害する可能性がある (94) 。 ・利尿剤と多量のカフェインとの併用は、低カリウム血症のリスクを増加させる可能性がある (94) 。 ・エフェドリン、エフェドラとの併用は、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中などの致死的な有害事象のリスクを高める可能性がある (94) 。 ・フルタミド (抗がん剤) との併用は、フルタミドの血中濃度を上昇させ、副作用のリスクを高める可能性がある (94) 。 ・チアガビンとの併用は、チアガビン濃度を上昇させる可能性がある (94) 。 ・ニコチン (生活改善薬:CYP1A2基質) 、ビターオレンジとの併用は、心拍数や血圧を上昇させ、有害事象のリスクを高める可能性がある (94) 。 ・メラトニンとの併用は、血中メラトニンレベルを上昇させる可能性がある (94) 。 ・リルゾール (筋萎縮性側索硬化症治療薬) との併用は、血中のカフェイン、リルゾール濃度を上昇させ、両者の副作用リスクが高まる可能性がある (94) 。 ・興奮剤との併用は、副作用のリスクを高める可能性がある (94) 。 ・テオフィリン (喘息治療薬:CYP1A2基質) との併用は、血中テオフィリン濃度を上昇させる可能性がある (94) 。 ・カルシウムとの併用は、カルシウムの尿排泄を増加させる可能性がある (94) 。 ・マグネシウムと多量のカフェインとの併用は、マグネシウムの尿排泄を増加させる可能性がある (94) 。 ・クレアチンとの併用は、運動機能に対する効果を低下させる可能性がある (94) 。 【医薬品等がカフェインの作用を増強】 ・アルコール、シメチジン (消化性潰瘍治療薬) 、避妊薬、CYP1A2阻害薬、ジスルフィラム (アルコール中毒治療薬) 、エストロゲン、フルコナゾール (抗真菌薬) 、フルボキサミン (うつ病治療薬:CYP2D6基質) 、メトホルミン (糖尿病治療薬) 、メトキサレン (白斑治療薬) 、メキシレチン (不整脈治療薬:CYP1A2、CYP2D6基質) 、フェノチアジン (アレルギー治療薬) 、キノロン系抗生物質、テルビナフィン (抗真菌薬:CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4基質) 、チクロピジン (抗血小板薬) 、ベラパミル (カルシウム拮抗薬:CYP1A2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、P糖タンパク質基質) 、カフェインを含むハーブやサプリメントとの併用は、カフェインの血中濃度を上昇させ、有害事象を起こす可能性がある (94) 。 【その他】 ・糖尿病治療薬との併用は、血糖コントロールを妨げる可能性がある (94) 。 ・クロザピン (抗精神病薬:CYP1A2、CYP3A4基質) との併用は、症状を悪化させる可能性がある (94) 。 ・トラニルシプロミン (うつ病治療薬) と多量のカフェインとの併用は、発作的な高血圧の発症リスクを高める可能性がある (94) 。 ・ペントバルビタール (催眠薬) との併用は、催眠作用を無効化する可能性がある (94) 。 ・フェニルプロパノールアミンとの併用は、血圧を上昇させる可能性がある (94) 。 ・エキナセア、クズ、レッドクローバーとの併用は、カフェイン代謝を抑制する可能性がある (94) 。 ・急激なカフェイン離脱は血中のリチウム濃度を上げる可能性がある (94) 。
動物他での 毒性試験
1.LD50 (半数致死量) ・カフェインを投与:ラット経口192 mg/kg、マウス経口127 mg/kg、ウサギ経口224 mg/kg、イヌ経口140 mg/kg (91) 。 2.TDLo (最小中毒量) ・カフェインを投与:ラット経口5 mg/kg、マウス経口45 mg/kg (91) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
-
総合評価
・通常の食事に含まれる量を適切に使用した場合、おそらく安全であるが、多量の摂取はおそらく危険である。 ・妊婦・授乳婦の通常の食事に含まれる量の摂取は安全性が示唆されているが、多量の摂取は危険性が示唆されている。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・術後の頭痛、偏頭痛、緊張型頭痛に対して有効である。 ・注意力の維持に対しておそらく有効である。 ・低血圧、喘息、非メラノーマ性皮膚がん、胆嚢疾患、C型肝炎、加齢による認知機能低下、記憶力、パーキンソン病、硬膜穿刺後頭痛、新生児の無呼吸、体重減少、運動能力、急性疼痛、糖尿病に対して有効性が示唆されている。 ・術後の心房細動、注意欠如・多動症に対して効果がないことが示唆されている。
参考文献
(31) 理化学辞典 第5版 岩波書店 (32) 生化学辞典 第4版 東京化学同人生化学辞典 (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS) (94) Natural Medicines (101) 既存添加物 (平成23年5月6日改定)一般社団法人日本食品添加物協会 (PMID:28031026) Nutr J. 2016 Dec 28;15(1):103. (PMID:25154702) J Sci Med Sport. 2015 Sep;18(5):569-74. (PMID:23879665) Geriatr Gerontol Int. 2014 Apr;14(2):430-9. (PMID:29449791) J Int Soc Sports Nutr. 2018 Feb 13;15:7. (PMID:22728314) Neuropharmacology. 2013 Jan;64:160-7. (PMID:20946437) J Sleep Res. 2011 Sep;20(3):395-403. (PMID:18782649) Brain Cogn. 2009 Mar;69(2):316-27. (PMID:28918319) J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci 2017 1064 115-123 (PMID:29884665) BMJ Case Rep. 2018 Jun 8;2018. pii: bcr-2018-224185. (PMID:28656354) Forensic Sci Med Pathol. 2017 Sep;13(3):355-358. (PMID:27468534) Isr Med Assoc J. 2016 Jun;18(6):366-7 (PMID:26226540)Mil Med. 2015 Aug;180(8):e936-40. (PMID:22188716) Int Heart J. 2011;52(6):398-400. (PMID:18637307) S Afr Med J. 2008 May;98(5):372-3. (2017055144) Sleep and Biological Rhythms 2016 14(2) 149-156 (2017374626) 小児科臨床 2017 70(9) 1459-64 (2014254653) 糖尿病 2014 57(3) 197-203 (2004149183) 磐田市立総合病院誌 2003 5(1) 1-6 (103) 米国保健福祉省・農務省「Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee」 (104) EFSA Journal 2015 13(5) 4102 Scientific Opinion on the safety of caffeine (105) 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A 〜カフェインの過剰摂取に注意しましょう〜」 (106) 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」 (107) 食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」 (102) カナダ保健省「Caffeine in Food」 (PMID:30591664) Nutrients. 2018 Dec 27 11(1). pii E48 (PMID:29527137) J Int Soc Sports Nutr. 2018 Mar 5 1511. (PMID:29042830) J Int Soc Sports Nutr. 2017 Oct 5;14:39. (PMID:21222115) Eur J Clin Pharmacol 2011 67(4) 347-353. (PMID:29526946) Intern Med. 2018 Aug 1;57(15):2141-2146. (PMID:21852006) Int J Cardiol. 2012 Apr 5;156(1):e4-5.