パントテン酸解説

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パントテン酸解説


A.パントテン酸とは?
 パントテン酸は、「至るところに存在する酸」という意味で命名されました。この名前の通り様々な食品に含まれているので、通常の食事をしている人では不足することはまずありません (8) 。パントテン酸は食事から摂取するほか、腸内細菌群によってもわずかに合成されます (12) 。パントテン酸はコエンザイムA (CoA) やホスホパンテテインなど、補酵素の構成成分として、生体内で重要な働きをしています。特に、TCAサイクルや脂質の代謝に深くかかわっているため、パントテン酸欠乏は、エネルギー代謝の異常や障害を起こします (12) 。

B.パントテン酸の供給源になる食品
 主な食品のパントテン酸含有量は以下の通りです (5) 。(可食部100 gあたり)



C.パントテン酸の特性(単位・化学的安定性)
 パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、黄色の粘性液状物質です (12) (13) 。中性には安定ですが、酸性、アルカリ性、熱には不安定です (3) 。

D.パントテン酸の吸収や働き
 食品中のパントテン酸の大半は、CoAやホスホパンテテイン誘導体として、たんぱく質と結合した状態で存在しています。これらのCoA 及びホスホパンテテイン誘導体は調理・加工の過程や胃酸環境下で遊離型になり、腸内の酵素によって消化されてパントテン酸となった後、吸収されます (1) 。パントテン酸の吸収は以下の通りです (1) (12) 。

CoAの働きを以下にまとめました (4)


E.パントテン酸不足の問題
パントテン酸不足はどのようにして起こるの?
 パントテン酸は様々な食品に含まれているため、通常の食事をしている人では不足することはまずありません (8) 。

パントテン酸が不足すると、どのような症状が起こるの?
 パントテン酸が不足すると、細胞内のCoA濃度が低下するため、成長停止や副腎傷害、生理的な悪影響(手や足のしびれと灼熱感、頭痛、疲労、不眠、胃不快感を伴う食欲不振など)が起こることが知られています (8) (12) 。

F.パントテン酸過剰摂取のリスク
 パントテン酸の過剰摂取による副作用はほとんど報告されていません (1) 。

G.パントテン酸はどのぐらい摂取すればよいの?
 各年齢別のパントテン酸の食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (1) 。


<パントテン酸の食事摂取基準 (mg/日) >

性別男性女性
年齢等目安量 (AI) 目安量 (AI)
0〜5 (月)44
6〜11 (月)55
1〜2 (歳)34
3〜5 (歳)44
6〜7 (歳)55
8〜9 (歳)65
10〜11 (歳)66
12〜14 (歳)76
15〜17 (歳)76
18〜29 (歳)55
30〜49 (歳)55
50〜64 (歳)65
65〜74 (歳)65
75以上 (歳)65
妊婦5
授乳婦6


目安量 (AI,Adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)


H.パントテン酸摂取状況
 2018 (平成30) 年の国民健康・栄養調査では男性で平均5.96 mg/日、女性で平均5.23 mg/日摂取しています (9) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
 パントテン酸は基準値を満たした場合に栄養機能食品として表示することができます。
・下限値:1.44 mg、上限値:30 mg
・栄養機能表示
「パントテン酸は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
・注意喚起
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」

 栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。

■有効性と安全性に関する研究情報をまとめている「素材情報データベース」や関連情報もあわせてご覧ください。
・素材情報データベース
 黒砂糖 (サトウキビ)
 オートミール (オートムギ)
 コムギ
 ナットウ
 ブロッコリー
 モロヘイヤ
 ハタケシメジ
 アボカド
・その他ビタミンの解説はこちら
・ミネラルの解説はこちら

■「健康食品」の安全性・有効性情報のトップページはこちら

<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


参考文献

(1) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(2) 栄養学総論:三共出版株式会社
(3) 専門領域の最新情報 最新栄養学 第10版:建帛社
(4) FOOD CHEMISTRY THIRD  EDITION:Owen R.Fennema
(5) 日本食品標準成分表2015年版 (七訂)
(6) ビタミン研究のブレークスルー:日本ビタミン学会編
(7) DIETARY REFERENCE INTAKE forThiamin,Riboflavin,Niacin,VitaminB6,Folate,VitaminB12,Pantothenic Acid,Biotin,and Choline: National Academy Press
(8) 薬理書 第9版:廣川書店
(9) 平成30年国民健康・栄養調査報告
(10) Q&A 保健機能食品制度の手引き:新日本法規
(11) ヒューマン・ニュートリション 第10版:医歯薬出版
(12) ビタミンの辞典:朝倉書店
(13) 日本薬局方解説書:廣川書店
(14) 消化・吸収 基礎と臨床:第一出版
(15) 健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック:第一出版

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