注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
グルコシルセラミド [英]Glucosylceramide [学名]−
概要
グルコシルセラミドは、細胞膜の構成成分として分布するスフィンゴ糖脂質。スフィンゴ糖脂質は、分子内にスフィンゴイド塩基、脂肪酸、糖を含む化合物の総称で、構成しているスフィンゴイド塩基、脂肪酸、糖の組み合わせの違いにより、多くの分子種が存在している。糖としてグルコースが一つ結合したものがモノグルコシルセラミドである。動物のあらゆる組織中に存在し、植物や真菌に含まれているスフィンゴ糖脂質は、多くがグルコシルセラミドである。コメ、トウモロコシ、麦類、豆類、こんにゃく、キノコ類、ビートなどの植物由来や酵母由来のグルコシルセラミドが、サプリメントの原材料に利用されているが、その化学的な構造は由来する原料によって異なる。 ●有効性 俗に、「皮膚のバリア機能を保つ」「肌によい」などと言われおり、「肌が乾燥しがちな方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品の関与成分として認められているものの、その他の有効性に関して、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない。 ●安全性 サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」にも該当しない。 ■特定保健用食品 ・グルコシルセラミドを関与成分とし、「肌が乾燥しがちな方に適する」保健用途の表示が許可された特定保健用食品がある。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・スフィンゴイド塩基のアミノ基に脂肪酸が結合したセラミドに、グルコースがβ-グリコシド結合したスフィンゴ糖脂質 (32) 。消化管内でグリコシド結合が加水分解を受け、さらにセラミドの一部はスフィンゴイド塩基と遊離脂肪酸に分解されるが、グリセロ脂質に比べると消化吸収されにくい (101) (PMID:5701698) 。また植物由来のスフィンゴイド塩基は動物由来に比べて吸収率が低く、生体内でセラミドに再合成されるのはごく一部であることが示唆されている (PMID:20211933) 。
分析法
・コムギ、トウモロコシ、コメ由来のグルコシルセラミドをHPLC-ELSDによって分析した報告がある (2002188345) (103)。 ・トウモロコシ、コメ (PMID:20431959) (PMID:20513973) 、マイタケ、ナマコ (PMID:20513973) 由来のグルコシルセラミドをHPLC-MS/MSによって分析した報告がある。
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
調べた文献の中に見当たらない。
消化系・肝臓
糖尿病・内分泌
生殖・泌尿器
脳・神経・感覚器
免疫・がん・炎症
骨・筋肉
発育・成長
肥満
その他
一般情報 ・グルコシルセラミドを関与成分とし、「肌が乾燥しがちな方に適する」保健用途の表示が許可された特定保健用食品がある。 RCT ・肌荒れやかゆみの自覚がある健康な成人83名 (試験群41名、平均40.6±9.1歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、こんにゃく由来グルコシルセラミド1.8 mg/日含有飲料を12週間摂取させたところ、経表皮水分蒸散量について頬部で減少、背部で増加抑制が認められたが、前腕部では影響が認められず、また、自己評価による腕のかゆみの減弱が認められたが、顔、脚では影響は認められなかった (2009089174) 。 ・肌荒れの自覚がある健康な成人157名 (試験群79名、平均39.7±9.5歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、こんにゃく由来グルコシルセラミド1.8 mg/日含有飲料を12週間摂取させたところ、肘部、足背部の経表皮水分蒸散量の減少が認められたが、頸部、上背部では影響は認められなかった (2011215033) 。 <その他> ・健康な人において、米胚芽、パイナップル由来グルコシルセラミドの摂取により経表皮水分蒸散量など肌に関連する指標の変化を認めた報告がある (2014086609) (2016059132) 。
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
−
安全性
危険情報
<一般> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 ・日本人において植物性食品中のグルコシルセラミド含有量から推定した食事由来のグルコシルセラミド摂取量は約50 mg/日という報告がある (PMID:10606047) 。 <妊婦・授乳婦> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。 <小児> ・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
動物他での 毒性試験
1.LD50 (半数致死量) こんにゃく由来グルコシルセラミドを投与:ICR系雌雄マウス経口>5,000 mg/kg (105) 。 2.TDLo (最小中毒量) β-グルコシルセラミドを投与:マウス腹腔内 (間欠的) 48 mg/kg/3日、マウス静脈内 (間欠的) 16 mg/kg/4日 (91) 。
AHPAクラス分類 及び勧告
総合評価
・特定保健用食品では個別に製品ごとの安全性が評価されているが、その他、ヒトに対する安全性については、調べた文献の中に十分な情報が見当たらない。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・特定保健用食品では個別に製品ごとの有効性が評価されているが、その他の有効性に関して、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない。
参考文献
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について) (55) Harper’s Biochem 25th ed (101) 食品機能性成分の吸収・代謝機構 シーエムシー出版 宮澤陽夫監修 167-173 (32) 生化学事典 第4版 東京化学法人 (91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances(RTECS) (2002188345) J.Oleo Sci. 2002;51(5):347-354. (2008224667) 薬理と治療. 2008;36(4):303-314. (2009089174) J Health Sci. 2008;54(5):559-566. (2011215033) 薬理と治療. 2011;39(4):437-445. (2014086609) 薬理と治療. 2013;41(11):1051-1059. (2016059132) 薬理と治療. 2015;43(11):1593-1600. (2006309252) Journal of Oleo Science. 2005;54(1):45-49. (103) 日本食品科学工学会誌. 2012;59:34-39. (104) Fish Sci. 2011;77:1081-5. (105) Bio Industry. 2002;19(8):16-26. (PMID:10606047) Lipids. 1999 Nov;34(11):1231-7. (PMID:5701698) Biochim Biophys Acta. 1968 Dec 18;164(3):575-84. (PMID:20211933) J Lipid Res. 2010 Jul;51(7):1761-9. (PMID:20513973) J Oleo Sci. 2010;59(7):387-94. (PMID:20431959) Lipids. 2010 May;45(5):451-5. (PMID:26136173) J Oleo Sci. 2015;64(7):737-42. (PMID:21222241) Lipids. 2011 Jun;46(6):505-12.